作戦
サイフォの町を挟んで、イ、ジョルムイの軍と、カノンの軍が向き合っていた。
「こうして見ると、イ、ジョルムイの飛行戦車って、何かゴツゴツしてるね」
僕はパニクって、見当外れな感想を呟いた。
目の前で、今にも戦争が始まる、という、ヒリヒリした空気を、僕は生まれて始めて、体験していた。
「イ、ジョルムイ軍の飛行戦車は、装甲が厚いんだ。
その分、速度は遅くなるけど、少々当たっても、決定的なダメージは負わずに突破出来るんだよ。
その突撃攻撃が強いことで有名なんだ」
僕らが、そんな会話をしている間にも、サイフォの中では、一部町民と警察の睨み合いが続いている。
もし、ここで何かが起こったりしたら、外の両軍とも爆発しかねない。
「でも、イ、ジョルムイの軍って、サイフォの町でイザコザが起こるのを知っていたみたいだね」
「たぶん、知っていた、と思うよ。
全て、何日、いや何週間か前から計画していたんだ。
じゃ、無きゃ、この山の向こうから、こっちに来るだけでも何時間か、かかるはずだからね」
反重力飛行は、平地や水の上、又は高高度の飛行は、理論上は亜光速まで早く飛べるのだが、低空で山を越える、とかは苦手なのだ。
サイフォに発見されないよう山あいを飛ぶと、半日、六時間ぐらいはかかるらしい。
「計画している、って事は、何か作戦があるのかな?」
「そりゃ、そうだろう。
飛行戦車を三十機も飛ばしてきたんだぜ。
手ぶらじゃ帰れないさ」
と、いずなは言った。
「どんな作戦か、判らないかな?」
僕の問いに、マリンは。
「たぶん、あの飛行戦車の隊長なら知ってるだろうね」
僕は急上昇して、イ、ジョルムイの飛行戦車に近づいて行った。




