表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力が多すぎて親に愛されなかった子が親の気を引きたくて自殺してしまった体に入れられてしまった。  作者: 瀬崎遊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/33

31

 初めて神様の力で転移させられた。

 特別な何かを感じたりしないけど、知らない場所に放り出されるのはあまりいい気分ではなかった。


 ここが何処か見当もつかないが、目の前に九歳くらいの女の子が横たわっていた。

 背中まで伸びた薄い白金色の髪、目を閉じていて分からないけれどきっと瞳の色も薄いだろう。

 かなりの魔力が使えるんじゃないかな?


 冷たい石壁に囲まれた何もない小さな部屋。というか牢屋。

 この寒い冬に粗末な半袖のワンピースを着ている。

 女の子に触れると体は異様に熱かった。

 熱が出てる。

 癒やしを何度も掛けながら自宅に戻る。


 客室に転移して急いでベッドを取り出して女の子に洗浄の魔法をかけ、ベッドに横たえる。

 口の中に人肌より少し温かいお湯を直接入れると無意識でもコクンコクンと飲み込んでいる。

 暖炉に炎を放り込み部屋を暖める。


『その子は一旦そこまででいいわ』





 もう一人の子の所へ神様の力で転移させられる。


 大柄な男にズボンを履いた男の子が殴られ、蹴られている場面に遭遇してしまった。

「小さな子に何しているのっ!」

 私が声を掛けると殴っていた男は飛び上がった。

「な、なんだ! おまえ?!」


 男の子に駆け寄り、この子にも癒やしを何度も掛ける。

 病気と違って怪我は目に見えて治っていくから癒やしが効いているのが判別しやすい。

 男が後で何か喚いていたが放っておいた。


 男の子はすぐに意識を取り戻し私に驚いていた。

 自宅のキッチンに転移して洗浄の魔法を男の子に掛ける。

 気を付けてゆっくり話す。


「驚いたよね? ごめんね。よかったらそこに座って」

 椅子を差し示す。

 何も言わずに男の子は椅子に座った。

 黒い髪に茶色の瞳、魔力がない?


「お腹空いている?」

 首を縦に振る。

 どれほどの食事を摂取していたのか分からなかったので、ゆるめの雑炊を作って差し出した。


「熱いから気を付けてね」

 毒は入っていないと見せるために一口私が食べて見せた。

「今まであまり食べていないようならあまりたくさん食べないほうがいいわ。体が驚いて()いたり、お腹が痛くなるから」

 男の子は黙って頷き、食べ始めた。


 私は席を外すことを伝え、女の子の様子を見に行く。

 熱は下がっていて、外見上悪い所は見つけられなかった。


 ただ眠ってるだけかな?

 額を触ったことで目が覚めたのか、女の子がゆっくり目を開け、状況を判断した途端ベッドから飛び降りた。


 そして何度も「申し訳ありません」と繰り返した。

「謝る必要はないのよ。私が勝手にあなたを連れ出してしまったの」

「ええっ? 大変なことになってしまいます。私はすぐに戻ります」


「あなたの力で戻ることはできないと思うわ。

 私もあなたがいた場所が何処かわからないし。

 ねぇ、お腹空いていない?」

「⋯⋯空いてます」

「じゃぁ、食べに行きましょう。歩ける?」 

「はい」

 

 キッチンに行くと男の子は雑炊を食べ終わっていた。

 女の子の分を新たに作る。

 雑炊を男の子の時と同じように一口食べて差し出す。

「熱いからゆっくり食べてね」

「はい。ありがとうございます」


「私はハルカ。あなた達の名前教えてくれる?」

「カール」

「リッテです」


「そう、カール、リッテ、勝手に連れてきてしまってごめんなさい。でも、二人共あの場所に置いていくことが出来なかったの」

 リッテはゆっくり食べながら、カールは温めた果実水を飲みながら私の話を聞いていた。


「ここはどこですか?」

「えっ、ああ!! 私も知らないわ!!」

 ぽかんと口を開けた二人が可愛いと思ってしまった。


 神様ここはどこですか?

『ハピネイス国の立ち入らずの森よ』

 ハピネイス国に居たんだ・・・知らなかった。

「ここはハピネイス国の立ち入らずの森という場所らしいわ」


 聞いても分からなかったのだろう。

「もう一度謝るわ、もうあなた達がいた場所には戻れない。いいえ違うわね。戻したくないわ」


 一度行ったので私も転移できると思う。この子たちがいた場所と思えば転移できる。

 でも私が戻す気がないので戻れないでいいと思う。


「ここに私と一緒に住んでね」

 二人共涙を流しながら「はい」と言った。

「今は屋敷の外は雪だから出られないけど、屋敷の中は自由に過ごして。


 ご飯は朝、昼、夜の一日三回よ。

 一緒に食べましょうね。


 今日は疲れているでしょう?

 部屋に案内するわ」


 二人の部屋を隣同士にして部屋を自由に行き来できるように扉は開けたままにする。

「今はあまり物がないけど、少しずつ増やしていきましょうね」

 理解しているのかしていないのかわからないけど二人は小さく頷いている。


「二人の部屋の前が私の部屋よ。扉を開けておくからいつでも入ってきていいからね。ゆっくり休んで。おやすみなさい」

 二人共大人しくベットに入ると同時って言ってもいいくらい直ぐに眠った。


 私は慌てて近くの街に転移して、子供達に必要だと思うものを買いに来た。

 とりあえず二人分の服と下着を五着ずつとパジャマを買う。


 咄嗟に何が必要なのか考えつかなくてまた買いに来ればいいと思い、子供たちの下に急いで転移で戻った。

 ぐっすり眠っているようでホッとした。

 買って来た衣類全てに洗浄を掛け、二人のベッドの足元に置いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ