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神様やめたい ! 〜万バズから始まるJK三人組の異世界勘違い神話  作者: タキ マサト
第二章 御主神たちの憂鬱

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12/84

12話 替え芯とゲンブへの道のり


【Ech】オカルト板

【地図にないトンネル】JK三人組の動画を考察するスレ Part13


 234: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/20(日) 01:52:33.67

 動画⑥のタイムスタンプまとめ(主なもの)


 2:15 - トンネル入口(コンクリ→煉瓦に変化が始まる)

 3:42 - 旧陸軍の軍人

 3:57 - かへりたしって赤い字

4:11 - 侍? 落武者?

 4:44 - 僧侶?山伏?

 5:12 - 崇徳天皇の和歌

 6:22 - 一つ目の鬼、首のない西洋風の鎧

 9:15 - 白い人影(0.5秒間のみ)

 9:52 - 亀、虎、龍、鳥

 10:15 - 前方後円墳(今城塚古墳説)


 267: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/20(日) 01:58:44.22

 >>234

 トンネルの奥に行くほど過去に戻る説

 最初:昭和(旧日本軍)

 →明治?(煉瓦)

 →江戸?(古語)

 →中世?(落武者、山伏)

 →平安?(和歌)

 →古墳時代


 301: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/20(日) 02:05:11.33

 ケロッパちゃんのおしりかわいい……

 

 334: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/20(日) 02:12:22.44

 >>267

 じゃあ一番奥まで行ったら……


 367: 名無しさん@オカルト好き 202*/07/20(日) 02:18:33.55

 >>334

 やめろ

 考えたくない




   ***




 

 駕籠に揺られて神殿の外に出ると、駕籠に乗せられた意味が分かった。


 青空のもと、モノノフ、農民が数百人、階段の下で平伏していた。

 

 駕籠の中から見える光景は、圧倒的だった。


——これって……


 神様らしく見せるため……?


 駕籠に閉じ込めて、謎めかせて……

 何も知らない私たちを、舞台に立たせる。


 でも、それより不安が急に強くなっていた。

 

——まさか、このまま別々にさせられないよね……?


 私は前を行く日向と柚月の駕籠を見ることしかできなかった。

 

 駕籠は神殿の階段をゆっくりと降りていく。

 階段を降りた先に、四方を幕で仕切られた陣があった。

 中には二台の牛車が(たたず)んでいた。


「も~」


 牛が平和に鳴く中、アベーノとヨシーノ、ミワーノが平伏して控えていた。


御兜(おんかぶと)の、黒神(こくしん)様は、こちらへ渡らせ、あそばせ、たまへ」


 アベーノが私だけ後ろの牛車に誘導した。


「えっ?」


——黒神…… 様……?


 ダース仮面の黒……?

 いや、玄武の「黒」だ……


 その不穏な響きにドクンと心臓が跳ねた。


 前の牛車に日向と柚月とスザクが乗せられている。

 振り向いた柚月の能面が、憂いを帯びたように感じた。


——バラバラにされた? なんで?


 嫌な予感が当たった。


「ゲンブの地は黒神様の治むる地ゆえ……」


——白虎! 青龍!


「あっ!」


 記憶の底からその単語が浮かび上がった。

 四神。玄武、朱雀、白虎、青龍。


 黒いダース仮面の私が、玄武。

 白い能面の柚月が、白虎。

 それで、青いケロッパの日向が、青龍。


 そして赤い首輪をつけたスザクというあの犬が…… 朱雀?


 なんて、偶然……


 そして、はっと気がついた。


「え? まさか、ゲンブに置き去りにされる……の……?」

 

 顔から血の気が引く。


 後ろに乗り込んだアベーノとヨシーノがうっすら笑っているように感じた。

 ぞっとして振り返る。


「ゲンブの地はもはや、人外の地にて、そふらふ。黒神さまといえども、治むること、難しと、存じ奉る(ぞんじたてまつる)……」


——どういうこと……?


 試されてる……?


 牛車は動き出していた。

 簾が静かに揺れる。

 

 平伏した農民の数は昨日より数倍に膨れ上がっていた。

 近隣からかき集めてきたのか、鬼退治の噂が広まったのか。

 畏敬の眼差しが、簾の向こうから感じられた。


 眉を寄せた私に、アベーノが追い討ちをかけるように話しかけてきた。


「ご心配には、及びませぬ。よきように、とり計らい、そふらふ……」


——信用できない……


「ねえ、ゲンブまで、どのくらいかかるの?」


「三日にて、そふらふ……」


「三日っ?!」


 頭が真っ白になった。


 詰んだ……


 今日は日曜日、三日後は水曜日。

 月曜の追試は、完全にアウト。

 無断欠席三日……


——留年? 退学?


 いや、それ以上に失踪…… 事件になってる?


 終わった……


 私は牛車の床の敷物の上に、崩れ落ちた。


 息も絶え絶えで、呼吸をするのにも喉が詰まった。


「も~」


 牛の鳴き声さえ、不吉に感じる。

 何もかも、現実感を失っていく。


 私は深呼吸をして座り直した。


 現実逃避するように鞄から数学の教科書とノートを取り出した。

 鞄を膝に乗せてノートを広げる。


 シャーペンをかちかちする音が客車に響いた。

 芯が出てこない。


 かちかち、かちかち。


 出ない。


 かちかちかちかち。


 振ってみる。


 音がしない。


「替え芯、買い忘れた……」


 私は鞄につっぷした。


『あの音。そして、あの幾何学模様の書物……』


 その後ろでアベーノが簾の切れ目から、数学の教科書を驚愕の目で覗いていた。

 振り返った私の仮面の奥の目が、その目を捉えた。


——覗き見されてる……


 シャッ。

 振り返ると、簾が閉じられた。


『星の運行を計算し……封印を解く、禁忌の術式では……?』


 アベーノが何かを現地語で、震えるようにつぶやいた。

 何を言っているかは分からない。

 けれど、その声には明らかな「畏怖」が混じっていた。


——また、何か誤解してる……?

 

 でも、私にはどうでも良かった。

 追試も、留年も、失踪事件も……

 覗かれていたことも、何もかも、どうでもいい。





  *





 頭が真っ白になったまま、牛車は昨日通った神廟への道を通っていく。

 周りはカモーノとミワーノのモノノフに警護されている。


 一番前にマカーべが歩いていた。

 後ろに日向と柚月が乗る牛車が続く。


 途中、牛車は止まり、トイレ休憩と食事になった。

 昨日と同じ、硬い雑穀のパンを変わった味のお茶で流し込む。


 登りが終わり、峠の上から前方後円墳が見え始めた。


 鬼、いやゴブリンの死体は、すでに片付けられている。

 血の跡は土で埋められていた。

 かすかに血の臭いと獣臭さが混じっていた。

 

「神廟にて、ふぉーげる卿のモノノフ等と、合流になり、そふらふ……」


 アベーノがそう言ったとき、私は閃いた。


——神廟…… あの石室。


 あそこなら、電波が繋がる。


「アベーノさん。私たちは神廟で”儀式”を行います」


 深呼吸して、息を整えた。


「白面と蛙神にも、そう伝えてください」


——これはチャンスだ。電波が繋がってるなら、帰る道もある、きっと。


 帰れなくても、連絡は取れる。

 まだ、充電は残っている。


 私は必死に考えた。


「お、おぉ…… さきほどの…… 御黒神様の、御儀式(おんぎしき)…… あの続きを……」


——ああ、やっぱり、何か勘違いされてた……


「まさしく…… まさしく…… 星辰(せいしん)を読み、封印の解除を行う、御儀式……」


 アベーノは外にいるモノノフに興奮したように現地語で指示を飛ばし始めた。


 ここの人で日本語を話すのは、今のところアベーノとヨシーノ、ミワーノだけだった。


 もしかしたら、マカーベも日本語を話せるかもしれない。

 あの日本人らしさは、混血はあまり進んでいないようだ。


 比較的、最近の転移者の子孫だとしたら……


 何か転移者たちの、言い伝えとか聞いているかも……


 淡い期待を持った。


 日が傾いてきていた。


 やがて下りが終わり、前方後円墳が近づいてくる。


 モノノフの軍勢が木々の間から見えた。

 昨日のサイクロプスを思い出す。


 神廟の前の広場で大勢のモノノフが、野営の準備をしているようだった。


 鎖帷子の金属音。

 炊事の煙、天幕。

 馬のいななき。


 昨日の静寂とは打って変わり、その場は雑然としていた。


 牛車は、その中にゆっくりと入っていった。



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