18話 首なき騎士と神殿の闇
【Ech】オカルト板【地図にないトンネル】JK三人組の行方不明を語るスレ Part15
234: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/21(月) 15:42:12.34
崩落現場のドローン映像見たけど、あの山、不自然にえぐれてるな。
例の動画①のトンネルの入り口、ちょうどあの崩落地点の真下っぽくないか?
もし生きてるなら、完全に閉じ込められてるぞこれ……
267: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/21(月) 15:58:44.22
行方不明の山形さんの父親、大学で古代史と民俗学で有名な山形教授らしい。
専門が「古墳時代から飛鳥時代にかけての境界儀礼」だって。
301: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/21(月) 16:05:11.33
>>267
マジか。父親の研究資料を娘が持ち出したとか?
「境界儀礼」ってあっち側とこっち側の境目、このトンネルが境だってこと?
367: puripuri_punipuni_uni 202*/07/21(月) 16:18:33.55
境は崩れた。
門はもう、土と岩で塞がれた。
彼女たちは、こちら側(現世)を捨てて、あちら側(常世)の「器」になった。
黒き兜が光を呑み、四つの印が揃うとき、千年の眠りは覚める。
368: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/21(月) 16:19:12.89
>>367
また来たよ「ぷりぷり」さん。
ポエムはいいから、具体的な居場所を特定してくれよ。
器ってなんだよ、怖いこと言うな。
***
生温かい風が体に吹き抜ける。
階段を重たい足で一歩一歩登る。
ダース仮面のせいで、呼吸がこもり息苦しい。
中程まで来た時、息が切れた。
両隣にはロート・フォーゲルとモノノフが護衛するように付き従っている。
無言の圧。じっと私が息を整えるのを待っている。
足元でスザクがこちらを見上げた。
「はあ、はあ…… 少し、待って」
両膝に手をついた私を、無情にもロート・フォーゲルは見下ろしている。
「ロート・フォーゲルさん、先に行って……」
——もたもたしてたら、夕方になって魔性のもの…… が溢れてくる?
今なら、安全?
そうじゃないと私は、神様なんだから……
まさか、見殺しにされることはないよね……?
——やばい…… 早く行かないと……
私は前を向いた。
フォースセイバーのスイッチは切ってある。
この頼りないおもちゃが、今の私の生命線だった。
階段を登り切ったとき、開け放たれた門前の扉が見えた。
その奥は、深い闇が口を開けていた。
「グルルル……」
スザクの毛が逆立ち唸り始めた。
——何か、いる……?
ブブブ…… ヴン、フォースセイバーのスイッチを入れるとさらに光量が減ったようだった。
「オン、アルジ、カミサマ、いざ!」
——そればっかり……
でも、この先に勾玉があるかも……
「スザク! 行くよ」
「ワン!」
私は覚悟を決めて、扉の中へと一歩を踏み出す。
両隣で松明に火をつけたモノノフが、暗闇を照らした。
——柚月のライト、借りてくれば良かった……
コツン、コツン……
暗闇の中、モノノフのブーツの音が響く。
その先にまた階段があった。
スザクの神殿と同じ作りだ。
この上がった先に、広間があって、簾がかかった一角がある。
スザクは足元で、私を見上げていた。
「スザク、私を置いて逃げないでね……」
「ワン!」
普通の犬だったら絶対に逃げたり、何かに気を取られて言うことは聞かないはず。
——リードの代わりになるものを、何か探せば良かった。
後悔ばかりが先に立つ。
階段を登ると、思った通り広場だった。
コツン、コツン…… 一歩、また一歩と進んでいく。
埃くささと澱んだ空気。
腐臭はしない。
時間が止まった場所……
何も、動く気配はない。
——良かった。アンデッドは、いなさそう。多分……
両脇にいるモノノフも、安堵をしている様子だった。
私の後ろにロート・フォーゲル、その後ろにモノノフが数十人ついてきていた。
後ろからの松明の明かりと炎で、温度が少し上がった。
何かあれば、後ろに逃げこもう。
——それに……
簾の向こうに、スザクの神殿みたいに掛け軸があれば……
あれを詠めば、何か変わるはず。
最初にスザクの神殿に来た時に詠んだ「瀬をはやみ」で、掛け軸がかすかに光ったことを思い出した。
『グルルル……』
スザクが立ち止まって、後ろを振り向いて唸り出した。
『うわあああぁぁぁ……』
神殿の外からだった。
悲鳴に似た叫びと、地響きが聞こえてきた。
——な、なに?
剣戟の音が響いてくる。
——魔性のもの……? 外で……? なんで……?
日向…… 柚月…… 大丈夫だよね。
後ろを振り向くとフォースセイバーが、ブ、ブ……と鳴った。
赤い光は、頼りなげに点滅している。
「オン、アルジ、カミサマ……」
ロート・フォーゲルが、前を指差した。
「分かってる……」
目の前に松明に照らされた簾が見えた。
——きっと、あの中に何かある。
私は唾を飲み込んだ。
私が簾の端に手をかけた時、再びスザクが激しく吠え出した。
『バウバウ!! バウバウ!!』
スザクが飛び跳ねながら、私のキュロットの裾に噛みつき、力任せに引っ張った。
「痛っ! スザク? どうしたの?」
私は暴れるスザクの頭を撫でようと、しゃがんだ。
ヒュン!
その瞬間、鋭い風切り音が頭上をかすめた。
かすかな衝撃。
ダース仮面のヘルメットの上部が鰹節のように削れた。
私の右側に立っていたモノノフの持つ松明が、音もなく真っ二つに切断され、火のついた先端が床に落ちた。
「え……?」
「わんわんわん!!」
何が起きたのか理解ができなかった。
吠え続けるスザクの頭を、ぎゅっと抱きしめる。
はらりと、目の前の簾が真ん中から切断されて落ちた。
松明の炎が、ゆらりと揺れた。
神殿の外のざわめきが、急速に遠のいていくような感覚。
簾の向こう。
薄暗い闇の中で、黒ずんだ金属製のブーツが見えた。
ゆっくりと顔を上げる。
サビだらけのプレートメイル
手には、傷だらけの巨大なブロードソード。
がちゃりと、それが一歩を踏み出した。
全身、鎧に包まれた巨体が、威圧感を持って目の前に現れる。
ただ、あるはずのものがなかった。
首から上が、存在しない。
あるはずの首から立ち上がる黒いモヤだけが、そこにあった。
——デュラハン! まさか……
首なし騎士が、ゆっくり剣を振り上げた。




