16
神様が指し示した方向へ細切れに飛んでいくと新しい街が見えた。
『ここはレイタックっていう街よ。一旦下に降りてくれる? お金と身分証明書を渡しちゃうから』
分かりました。
こんもりと地面の上に置かれた金貨に驚く。
こんなに沢山あるんですか?
『マッカート家がナンシーに年間用意している金額よ」
年間? って事はこんなに使っちゃうんですか? ナンシーってば一年で?
『ナンシーは物を壊すし、人も傷つけてたからね。平民なら孫の代まで遊んで暮らせるわよ』
⋯⋯⋯⋯あの父親。ナンシーにお金は、掛けてたのね。
『それと身分証明書ね。この世界で唯一統一されているものなの。絶対に無くさないでね。作るのすごく大変だから』
渡された身分証明書は所謂ドックダッグなのだけど、色は金色で、一枚には名前、ハルカ・ミナガワ、年齢十五歳と記載されていた。
私の名前⋯⋯。
『ミナガワっていう名前はちょっとないんだけど、世界に一つだけの名前って結構あるからまぁいいかなと思って。
顔や姿はどうにもならないけど、名前は登録してしまえばこっちのものだからね』
ありがとうございます。すごく嬉しいです。
『どういたしまして。その身分証明書は偽造じゃなくて本物だからどこに出しても問題ないから安心してね」
はい。
『最後の仕上げにその身分証明書に魔力を流してね。それで完璧な身分証明書になるから。宿にも泊まれるわよ』
言われたとおりに魔力を流して首に掛けた。
『完璧ね!』
思い出して収納から手鏡を取り出して瞳の色を見た。
群青色をイメージしたつもりだったけど、水色の瞳だった。
これ以上は濃く出来ないってことかな?
神様、もしかして髪と瞳の色を濃くしたら魔力って減っちゃいます?
『そうね、止めた方が良いと思うわ。万が一染まっちゃうと扱える魔力が減るかもしれないわ。
今、既に減っている気がするわ』
慌てて解除して鏡を覗き込んだ。大丈夫。
瞳も髪も元の色に戻った。
元々短いのにそれ以上に短くてごめんなさい⋯⋯。




