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年が明け、冬の寒さが一番厳しくなった頃、神様にある集落を助けてやって欲しいと頼まれた。
子供達だけ残して行けないと言うと『それは我慢してもらうしかない』と言われた。
神様は子供達に存在を知られたくないようで子供たちには直接話しかけたりしないし気付かれないように気をつけているような気がする。
「カール、リッテ、ちょっと用事ができたので出かけてくるわ。
なるべく早く戻るつもりだけど昼ごはんには間に合わないかもしれないからここに置いていくからお腹が空いたら食べてね」
リッテだけでなくカールまでもが不安そうにしている。
「早く帰ってきて」
リッテが目に涙をためて祈るように私に言った。
二人の頭を撫で「なるべく早く帰るわね。仲良く待っていって。行ってきます」という言葉を残して私は二人の前から姿を消した。
一度屋外へ出てから神様に行き先を尋ねる。
何処に行けばいいんですか?
『パールモートへ転移して』
パールモートに着いて神様がいう方へ何度か短距離の転移をした。
飛ぶのは寒かったので遠慮させてもらった。
神様に言われ方へと進むと十世帯程の小さな集落についた。
『もうすぐここで、この村が潰される雪崩が起きるの。この集落は埋もれてしまうわ』
神様は助けないと言いつつ私に助けてやってほしいと頼んでくる。
本音と建前なのだろうか? よく解らない。
神様に選ばれた人がいるから助けさせるのか、それとも目についた人たち全てを助けているのか、私にはわからないけど伸ばせる手は伸ばしてあげたいと思っている。
この村の人を何処に転移させればいいですか?
隣の集落を指差され、首肯く。
集落には三十人ほどの人が居た。
この後雪崩が起きると言うと山肌を見た者達が納得した。
納得してくれた人から順に別の集落に転移させる。
残り三人になった時、雪崩が起こった。
残された三人を抱え急いで転移する。
雪崩から助かったもののこの寒空にどうやって生きていけばいいのかと悲嘆に暮れる人たちを置いて、私は前から目を付けていた屋敷を彼らの集落が会った場所からほど近い場所へと屋敷を移築させた。
転移した集落の方にそのまま屋敷を移築したら元々住んでいる人たちと諍いが起こるような気がしたから元の集落近くに移築した。
一様に驚きの声が上がる中、冬の間はここに住んで欲しい事を告げ薪と食料と衣類を渡した。
ベッドも各部屋に設置し「雪が溶けたらまた来るからそれまではここで助け合って生きて」そう言いおいてカールとリッテの待つ家へ戻った。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「昼ごはん食べた?」
「まだ⋯⋯。一緒に食べようと思ったから⋯⋯」
「そう、待っていてくれてありがとう。でも、今度からは先に食べてね。お腹をすかせてまで待つ必要はないからね」
一緒に食事をして三人一緒に暖炉の前でゴロゴロする。
お風呂も一緒に入る。いまはもうカールの体に傷も青痣もない。
二人に文字を教えて簡単な計算も教える。
私が知識として与えられた常識も教えていく。
ここはハピネイス国らしいからハピネイス国の常識を。
ドサリ、ドサリと雪の塊が落ちる音があちこちで聞こえるようになった。
二階の窓を埋め尽くした雪が減り始め二階の部屋に陽が差す日が増えた。
一度溶け始めるとあれよあれよという間に雪は溶けていき、屋敷のドアが開けられるようになった。
カールとリッテに外に出てもいいと伝えると二人はおっかなびっくり雪遊びを始めた。
こんな時はカールも無邪気に笑って遊ぶようになった。
二人でいることが救いになっているのだろうと思う。
いつの間にか地面が見えるようになり、雪はすっかり溶けてしまった。
冬に雪崩から助けた集落へ赴く。
元々住んでいた建物を修復し雪崩の影響を受けにくい場所に移築させていく。
二軒だけはその場から動きたくないと言い、移築を断られた。
井戸を掘り食料を渡し、畑の整備をしてから屋敷ごとその村を後にした。
帰ってみるとリッテが屋敷の扉の前で待っていた。
「こんな処に立っていたら風邪を引いてしまうわ」
と急かして中へ一緒に入った。
話を聞いてみるとカールと喧嘩したのだそうだ。
どっちもどっちな内容だったので、私は寒い間は喧嘩しても外にずっと居たら駄目だとだけ伝えた。
喧嘩。大いに結構。二人とも暴力は怖いことだと知っているので手を上げたりしない。
だからそんな心配をする必要はない。
次に二人を見かけた時は一緒に遊んで笑っていたので大した喧嘩ではなかったのだろう。
喧嘩するほど仲良くなったのだと思うと嬉しくなった。




