お釣り
僕たちは、急ぎサイフォに向かった。
サイフォは、ポトから二つの町を越えた、カノンの最北の町で、その町自体、ゆっくりと標高を上げていく、いくつもの山の間にできた盆地のような場所だった。
僕は、てっきりイ、ジョルムイが攻撃して来たのかと思ったが、戦闘は、三つのピラミッドの一つの中で、車道にバリケードを築いた町民が、バトルスーツの警察と睨み合いになっているだけだった。
「我々は、独立を希望する!」
バリケードの中で、男が叫んだ。
「あ、やっぱり、こういう人もいたんだ…」
僕は言うが、マリンは。
「どうも、そう単純じゃないみたいだよ。
この町の独立派は、イ、ジョルムイにそそのかされているみたい」
「え?
だって、あそこに入ったら、二級市民にされちゃうでしょ?」
「功績を上げた人は、イ、ジョルムイも一級市民や特級市民になるんだよ。
彼らには、そういう確約があるらしいね」
「特級市民?」
「カノンの貴族と似たようなものさ。
つまり、この町の貴族を追い出して、自分派を据えたいのさ」
権力争い…か…。
「でも、選挙とかはしてるんだし…」
「貴族にはなれないからね。
それに、こうして問題を起こして、そして、これが長引けば…」
マリンが言葉を止めたので、僕は考えてみた。
「北のイ、ジョルムイが出てくる?」
「ご名答」
と、いずなが笑った。
「えー、そうなったら戦争じゃない!
誰も得をしないよ」
「しかし、イ、ジョルムイは、このサイフォの町を手に入れれば、戦争をしてもお釣りが来る、と思ってるんだ。
そうやって広がってきた国だからね」




