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まだ陽が明けない時間に神様に起こされる。
ちょっと早くないですか?!
『私に起こさせて文句言うってどういう事? 朝市とか見たいかと思って起こしてあげたんだけど?』
えっと、すみません⋯⋯。
是非とも見たいです。ありがとうございます。
自分で起きるつもりだったんですけどこんなに早いとは思っていなくて⋯⋯。
『なにか文句あるのかしら?』
いえ、何もありません。起こしてくださってありがとうございます。
『まあいいわ。でね、転移は見えている範囲か、知っている場
所でないと行けないと思うのね』
そうなんですね。神様がぱぱっと連れて行ってくれるのかと思っていました。
『出来なくはないけど、自分で行った方がいいわよ』
がんばります。魔力足りますか?
『魔力の心配は要らないわ。冗談じゃなくナンシーは国一つくらいは壊せるだけの魔力は持っているから。
さぁ! さっさと準備して!! 行くわよ!!』
解りました!!
とりあえず急いで身支度を整えるだけで準備完了とした。
おまたせしました!
『とりあえず学園なら分かるでしょう。学園に転移して』
はい? どうやって転移すればいいのでしょうか?
『どうやってって転移すればいいじゃない』
転移したことないんですが?
『あーーーそうだったっけ?』
あっ! そうだ!! 先にこの屋敷にあるもの全部収納してしまいますのでちょっと待ってくださいね。
今まで眠っていたベッドを洗浄魔法を使ってから収納して、後残っているものがないか確認してこれで準備万端。
今度こそお待たせしました!!
転移の方法を教えてください。
『とりあえず学園を思い浮かべて「転移」って声に出してみればどうかしら? それで転移できると思うんだけど?』
あ⋯⋯そこはかとなく失敗の香りがするんですが?
『いいからやってみなさいよ! ナンシーならできるわよ!!』
いえいえ!
ナンシーは転移ということすら想像したことがなかったのでナンシーも転移したことがありませんよ。
ちょっと、いや不服いっぱいにそう告げる。
『いや、ほら、地球の物語のようにできると思って「転移」って思えばできるわよ!! 地球の知識を活用しなさいよ!』
地球には魔法はないんですってば!!
『空想上のものとして地球で魔法は定着していたでしょう?!
何でもできる便利なものと考えればいいのよ。
この世界の人たちは柔軟な思考っていうのがないから魔法を十全に使えないけど、地球の知識とナンシーの魔力があれば何でもできるわよ』
私、もう五十五歳で頭が固くなっている自覚があるんですけど⋯⋯?
『そこはナンシーの若くて柔軟な思考をフル活用すればいいのよ!!』
ナンシーに柔軟な思考はありません。
どっちかって言うと視野狭窄ですよ?!
『あーーーコホン。
四の五の言わずにとりあえず学園の具体的な場所を思い浮かべて「転移!!」って言ってご覧なさいよ!!』
失敗して体の半分だけが転移しちゃうなんてことないですよね?
『考えなければ⋯⋯大丈夫⋯⋯よ?』
すっごく不安になってきました。
『もう! いいから早く転移しちゃいなさい!!」
不安ばかりが膨れるものの学園の校庭のど真ん中に自分がいることを思い浮かべて「転移!!」とやけくそ気味に叫んだ。
『ほらね。できたでしょう?!』
できましたね⋯⋯。嘘みたいです⋯⋯。
想像した通り、学園の校庭のど真ん中に瞬き半分の時間も掛からずに移動し終えていた。
『今度は空飛べるでしょう?』
はっ?!
飛べませんよ!! 人間は空を飛べません!!
『飛べると思えば飛べるわよ。転移できるんだから』
あーーーまぁ、そうですかね?
人が飛べたら人類の夢を叶えたことにならないですかね?
この世界の人って空飛べるんですか?
『まぁ、飛べる人は⋯⋯⋯⋯いる? かな?』
OH My Got!! 地球の神様!!
この世界の神様に常識を!!
「え〜〜〜っと、飛行?! 飛べっ! フライ!?」
地面から体が少し浮くことを想像する。
『もっと高くに! せめて木より高くよ!』
そう言われて高度を上げていくことを想像する。
体がほんの少し浮くとバランスが取れなくなり、転がり落ちた。
顔から落ちてしまった。
「神様⋯⋯痛いです」
『浮いても普通に歩けると思いなさい。無重力じゃないんだから体勢は保てるはずよ』
空飛んだ人なんていないんですよね?
『転移した人もいないわよ!!
飛べると思えば飛べるわよ!!!』
他人事だと思って⋯⋯⋯⋯。地に足がついていないのに歩けるわけがないじゃないですかっ!!
とりあえず今の姿勢のまま普通に浮かぶことを想像する。
『そう! いい感じよ!! もっと高く!!』
10cmが20cmに。少しずつ高度を上げて、校舎より10m位高い所まで浮いた。
『今度はまた転移よ』
神様がなんとなく指差しているような気がする方向を向く。
下を見てちょっと怖くなる。
この高さから落ちたら死んじゃわない?
『落ちることなんて考えたら駄目よ!!』
そ、そうですね⋯⋯。
緑に覆われた地表に北海道の山の上から見た広大さを感じ、素直にこの世界も美しいと思った。
見えるのははるか先にある地平線。
転移って言えば見えている場所に転移できますか?
『イメージをしっかりね』
分かりました。
「転移!!」
『一気に飛べたわね』
見える先は地平線なので見える範囲で空を飛んでみました。
何処かの街に立ち寄りたいです。
『そうね。じゃぁ、同じだけ飛んじゃうと行き過ぎちゃうから今度は短く転移して』
分かりました。
「転移!!」
何度か小さな転移を繰り返した。
『ちょうどいい感じね。もうちょっと高くあがってみて。左斜め前に街が見えるかしら?』
あっ、はい。見えました。
『あそこなら朝市があるわよ』
街の外の方が良いですよね?
『そうね。任せるけど、転移や飛んでいるところを人に見られないほうが良いと思うわ』
街の上空に転移して人気のない路地にもう一度転移して街の中に降りることに決めた。
眼下に朝市らしきものが見える。
『この街はヨーランっていうの。ちょっと大きい街だから見て回るといいわ。今夜ここに宿をとってもいいし、他に行ってもいいわよ』
分かりました。
人の居ないところに転移して知らぬふりで歩く。
衣装がちょっと、いやかなり浮いてる気がする。
メイド服着てきたんだけどな。エプロン無しで。
全体の服装を見て、買うべき服装の見当をつける。
朝市の中で服が吊るされている露店を見つけたのでそこで服を買おうと思ってポケットを叩いてお金を持っていないことを思い出した。
神様!
お金貰ってませんっ!
『ごめんごめん忘れてたわ。はい、今はこれだけね、人目が無くなったら全部渡すわ。
一握りの金貨が手の中に現れる。ポケットに仕舞ってポケットの上を叩いてみた。
倍にならないかな? ビスケットじゃないから無理かな?
神様。ありがとうございます。




