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コレが私のフライトプラン。Good Day‼【第2部 見送る人】  作者: ちとせ鶫
第5章 それでもJSNが好き

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第15話 最後に飛ぶ会社

好きなものには、説明できない理由がある。

それでも、人は時々、その理由を言葉にしたくなる。

これは、空を好きな人の、小さな答えの話です。

 函館ダイバートから、一週間が経った。


 蒼空はいつも通りの日常に戻っていた。

 通勤、仕事、バランス栄養食、帰宅。

 スーパーで見切り品を漁って、芋ジャージに着替えて、PCを開く。


 でも、少し違うことがあった。


 フライトプランのファイルを開くと、先週のルートが記録されていた。

 羽田→函館ダイバート→新千歳→ホテル泊。


 予定にないルートだった。

 でも、そこにある。


 蒼空はそれを見るたびに、少し思い出した。

 函館の晴れた空。

 夕暮れの函館山。

 新千歳の雪。

 朝のジンギスカン。


 全部、JSNで飛んだから起きたことだ。


     * * *


 昼休み、スマートフォムを開いた。


 JSNのアプリを立ち上げる。

 マイレージサービスを確認する。


 先週のフライトのFCが、積算されていた。

 函館ダイバートの分も、ちゃんと入っていた。


 蒼空はその数字を見た。


 飛んだ証だ。


 ダイバートしても、一番長く待たされても、乗り継ぎ便に乗れなくても。

 飛んだ分だけ、FCが積まれる。

 それは変わらない。


     * * *


 蒼空は、JSNのことを考えた。


 空港での扱いは、NALやAOAより弱い。

 ダイバート時は、最後に飛ぶ。

 函館でも、一番長く待たされた。


 それは事実だ。


 でも、蒼空はJSNが好きだった。


 なぜか、と問われたら、うまく答えられない。

 理由を言葉にしたことがない。

 言葉にする必要がなかった。


 ただ、好きだ。

 それだけだ。


     * * *


 でも、今日は少し考えてみた。


 なぜ、JSNが好きなのか。


 NALは美しい会社だ。

 所作が美しくて、制服が端正で、空港での扱いも最優先だ。

 ダイバート時も、最初に飛ぶ。


 AOAは安定している。

 間違いのない選択だ。

 どこへ行っても、確かにある。


 でもJSNは違う。


 小さい。

 空港での扱いは弱い。

 ダイバート時は最後だ。

 地方路線に強いけど、大型機は少ない。


 それでも。


 CAさんの距離感が近い。

 宮古の往復で同じクルーに会ったとき、「またお会いしましたね」と言ってくれた。

 コーヒーの注文を覚えていてくれた。

 函館でも、スタッフが丁寧に頭を下げた。


 温度がある。


 それが、蒼空の言葉にできなかった「好き」の理由だったかもしれない。


     * * *


 夜、PCを開いた。


 次の修行のフライトプランを組み始めた。


 もちろん、JSNだ。


 指がキーボードの上を走る。


「……奄美か、鹿児島経由か、奄美のほうが、でも鹿児島で乗り継いだほうがFC多くなるか、どっちだ、」


 独り言が漏れた。

 誰も聞いていない。聞いていなくていい。


 タブが増えていく。

 目が、少しずつ変わっていく。


 ダイバートしても。

 一番長く待たされても。

 乗り継ぎ便に乗れなくても。


 また、JSNで飛ぶ。


 それが蒼空の答えだった。

 言葉にしなくても、行動が全部語っていた。

飛ぶ理由は、人それぞれ違う。

でも「また飛びたい」と思えた時点で、もう答えは出ているのかもしれません。

読んでくださって、ありがとうございました。

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