豊かで平和
なんか本当かなー、という感じ…。
本当、こんな世界、早く壊して、ニ一世紀に帰りたい。
トロじゃなくてもいいからマグロのお寿司も食べたいし、ラーメンも食べたい。
ギトギト背油の豚骨醤油が、僕は大好きだ!
果てしなく続く農業プラントの中には、東京ドームみたいに巨大なプラントもあって、中では魚の養殖をしていた。
残念ながら、小さな川魚だったけど。
「ああ。
カノンは魚介類の養殖も有名なんだよ。
かなり高価に取引されてるよ」
マリンの説明を受けながらも、僕の目は、別な所に行っていた。
「なんか舗装道路があって、車も走ってる!」
「カノン経済圏ニ七都市の間は、殆どモンスターも出ないし、陽光さえ注意すれば、とても安全なんだ。
そうだ、ウラガスミ、これを聞いてみなよ」
マリンが僕の耳に送ってくれたのは、ラジオ放送だ。
軽快なトークで周りを笑わせながら、ちょっと聞きなれないポップスを流している。
これは、お笑い芸人?
「…驚いた。
ほんと、平和で豊かな国なんだねぇ…」
この世界、娯楽なんて無いのかと思っていた。
残念なのは、僕とは笑いのセンスが違い過ぎて、笑いどころが全然判らない事だけだ。
走っている車の中では、パパとママ、子供二人のファミリーが、しかもペットの犬まで連れてドライブ中だった。
車内には、楽しい笑顔が溢れていた。
「まぁ、先に進もうぜ」
いずなは、微かに笑いを含んだ声で、言った。




