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30 そして

 気が付けば入学してから明日で丁度1ヶ月が経つ。

 ゲームでは、最も親愛度の高い攻略対象の個別ルートに入る日だ。昨日までにヒロインであるミズキには、25話分のイベントがあった筈だが、見る限り全く恋愛方面へと進んでいないのは何故だろう。いや、理由は明白なんだけれども、ついそう言いたくなるのだ。


 ゲームでは、イベント毎に選択肢が3つ設定されており、それぞれ好感度の上昇値が異なっていた。

 少なくとも私が見てきた限りでは、10話までの各キャラへの早期ルート突入は無かったどころか、イベント自体が不発であることも多い。

 10話以降のイベントでも好感度がほぼ上昇しない選択肢を選んだ時の台詞をミズキが言うので、攻略対象のルドア王子やテオ、アデル、ロット先輩、ジーニア先生との親愛度は大差が無いだろう。おかげで悪役(ライバル)側のアマリスやミリアとも、特にミズキが関わることが無い。ついでに言うと私も無い。ミリアは私に影響されて悪役令嬢としてヒロインを虐めるので、今のミリアがミズキを虐めないのは当然と言えば当然だ。

 勿論、私はミズキを虐めたりする訳が無いのでゲームで登場した人物と恋愛関係にも敵対関係にもなることなく、ミズキは平和な学園生活をおくっていると言えるだろう。いや、私自身は時折ゲームではモブや背景だったクラスメイトからミズキが嫌味などを言われている場面に遭遇し、何度か助けているから平和とは言えないか。助けると言っても、私が通りかかり、ちらっと見るだけでご令嬢方が逃げていくのだけれど。


 もはや習慣と化しているミズキの観察結果によると、恋愛よりも学園生活に手一杯、という印象しか受けない。

 ルドア王子やテオとは、教室で軽く挨拶をするような関係止まりだし、アデルも特にミズキを気にかける様子もなく、むしろ挨拶すら滅多に見かけない。

 ジーニア先生は、先生としての立場以上には関わる気が無いらしく、恋愛関係に発展しなさそう。

 ロット先輩に至っては、大抵出会う場面で寝ているので、ミズキが起こさないよう素通りするだけで終わる。ゲームの選択肢では、風邪を引かないよう声をかける、授業が始まると教える、邪魔にならないようそっと歩く、の3つの選択肢があったので不思議では無いが、これだと親愛度は全く変わらないのだ。

 このままでは、強制的に誰かの個別ルートに進んだとしても親愛度不足でバッドエンドまっしぐらだ。

 例えミズキと個別ルートに入った攻略対象が全然ラブラブな関係でなくても、エリエルがヒロインを虐め、何らかの罰を受けるのは変わらない。

 私は一切ミズキを虐めていない筈だが、虐めというのは被害者側の受け取り方にもよるので私の主観だけでは判断できないのが辛いところだ。後、ラノベでは周りのエリエルを蹴落としたいクラスメイト等によって虐めの主犯にされたりもする。なんて恐ろしい世界だ。

 ゲームの強制力はイベント不発などのことがある為低そうだが、油断してあっさり死刑などなっては堪らない。どうしたものか。


 あれから何度花を見ても、何色なのかは分からないまま。ジーニア先生にも、何となく色が付いたということしか判別できないらしい。


 このままじゃいけない。


 悩みに悩んだ末、私の出した結論。それは、ミズキにまず話を聞こうという、何の捻りも面白みも無いことだった。

 解決策、見付からないかなあ。

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