サボテン
アフェリアは盆地だったが、都市カノンに向かうには、アフェリアの南にそびえるニ千メートル級の山を越える必要がある。
西に行くのだから西に飛びたいが、西には、南から続くニ千メートル級の山脈が、ずっと続き、飛行は困難、とマリンに言われて、東の海沿いに南下するルートを通った。
たぶん上空数百メートルを飛んでいるのだが、風は結構、冷たい。
エアシールドのマジックを使って、風を避けて飛行を続けた。
きっと、タケコプターで飛ぶって、こんな気分なんだろうな。
雲が、すぐ近くを横切って、地上には、僕の小さな影が、一緒に飛んでいた。
これで、果てしなく続く茶色い荒野でなけりゃあ、もっと気分もいいんだろうけど…。
「あれ…」
僕は、自分の影を見ていて、気がついた。
「ねぇマリン。
あの緑のって、もしかして植物?」
マイラから飛んでいて、始めての緑だ。
「あー、あれね」
マリンは苦笑する。
「一種のサボテンなんだよ、君に分かりやすく言えば。
だけど、人を襲うから、近付いちゃ駄目だよ」
食人植物!
「だけど、この地で数少ない緑だから、皆、遠くから見守っているんだ。
少しづつでも増えて、何百、何千年か経って土が肥えたら、違う植物も生えるといいんだけどね」
太陽の光のせいで植物は枯れてしまい、サボテンだけが生きている荒野なのか…。
「海では、マーメイドが海草を作ってるんだよね?」
「まぁね。
とはいえ、海草の生育に適した海岸は限られているから、今、見えている海は、綺麗に透き通って、海草なんて無いだろ」
「うん」
「つまり、死の海なのさ」




