髪の毛
「赤身病って、どういう病気?」
とマリンに聞くが、
「イザベラのデータベースにも無いねぇ」
と、水球の中で、頭を傾ける。
「もし感染すると大変だから、君は近づかない方がいいよ」
マリンは言い。
ニ十のメカの一つを使おう、と、提案した。
まだ使い方の判らなかったメカの一つ、ゴルフボールそっくりな物を、僕は取り出した。
メカを落とすと、するり、と建物に入って行き、子供の髪の毛を採取した。
このボールは、簡易分析装置で、DNAのゲノム解析が出来る本格派だ。
「判ったよ」
マリンが言った。
「ウラガスミに危険は無いよ。
赤身病は、アフェリアだけでしか起こり得ない病気で、DNA操作により優勢操作を行った反動で発症するんだ」
「つまり遺伝子を弄りすぎて、優れた人は出来たけど、子供の半分以上は死ぬ、と…」
僕は、息を飲んだ。
「まぁアフェリアでは、事実、人工筋肉を開発したのだから、優勢学も否定出来ないのかも知れないけど、ボールの解析では、特に知能も体力も、アフェリア人が優れている、とは言えないね」
マリンは、さらり、と言った。
「でも原因が判ったら治せるんじゃないの?」
「我々の科学力を持っても、ピンポイントに発症してしまった赤身病患者を、時間を巻き戻して治すことは出来ないよ」
「でも、あんな、物を捨てる見たいに…」
「ウラガスミ。
無論、アフェリアも破壊すべきですが、まずマイラを掌中にしてから、にするのが得策だと思いますよ」
「君って、マリンじゃなくてイザベラだよね?」
僕が言うと、イザベラの、音の無い笑いが聞こえてきた。




