↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様やめたい ! 〜万バズから始まるJK三人組の異世界勘違い神話  作者: タキ マサト
第三章 『国の女神』  

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/84

19話 折れた光の剣と二つ目の勾玉

 

Yafooニュース【速報】


【行方不明JK3人の父親が会見「必ず生きている」】


群玉県前澤市で行方不明となっている女子高校生3人のうち、山形千尋さん

(16)の父親で、群玉大学で古代史を専門とする山形隆教授が21日、記者

会見を開いた。教授は「娘から『無事』『必ず帰る』というメールを受け取

っている。あのトンネルは私の研究対象だった。娘は生きている。そして、

あの場所には特別な意味がある」と述べ、警察に対し「掘削ではなく、別の

アプローチ」を要請していることを明らかにした。教授の研究は「境界儀礼」

を専門としており、「このトンネルは古代から『境』として機能してきた可

能性がある」と主張している。警察は引き続き慎重に捜索を続けている。

(群玉新報・21日 18:34)


コメント欄:

⚪︎nko******

父親の気持ちを考えると…でも「別のアプローチ」って何?

         返信 45 共感した 245 なるほど 15 うーん 22

⚪︎ research_otaku

山形教授の論文読んだことあるけど、マジで境界儀礼の第一人者。

トンネルが「あちら」と「こちら」を繋ぐ装置だって言ってた。

          返信 12 共感した 98 なるほど 65 うーん 134






   ***






——デュラハン……


 全身を包む鋼の鎧。

 幅広の刃がついた大剣。


 RPGでお馴染みの装備だ、としゃがみ込みながら場違いなことを考えていた。


 がちゃりと、それが一歩踏み出した。


——そんな…… 魔性のものって、スケルトンじゃ、ないの……?


 スケルトンとは、存在感、圧迫感が全く違う。

 私が書く予定の小説だったら、レベル80はないと倒せない。


 誰も何も言えなかった。

 スザクも尻尾を丸めて、怯えている。


 デュラハンがゆっくりと剣を振り上げた。


 首から上がない。

 代わりに頭を形作る黒い闇が、こちらを「見て」いるのが分かった。


 デュラハンの鎧の胸元が光った。

 青く輝く光。


——勾玉……

 やっぱりあった!

 

 私は振り下ろされるブロードソードを、ただぼんやりと見ていた。


——勾玉見つけたけど、死んだ……


 フォースセイバーを握る手が、震えて止まらない。

 足が動かない。

 声も出ない。


 私が目を閉じた時、頭上で激しい金属音が響いた。


「え……」


 私の目の前でロート・フォーゲルが大剣で、デュラハンの剣を受け止めているのが見えた。

 

『ヌアアァァァッ!!』


 脳筋のロート・フォーゲルが雄叫びを上げた。

 デュラハンの剣を気合いで押し返す。


 デュラハンの後ろから数人のモノノフが、剣を閃かせる。

 剣が鎧に当たる金属音が響いた。


——それじゃ、ダメ……


 ダメージは通らない、きっと……


『ぎゃああ!!』


 デュラハンのブロードソードが、モノノフの体を無慈悲に切り裂いた。

 私の目の前で血が跳ね、膝から崩れ落ちる。


「ひっ!」

 

 デュラハンの剣の切っ先が、私の方を向いた。


『ウオオオッ!!』

 ロート・フォーゲルがその膂力で、剣を押し込み、デュラハンを突き飛ばした。


 デュラハンはバランスを崩して、二、三歩後ろに下がったが、倒れず剣を構え直す。


——強すぎる……


 こんなの勝てっこない……


 私に向かってきてる……


「に、逃げないと……」

「グルルル……」

 しかし、体が言うことを聞かない。

 足が自分の足ではないみたいだった。


 私を守るようにモノノフが剣を構えた。


 デュラハンの胸元の勾玉がきらりと輝いた。


 私はがたがたと震える手で、フォースセイバーを握りしめた。

 デュラハンが剣を振り上げる。


 その刃が、松明の明かりで光る。


——死ぬ。

 

 ここで、死ぬ。


 お父さん、ごめん。

 約束、守れなかった。


 ダース仮面の下で息がこもる。

 過呼吸で、意識が飛びそうになる。


『かかれ!』

 三人のモノノフが同時に切りかかった。

 デュラハンはまるで虫を払うように剣を一閃した。


『ぐあっ!』

 一瞬で血がほとばしり、三人は崩れ落ちた。


 別のモノノフが切り掛かり、返す剣で切り伏せられた。

 デュラハンのブロードソードが閃くと、私を守っていた二人も崩れ落ちた。


 デュラハンの剣の切っ先が再び私に向いた。


「や、やめて……」

『オォォォッ!!』

 ロート・フォーゲルが全力で剣を振り下ろした。

 大剣がデュラハンに直撃する。


 しかし、鎧に傷一つつかない。

 次の瞬間、デュラハンの剣が閃いた。

 ロート・フォーゲルの大剣が、真っ二つに折れる。

 驚愕の表情のまま、ロート・フォーゲルが吹き飛ばされる。

 石柱に叩きつけられ、崩れ落ちた。


 動かない。


——嘘…… フォーゲルさんが……?


 絶望が、胸を締め付けた。


「バウウゥゥッ!!」


 スザクが飛び出した。

 デュラハンの足に噛み付く。


 ガチャリ…… デュラハンの動きが一瞬止まった。

 松明の明かりで首輪のライトが赤く瞬いた。


「スザク! ダメ!」

 我に返った私が叫ぶ。


 デュラハンがスザクに剣を向けた。


——やめて!

 

 私は無我夢中でフォースセイバーを突き出した。


 ブブブ……


 びしっ! フォースセイバーのプラスチックの先端が、ひび割れた感触があった。


——どこかに、当たった?


 目を開けると、デュラハンの腰当てに赤くヒビが入っているのが見えた。

 その鎧が剣を振り上げたまま、雷に撃たれたように止まっている。

 フォースセイバーはまだ弱々しく、赤く光っていた。


「やめて!! スザクに触らないでッ!!」


 恐怖も理性も吹き飛んだ。

 私は半狂乱になりながら、へっぴり腰でフォースセイバーを胸元の勾玉に向かって突き出した。


 ミシッ! フォースセイバーに亀裂が入る。

 バチバチと小さな電子音を立てて、赤い光が一瞬だけ強く輝いた。


 胸元の勾玉の光が消える。


 次の瞬間、デュラハンの鎧にもヒビが入っていく。


 私の前で、スローモーションのように、後ろに倒れ——


 金属音が、神殿内に鳴り響いた。


 フォースセイバーは、すでに光が消えていた。

 ひび割れたプラスチックの先端から、基盤が見えている。


「壊れ、ちゃった……」


 私は荒い呼吸を繰り返していた。


 恐怖が今更ながら広がっていく。

 フォースセイバーが、手から落ちて乾いた音を立てた。

 ものを持てないほど手は震えていた。


 やがて、静寂が歓声で破られた。


『ウオオオ!! 魔性のものを! 我が神が、倒した!!』

『マジヤバエッ!!』

 

——そうだ、勾玉!


 私は震える膝で這うように、崩れたデュラハンに近寄る。


 バラバラになった鎧の真ん中にそれは、あった。

 すでに光を失っていたそれを、私は震える手で握りしめた。


 ひんやりとした感触。


 これが、私たちを家に帰してくれる鍵?


——あと、二つ。


 私はそれを、胸に抱きしめた。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。