軍事的デモンストレーション
「皆、北の山を越えて、イ、ジョルムイの軍が飛んで来たよ!」
ツグミの知らせに、僕は、ええっ、と叫んだ。
「今、長期化すれば、って…」
「ごめん。
どうも予測が甘かったみたい。
でも、たぶん向こうから攻撃を仕掛けて全面戦争にするつもりはないハズだよ。
おそらく、サイフォへプレッシャーをかける目的の、軍事的デモンストレーションなんだよ」
「だが危険な行為だぜ。
サイフォ側が手を出しちまったら…」
と、いずな。
僕はオロオロと、サイフォの人々と北の山を交互に見た。
確かに、北の山には、丸い飛行戦車が三十機、静かに唸りを上げる雀蜂の羽音のような、微かだが神経に障る機快音を立てて、浮いていた。
この世界の軍事兵器は、概ね反重力エンジンで動いている。
二一世紀人の僕が思うと、それってスペースシップとかも作れるんじゃあ、と思ってしまうが、宇宙船というのは、単純にエンジンがあれば出来る、というものではないし、大変なお金もかかる。
その分のメリットも、今のところ見つかってもいない。
過去には、月基地ぐらいは作ったらしいが、今は、それどころではなくなっている。
今、山頂に浮いている飛行戦車は、小型反重力エンジンとジェットエンジン、それに地上走行には車輪を出せるように作られていた。
「南のポト基地から、飛行戦車がスクランブルしたよ!」
うぇー、と僕は又、叫んだ。
「これはマズイんじゃないの…」
マズイかもな…、と、いずなも呟いた。




