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一昼夜経っても眠っている子供達の様子が気になって何度か様子を見に行った。
家に閉じこもっている冬で良かったよ。
前の世界で子育て経験があってもうまく育てられなかったので子供を預かるのは不安でしかない。
上手に育てられない私が他人の子供を育てるって何の冗談よって言いたい。
子育てって本当に難しいんだからね?! 神様!!
神様は素知らぬ顔を決めたのか返事はなかった。
『ハルカ。カールが起きたみたいよ』
解りました。教えてくださってありがとうございます。
急いでカールの元へ行くが、慌てているようには見えないように気をつける。
「おはよう。着替えをここに置いてあるからよかったら着替えてみて。
大きさは大丈夫だと思うのだけど⋯⋯」
私の前でも気にせずに着替え始めたカールの体は傷と青痣に覆われていた。
「寝る前にご飯を食べた部屋が解るかしら?」
「わかる」
「そう。食事を作っているから着替え終わったら降りてきてね」
今度は言葉無く首肯いた。
ついでにリッテの様子を見ると酷く魘され、寝汗をかいていた。汗を拭い取り、頭を撫でる。
ホッと息を吐くけれど目は覚まさない。
この子達に⋯⋯、一体何があったのだろう?
キッチンでカールが食べられるようにミルク粥の用意をする。
「ミルク粥を作ろうかと思うのだけど、食べられる?」
目をキラキラさせて頷いた。
パンを小さくちぎって甘く味付けしてミルクで柔らかく煮込み、カールの前に差し出す。
「熱いからね」
「ありがとう」
私は嬉しくてカールににっこり笑った。
よほど疲れていたのか熱が上がったり下がったりを繰り返しながらリッテはその日も起きては来なかった。
気になって何度も様子を見に行ったけれど二回に一回は魘されていてこの子の環境が良くなかったことだけはよく解った。
私の勘違いじゃなかったらリッテがいた場所は地下牢だった。
こんな小さな子が地下牢に入れられるって⋯⋯何があったんだろう?
『この子は何も悪いことはしていないわ』
神様⋯⋯また私のプライバシーを侵害しましたね?
『そ、そんなことはないわよ?』
疑問形になっていますよ!!
『今はリッテの話よ!!』
ごまかそうとしていますね。
『リッテもカールもナンシーと同じ理由で虐待されていただけなのよ』
そうですか。虐待はそうかなとは思っていました。
でもカールの髪も瞳も濃い色をしていますけど⋯⋯。
『無理やり染めさせられているのよ。カールは薄い髪と瞳よ』
そう、ですか。
やっぱりなと思った。
リッテは目覚めないまま翌朝になった。
今日は雪はやんでいて長い冬のたまの晴れ間だった。
やっと目覚めたリッテは熱は下がっていて何を話しかけてもお腹がぐーと鳴って返事していた。
はにかむリッテは本当に可愛らしい。
本人は恥ずかしくてたまらないのだろうけど。
リッテとカールに柔らかく煮た具沢山の野菜のスープを食べてもらった。
一息ついてから三階に連れて行って窓の外を見てもらった。
「ね。一面雪景色でしょう? 雪が溶けるまでは外に出るのは我慢してね。雪が溶けたら外で遊びましょうね」
二階のカールの部屋の窓を開けると窓の半分くらいまで雪で埋もれている。
二人には出てきてはいけないと言い、私はその窓から外へと出る。
ズッポリと体が埋もれてしまい身動きが取れない様子を見せる。
そして転移で室内に戻る。
「柔らかい雪の上は出られなくなる可能性があるから二人は外に出ないでね。危ないから」
二人はコクコクと頷いた。
数日が経って昼間は安心した様子を見せるようになったのだけれど、夜になると二人とも魘されていることが多かった。
更に数週間ほど経った頃、リッテがぽつぽつと身の上話をしてくれるようになった。
何時からか分からないけれど貴族のお屋敷にいたこと。そこでお嬢様と呼ばれていたこと。
おじいちゃんと呼んでいた人が居た頃はこの家と同じような部屋で住んでいたこと、おじいちゃんが突然居なくなったこと、ご飯が出なくなったこと、同じ衣装を着た人が知らない人に替わっていき、知っている人は一人二人と居なくなっていったこと、夏からあの鉄格子がはまった部屋に入れられ、ほとんど食事を与えられなかったことなどを話してくれた。
カールの口は重く何も話さなかった。
声を掛けると返事はしてくれるようにはなったし、お手伝いは何も言わなくても進んで手伝ってくれている。
髪も瞳も黒いままでカールはもしかしたらもう魔法を使えないのかもしれないと私は考えていた。




