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神様。
ナンシーやカールみたいに魔力で不幸になる子をなんとか出来ないんですか?
『ごめんね』
すみません。神様に謝ってほしかったわけじゃないんです。
『わかっているわ』
すみません。
カールは話したことで吹っ切れたのか、魔法が使えるようになって吹っ切れたのか、どちらにしろ魔法を使うことをためらわなくなった。今までは魔法を使った後は元の髪色に戻していたけれど今はもう綺麗な銀髪銀眼で暮らしている。
そしてある日「お金を稼ぎたい」とカールが言い出した。
「せめて僕が壊した家の借金位は返したい」と。
だから私はお金の稼ぎ方を教えることにした。
世の中には魔法ギルドがあること、それ以外にもお金を稼ぐ方法はあることを教えた。
「ハルカはどうやってお金を稼いでるの?」
「魚を捕って売っているわ」
「僕にもその方法を教えてくれる?」
「いいわよ」
空間魔法を教えたけれど、カールは理解できなくて今はまだ作れずにいる。
私が漁をする時、一緒に行ってどんなふうにしているか見せてみた。
前は魚を目視して引き上げていたのだけど、今は一定範囲に魔力の底引き網を敷きつめ、引き上げてそのまま空間魔法へと入れている。
空間魔法にリストが出てくるように設定して、食べられない魚は処分している。
「大事なのはね、同じところではやらないことなの。あんまりやりすぎると魚が居なくなっちゃうかもしれないでしょう」
「そうなんだ⋯⋯」
「売るときはね、普段魚が食べられない地域の商人や領主に売るといいよ。
でもカールはまだ子供だから一人では売買しないほうがいいかな。まずは空間魔法が使えるようにならないとね」
「が、がんばる!」
「それと知ってほしいのは悪い人もいるってこと」
「悪い人って⋯⋯?!」
「いっぱいいるのよ。
いい人でもお金が絡むと悪い人になる事も多いわよ」
「分かった」
私が捕っている間にカールも試行錯誤しながら何度も試していた。
昼過ぎまで漁をして簡単に昼食を済ませ、薪づくりもやってみせた。
今の私はもう山一つ分を一気に丸裸に出来るようになり、その後直ぐ魔物刈りをして、枝を等間隔に一斉に挿し木して一気に成長させることを、一瞬って言っていいほどの時間でできるようになっている。
忘れてならないのは御神木を増やすことだと教えた。
カールにはまだ御神木の区別がつかないから気をつけなければならないと伝えた。
「ハルカ、本当は人間じゃないんじゃないの?」
「どうかしら?多分人間だと思うけど?」
「どうやったら山一個分の木を抜けるんだよ?」
「抜けると思えば抜けるのよ。慣れよ慣れ。私も最初からできていたわけじゃないわよ。どうすれば時間を掛けずにできるか毎日考え続けて今のやり方になったのよ。
だからカールも自分にとってやりやすい方法、もしくは稼げる方法を考えなさい」
「うん。色々考えてみる」
「カールはまず一本の木を根ごと抜けるようになることね」
カールは二十分くらい掛けて一本の木を引き抜いた。
魔力を使いすぎたのか飛んで帰る力は残っていなくて、私がカールを抱いて転移で屋敷に戻った。
その姿を見てリッテが真っ青な顔をして駆け寄ってきた。
「どうしたの?!」
「ちょっと魔力を使いすぎただけよ。ご飯を食べて眠れば明日には元気になっているわ」
リッテはホッと息を吐く。
ヴェンも安堵したようだ。
で、私はキッチンを見て肩を落としながら長い長い息を吐いた。
「すまん! 本当に悪いと思っている。少しでもハルカの手伝いをしようと思った結果、酷く手間をかけることになってしまうんだ」
「リッテ、ヴェンをキッチンに立たせないで」
ヴェンは何でも小器用に熟すのにキッチンに関わることだけは壊滅的にできない人だった。
人参の皮を剥くだけで何故か食器が割れ鍋が焦げる。
もう、何度もチャレンジしてできないと判明したのだからキッチンに手を出さないでと頼んだにも関わらずヴェンはキッチンに関わることをやりたがる。
ある意味失敗することを楽しんでいるのかもしれない。
いい迷惑である。
カールとリッテは人は努力してもどうしようもないこともあるのだと知ることができたので良かったのか悪かったのか、⋯⋯私はこめかみを押さえた。
魔法でどうにもならなくなったものをゴミとしてキッチンを片付けて、作り置きのおかずを取り出して夕食となった。




