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第4話 覚悟と緩急

「氏家さん、いきなり指名してすいません。色々非常識なことや行動をしてしまうかもしれませんが監視御目付役、俺の部下(仮)としてお願いしまう」


俺は有坂大佐の見る部屋から出て少し歩いた所で頭を下げながら謝罪と今後迷惑をかけるであろう事を言った


それを見た氏家は不思議そうに


「監視役である私を部下というか・・・」


「不快でしたか?一応、そういう態度を事前にして合わせておかないと他の人間に対して説得力がなくなるかもしれないと思ったもので。嫌でしたら他の未来人の前でしか振る舞わないので」


氏家はその発言に数秒俺を見つめた後


「不快ではないが奇妙とは思っただけだ」


「奇妙ですか・・・まぁ何処らへんがですか?」


「普通の少年なら監視役を嫌いますよ?」


「嫌ですよ、普通に。それでも監視役がいないと駄目でしょう。こんな怪しい集団のしかも代表にしてくれとか技術を教えるから保護してくれとか言ってくる子供相手に」


嫌に決まってるじゃないですか。それでも監視役がいないと俺達の無自覚のヤバい行動も指摘してもらわないとこっちもいけないからな


「俺が有坂大佐の立場なら監視をつけます


俺は口には出さなかったが何ならほかのみんなには数人を保護という名の監禁をして逆らえば殺すそしてそれを俺のせいにするからこっちの命令通り未来人を誘導しろぐらいする


俺への圧力と命令を確実に実行させるために統制という意味では合理的だからな。まぁ、それをさせないために情報開示した部分もないわけじゃないからな


「本当に客観的に今置かれている状況を把握しているんだな」


氏家は少し可笑しそうに小さく笑った。氏家は軍人相手なら真面目な話でよく分かっていると思うがそれを未来から来たと言っている、しかも、少年が言っているんだ奇妙な状況に笑ってしまった。


「それにお互いに確実に常識の違いから摩擦が起こります」


「どういったものが起こると考えているんだ?」


「色々ありますよ」


氏家に聞かれて俺は指で数えながら言っていった


「言葉遣いとか」「服装とか」「男女の距離感とか」「食事とか」「政治の話とか」「宗教の話とか」「衛生観念とか」「技術の知識とか」


「まぁ、一番ヤバいのは無意識の侮辱でしょうね。極端な例で言えば先ほどの天皇陛下を侮辱した先生みたいな事をしてしまうかもしれないですから。あそこまでは我々の中でもかなり特殊ですが何かの弾みで言ってしまうかもしれないので」


「確かにそうですね」


「ですから、無礼を言った場合は指摘してください。護衛の人達にも伝えてもらえますか?」


そうしておかないといけないのはよく分かっている


それから数分して氏家に連れられて金田先生や加賀の他に一緒にタイムスリップした200人の人間がいる講堂の前にやってきた。扉の前には銃剣を抱えた軍人の2人が氏家が目がはいると敬礼した。


「氏家軍曹、お疲れ様であります」


「異常はないか」


「はっ。騒ぎはありましたが現在は落ち着いております」


「そうか」


・・・軍曹だったのかこの人。まぁそれはいいや。若い方がお互いに相互理解すやすいと考えよう。こっからはある意味対等な勝負をしないといけないからな。


相手側有利な手札は軍と強い繋がりがあるとは思わせられることで不利な手札はほとんどが俺を知らない、知っていてもクラスの連中と他に何人かぐらい。しかも、俺は鍛えてるわけでもないから弱く見えるし教師でもないそれでもある程度納得させて言う事を聞かせないといけない。最低でも全員のスマホ徴収と全員の得意分野を聞いて利益にしないといけない


「・・・緊張しているのか?」


「そうかもしれません」


俺が扉の前で立ち止まっていると氏家軍曹が声をかけてきた


「有坂大佐にあそこまで冷静に交渉していたではないか」


「あれはこっちも色々必死だったので、後お互い知らないからこそ踏み込んで来なかったでしょう」


「踏み込まなかったとは?」


「相手がどのくらい許容できるか分からないから出来るだけ自分だけが得をする要求が出来なかった。だからお互いに何処まで出来るか牽制というか要求をしながら擦り合わせていったと俺は考えているんですよ。まずは話を聞かないとどうしようもなかったから」


「そこまで考えるか・・・」


俺の話を聞いた氏家軍曹は感嘆といった感じで呟いた


・・・そこまで考えてないからな。普通に必死でそれっぽく理屈を組み上げて何とかしているだけだから


後はこういったタイムスリップの妄想をしていたから多少は考えられるだけで


俺はそんなことは顔に出しはしないが


「さて、氏家軍曹、こっからは俺がどんなことになろうと止めないでください。後、出来るだけ他の人間から質問されたら分かる範囲で答えてあげてください」


「何かされると考えているのか?」


「逆に何もされずに言う事を聞かれる方が疑いたくなりますよ。多分、全員が窓から一部始終を見ていたはずなのである程度過敏な反応が来て俺に悪意や暴力が来るかもしれませんがそれを止めないでください」


「・・・どうしてだ?」


「ある意味これは俺たちが解決しないといけない問題だからですよ」


「戻る手段がない」


「家族にあうすべがない」


「1人で生きていける状況ではない」


「今すぐ殺されてもおかしくない」


「それを俺たち自身がしっかり理解して解決に向かおうとしないとどう仕様もない」


氏家はそれを聞いてしばらく黙っていた


『臆病者』『勇敢な者』『愚者』『扇動者』『ペテン師』


軍人として様々な人間を見てきた。だが目の前の少年は少し違った。恐怖を理解している。最悪の事態も理解している。それでも前に出ようとしている


「……お前は自分一人で背負うつもりか」


俺はその言葉に苦笑した


「無理ですし嫌ですよ。二百人もいるんですよ。俺一人でどうにかなるなら苦労しません。それでも誰かが動かないといけない。最低でも俺たちをこの時代に適合できるまでの間、動いたのが俺と坂東という人物なだけであって正解を引き当てたのが俺だけのはないですよ」


「嫌なのか?意外だな」


「普通に嫌ですよ。責任をわざわざ引き受けるのも命をかけるのも失敗して恨まれるのも下手したら殺されるかもしれない上に見返りがないかもしれない。そんな状況で誰が好き好んで引き受けますか」


俺の発言に氏家は吹き出すように笑った。ここ笑う所か?普通の発言をしただけなんだけどな


「笑う要素ありましたか?」


「いえいえ、普通の少年らしい発言だったから思わず笑ってしまった」


「俺をなんだと・・・いえ、まぁそれはいいでしょう」


自分でも有坂大佐との話し合いで普通の中学生には思えない度胸とハッタリをかましてたからな


「そういうわけでさっきも言った通りどんなに俺が酷い目にあっても助けないでください。ただ、俺が言った指示は有坂大佐の指示に反しない限りは従ってください」


「だが断る」


氏家軍曹はいい笑顔でそう言った


「いや、そこは了承する場面でしょう。何で断るんですか」


「監視役なのは間違いないが護衛でもあるんだぞ。未来人同士でも殴られたり殺されそうになれば助ける。軍人というのもあるが1人の男としてお前を面白いとも思っているからな」


「・・・いや、結構嬉しいですね。ですが殺さされそうになれば助けてくれるのはありがたいですけど殴られるのは止めないでください。逆にここで殴り返さずに助けられると舐められて俺からの指示にまともに従わない連中がでます。俺はそれが恐ろしく面倒なのでそれを妥協案ではだめですか?」


「駄目だな。それで信用は得れるものではないぞ」


「即答ですか、今は未来人の信用よりも有坂大佐と軍、もしかしたら政界の信用に影響するかもしれないのでそっち優先で考えてたんですけどね」


「そこまで見えていて目の前の事は見えていないようだな」


俺はその言葉に疑問に思った。まぁ、色々遠くに思考がいっているのは確かだけど目の前の事も見えているつもりなんだけどな


「さっきの理屈の分かるが俺をムチとして使えばいい。飴はお前が担って話を進めるのが一番早いだろ」


「軍に悪感情が向かう可能性があるからしたくないんですよね。今後」


「それは気にするな。それは俺達が担う事だ。お前はお前の好きなようにしろ。勿論、わざとこちらの不利なことをするなら別だが。するつもりはないんだろ?」


「・・・ハァ~わかりました。他の未来人の説得好きにしますよ」


「それでいいんだ。では行くぞ、未来人代表殿」


「その呼び方やめません?」


「断る」


「何でですか」


「面白いからだ」


「絶対性格悪いですよね」


「今さら気付いたのか」


そう言いながら氏家は扉を開いた

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