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魔力が多すぎて親に愛されなかった子が親の気を引きたくて自殺してしまった体に入れられてしまった。  作者: 瀬崎遊


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 この世界では貴族の成人は十八歳とされているが、貴族と王族以外の成人は十五歳である。


 十歳で働く資格が与えられるのだけれど、それはお手伝いに毛が生えた程度の仕事内容と収入だったりする。


 ちょっと酷いところは十五歳の労働と十歳の労働が対して変わらないのに十五歳以下の収入は十五歳が貰える金額の半分ほどしかないというところだろう。


 ちゃんとした収入は十五歳になってからしか支払われない。


 十五歳になると成人として扱われるので宿への宿泊も一人でできるようになる。


 貴族の十五歳は成人ではないので成人している誰かと一緒でなければ宿泊はできない。




「食事はどうする?」


「川で泳いでいた大きな魚出してもらえますか?」


「大丈夫よ」


「ではそれでお願いします」


 部屋は三階の一番手前の一室に案内された。


 おねーさんにドンと渡されたのが分厚くて長い板だった。


 十五×十五×百二十cmもあって、結構重量がある。


 私が首を傾げているとおねーさんが笑って教えてくれた。


「女の子一人だからね、中から(かんぬき)掛けてね」


「あ〜〜〜!! なるほど!! ありがとうございます」


 おねーさんが部屋から出て行ったので、言われた通り内側に閂を掛けて、室内に洗浄魔法をかけた。


 自身にも洗浄を掛けてさっぱりする。




「遮音? 防音? どっち? 魔法!」


 これで音漏れしないかな?


 外のざわめきが聞こえなくなったから大丈夫かな?


 ところで遮音、防音どっちで魔法が掛かったんだろ?



 これで魔法が使えるのだから魔法ってちょっといい加減すぎないか? と思ってしまう。


 で、ちょっと引っかかっていたことが一つ。


 魔法はイメージなのよね?


 ならちゃんとしたイメージさえあれば日本に戻れるんじゃないいのかな?


「試してみる?」


 頭の中で自分の部屋を思い浮かべる。


 それはもう鮮明に思い浮かべることができる。


 日本の自室へと「転・」



『わぁーーーーー!! ハルカ! ハルカ!! 止めて! 転移を中止して!!』


「び、びっくりしたぁ〜〜〜!! か、神様? なんですか?!」


『地球に転移しようとしてたでしょう?』


 神様がちょっと焦っている。


『お願い。地球への転移は止めて!!』


「えっ? どうしてですか?」


『成功するかどうかわからないという理由が一つね。

 で、万が一間違って成功したとしてもナンシーの持つ魔力でも魔力が枯渇するかもしれないわ。

 で、魔力が枯渇してしまったら死んでしまう可能性があるの。

 で、魔力が枯渇しなくて死ぬことがなくても多分二度とこちらには戻ってこれないと思うわ』


「え? どうしてですか?」


 びっくりしてさっきから声を出していることにも気がついていなかった。


『地球には魔素がないから魔力が戻らないかもしれないの。

 もしかしたら睡眠や食事で魔力が戻るかもしれないけど、どれくらいの時間が必要かもわからないわ。

 

 それで考えてみてくれる?


 そのナンシーの容姿で地球という個人が管理されている世界でどうやって生活するの?

 使えば手持ちのお金は減っていく一方で身分を証明できないナンシーの体でどうするの?』


 ナンシーの髪を一房手にとってため息が出た。


「理解しました⋯⋯」


『ごめんね』


 神様が謝ることじゃないですよ。私は第二の人生を与えてもらっている立場なんですから。


『地球に帰りたい?』


 帰りたいかと聞かれたら帰りたいですけど皆川晴夏として帰れないんじゃ生活できませんしね。


 きっと記憶喪失のフリもできないでしょうし、地球ではこの容姿は異質ですからね。


 ところで神様。


 私は気分を変えたくて神様に捕獲した魚を〆るつもりなのだと話した。





 魚を取り出し、持ち手を付けてもらった針で〆ようと思ったらビッタンバッタンと暴れてどうしたらいいのかわからない。


 神様⋯⋯どうしたら良いと思います?


 一旦魚を収納する。そうでないと部屋が壊されそうな勢いで暴れるので怖い。


『魔法で魚を固定してみたらどう?』


 固定。⋯⋯できる気がする。 


 収納から出すと同時に「動かないように固定!!」


 大暴れしていた魚がピタッと動きを止めた。


 それでもビクビクと動いているのだけど大暴れされることを考えたら可愛いもの⋯⋯やっぱりちょっと怖い。


 私の体よりうんと大きいんだから怖くても仕方ないと思うのよ。


『ハルカにも恐怖心ってあったのね⋯⋯』


 それぐらいありますよ!!




 えーと、船頭さんが突き刺していたのは目の後ろ側だったよね。


 右でも左でもどっちでもいいのかな?


『どっちでもいいわよ』


 針をぐっと差し込んだ。


 ビクビクと動いていた魚がピクとも動かなくなった。


 ほ〜〜ーーー。一安心。で、血抜きだよね。


 どうすればいいかわからないから、これも魔法で解決しちゃおう!!


「魚に流れている血を吸い出して!!」


 あ、失敗した。バケツか何かが必要だったよね〜。


「床が血まみれになっちゃったよ」


 失敗失敗。


「洗浄!!っと」


 よし! 魚も綺麗になったし、とりあえず時が止まる空間へ収納!! と。


 神様。お世話様でした。


『じゃぁね。地球に関することは事前に相談してね』


「気をつけます」




 あっ・・・この魚をさばく大型の包丁が必要だったわね。


 あれ? でも私この魚、大きすぎてさばけないよね?


 まぁ、いいか。魚も〆る事できたし、収納も問題なくできた。これで一安心ね。


 もう一度部屋に洗浄魔法をかけとこうっと。




 

 ちょっと疲れちゃったわ。ベッドに転がり目を瞑むった。


 自分では二〜三十分ころりとするだけのつもりだったのに、目を開けたら陽がかなり傾いていた。


 ちょっとこの体、鍛えなくっちゃね。


 体力なさすぎ!!





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