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魔力が多すぎて親に愛されなかった子が親の気を引きたくて自殺してしまった体に入れられてしまった。  作者: 瀬崎遊


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 目についた衣服が吊るされている露店のおっちゃんに着替えるところはあるかと聞くと、木枠に覆いを掛けてくれたので、ここで買うことにした。

 

 お腹がグーッと鳴ったのでここで朝食を摂ることに決める。


 露店の出来合いの食べ物は一つ食べてから美味しいものだけ追加で購入した。

 

 魔力を使っているからかいつもの倍以上の量を食べられる。


 露店のあちこちでいろんなものを買って食べ歩く。


 日本人の感覚があるから食べながら歩くことになんとも思わない。


 ナンシーの感覚だととんでもないことみたいだけど。


 露店でいろんなものを摘んでお腹が大きくなった頃にガラス瓶を見つけた。


 向こうが歪んで見える分厚くて重いガラス瓶。


 日本人の感覚ではものすごく高額だったけど十個も買ってしまった。


 見たことのない果物だったけど、天然酵母用に適当に六種類買ってみた。


 洗浄魔法で瓶を洗って、果物は水魔法の水で洗う。


 酵母菌が無くなったら困っちゃうから魔法で集めた、ただの水。


 収納から取り出した包丁とまな板で適当な大きさに切って、砂糖は調理室から頂いてきたものを使う。


 瓶に詰めながらちょっと果物の味見。うん。美味しいっ!


 一つはレモンみたいに酸っぱかった。


 レモンの酵母も美味しいよね〜〜! 成功すると良いな。


 朝市では砂糖売ってないんだよね〜。


 もしかすると貴族くらいしか手に入らないのかもしれない。


 目分量で果物と水と砂糖を入れて、発酵室を三十五度に設定して湿度は五十%にして収納した。


 どれが成功するかな?


  

 肉も多めに買い込んで、熟成肉も作っちゃうよ〜。


 空間魔法があったらドライエイジングも夢じゃない?!


 吸水紙はないけど、魔法でなんとかなるかな。


 失敗も恐れないぞっ!


 肉もあちらこちらの店で大量に買い込んだ。


 店の人が「そんなに買ってどうするの?」って驚いていた。


 鶏肉っぽいものから魔物の肉まで!


 魔物の肉には驚いてしまった。


 なんでも魔物の肉は傷みにくいのだとか。


 夏場に一週間外に放っておいても傷まないのだとか。


 これには本当に驚いた。


 そんな肉を食べて大丈夫なのかと心配になる。


 食べて本当に大丈夫なの? って思うけど、こちらの常識を知っている私は不必要な心配で、大丈夫だと知っている。

 



 別の服の露店も見つけて、平民服を何点か見繕って購入した。


 楽しいっ!! 買い物って本当に楽しいっ!!


 沢山の人が並んでいる露店があり、お腹はそこそこ膨れていたのだけれど、オススメを一人前注文した。


 内陸のせいかな? 味は悪くないけど全体的に塩が薄い。


 収納から塩を出して少し足す。


 うん。満足!!


 お腹いっぱいになってそぞろ歩く。


 日本の朝市とよく似ているけれど少しずつ違う。見るものすべてが新鮮。

 

 神様。本当に魔物って居るんですね?


『森の中には、いるわね。だから街や村には外壁があるのよ』


 外壁が必要なのね。


 魔物退治とかの仕事ってありますか?


『冒険者ね』


 そうそう。冒険者。私になれそうですか?


『魔力だけならなれるけど、この世界女性が冒険者になる人っていないのよ。まぁ、ハルカなら大丈夫だろうけど』


 えっ?! そうなんですか?! ⋯⋯想定外です。ちょっと考えてみます。


 冒険者になれないなら女性はどういう職業につくんですか?


『それはいろいろだけど農作業や家事手伝いみたいな感じね。女性がお金得ようと思うと商家や豪農の下女や使用人くらいだわ』


 女性の地位が低い時代なんですか?


『そういうわけでもないのよ。女性というだけで大切にされているわよ。だから危険な冒険者なんかはさせないって感じかしら。まぁ、それも国が変わればまた違ったりするんだけど、この大陸は概ねそんな感じだと思うわ』


 この先私がどうやってお金を手に入れればいいのか解らなくなって考え込んでしまった。





 暫く考えながら歩いていると『そこが冒険者ギルドよ』と言われて中を覗いてみる。


 ガテン系のにーちゃんがいっぱいいるわぁ⋯⋯。


 異世界って言ったらギルドだよね〜。


 中入ってみたいな〜。怒られるのかな?



 ちょうど出てきた人に尋ねてみる。


「ここって冒険者ギルドですか? 無関係な私でも中に入っても問題ないですか?」


 ちょっと面食らったような顔をした腕が私の太腿くらいあるお兄さん⋯⋯おじさん? に尋ねてみた。


「別にいいんじゃないか? 依頼人とかも入ってくるからな」


「あっ、そうですよね。ありがとうございます」


 目立たないようになるべく音を立てないように中に入っていくと、熱気で気圧された。


 きょろきょろと視線を彷徨わせているところをさっきのおじさんとは違う人に見咎められた。


「なんだ? ちっこいのが紛れ込んでんな」


「あぁ?」


「ほんとだ」


 一斉に私に視線が集まる。


 ちょっと腰が引けたけど五十五歳まで生きた経験がある私は、大丈夫! 大丈夫よね?!


「迷子か?」


「いえ、ちょっと見学に⋯⋯」


「見学ぅ?」


 語尾が上がる話し方で、ヤンキーのにーちゃんみたいだ。


 クスッと思わず笑ってしまって周囲の血の気が上がる。


「ごめんなさい。実は両親が魔物に襲われて死んでしまって! 頼る人も居なくて仕事を探しにこの街に来たんです」 


 ちょっと作り話を反射的にしてしまった。


「死んだのか?」 


「はい。冒険者ギルドで冒険者になれないかと思ってしまってちょっと見学に来たんです」


「そうか⋯⋯」


「でもよー、女に冒険者は無理だぜ」


「そうなんですか?」


「そうだな。力仕事だしな。女が冒険者になったって聞いたことがないし危ないぞ」


「お嬢ちゃん、魔力あるんだろ? だったら魔法ギルドへ行った方がいいぞ」


「誰か魔法ギルドの方に行くやつ居ないか?」


「俺達そっちに行くよ」


「連れて行ってやれ」


「分かった。ちょっと待ってな」


「ありがとうございます」


 なんか魔法ギルドに行くことになってしまった⋯⋯。





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