6時間目 俺たちはあれに囚われていた
え…
「だから、中間の勉強進んでるかって聞いてんの!耳ついてるか?お前」
学級委員の集会の帰り道、1組の佐野から言われたことに思わず戸惑った。
佐野優那こいつとはそんなに深い中ではなかったが、学級委員になってから以前より話す機会が増えた。隠れてピアスを開けているが髪がいい感じに長いから学校にはバレてない。
「中間ってテストの話だよな。そっそんなのあったか〜?」
俺の震える声をふっと笑って佐野は煽ってきた。
「冗談だよな!乃蒼〜このままだと評定やばいんだろ〜」
どこから仕入れた情報だ!とツッコミたくなったが、そんなことよりテストがあるということの方が俺にダメージを与えてきた。
「ちっ…ちなみにテストはいつでしょうか〜佐野くーん」
「丁度来週だったはず、ちょっと待てよ今確認すっから…うん、来週だわ」
まずい。別に勉強を疎かにしている訳では無い、ワークとかはそれなりにやっている《《それなりに》》だから提出は何とかなるだろう。だが、バカ真面目にやっている訳では無いから、正直点を取れるかと言われたら微妙だ。学級委員に立候補したからと言って頭がいい訳じゃない、なんなら学年全体で見たら中の下だろう。
「それじゃ、勉強しなきゃだからばいばーい」
こうして佐野とわかれて俺はできるだけの力を出したダッシュで帰宅し、ワークとノートを開き勉強を始めた。
なんて、上手く行けばいいものだ。人間そこまで上手くできていない。文字を見るだけで嫌気が刺してくる、傍から見たらザ・勉強ができない学生みたいな感じだろうと感じた。
どうにかして勉強に取り掛からねばと誘惑になりそうなものをベッドに全て放り投げ無理やり手にシャーペンを握らせた。
まずは少しでも集中力が続くよう、得意教科の数学から始めた。
問題は解けるが、集中力はほとんど続いてないだろう、気づけば耳にはイヤホンが刺さっておりベットの上のスマホから曲を流して聴いていた。
1時間ほど無気力に数学をやり、夕飯を食べ風呂に入り無理やり勉強を再開した。
風呂に入りゆっくりしたからか、眠気が回ってきていたがここで辞めたら終わりだという絶望を思い浮かべ、無理にシャーペンを動かし続け気づけば深夜2時になっていた。
周りからは一度集中したら乃蒼はやること終わるまで基本辞めないが集中するまでが長い、と言われるようなやつなのだが、今夜もそんな感じだったようで結構来ていたLINEを見て、ソシャゲのクエストを何回かやりその日は久しぶりに寝落ちした。
それから1週間琉久とかの頭いいやつに教えて貰ったり、図書館でダラダラ苦手なとこを復習したりして、なんとかテスト勉強をやり切りテスト当日を迎えていた。
「まぁ、とりあえず普通くらいの点を取れるように頑張ろう」
心の中でそう呟き体をぐっーと伸ばしテストの体型に移った。
教科は基本的な五教科、うちの学校では中間も期末も国数英社理のこの五教科のみ行う。他の教科は各授業で時間を作って行われる感じだ。
今回はまだ最初のテストということでそれほど難しいところは無いだろうが、俺は《《とにかく》》英語ができない!全く…できない!
なぜ他言語をわざわざ覚える必要があるのかとかなり疑問に思っている。共感して欲しい
と言いつつも最初の教科の国語のテストが始まった。内容は文章題と漢字が多めって感じだ。まだ5月でそれほど教科書も進んでないから範囲は短く一問一問の配点が高く設定されているのだろう。
次に二時間目の数学だ。基本計算の展開や因数分解がメインで得意教科なこともあり、特に難なくこなすことができた。
次に三時間目、問題の英語だ。自分自身何をやっているのかもよく分からずとりあえずチャチャッとやった感じで、分かんなくて諦めた問題はやらずに残りは寝た。
給食でおかずの取り合いジャンケンをして、休み時間を過ごして四時間目の社会だ。歴史の大正らへんが範囲でまぁまぁそれなりにわかるようなところだったから英語よりかは全然ましに時間を使えた。文章題は何故か凄くわかる。
最後に五時間目の理科だ。「乃蒼って数学できるから理科もできるよな!」とたまに言われるが理科は英語の次に苦手だ。科学も物理も生物もよく分からないからほとんど暗記で勝負が俺のいつもの理科の対策だ。
ということでテストの一日が終わり束縛から解放された。某漫画で外の世界を見た主人公たちはこんな気分だったんだろうかと想像しながらその解放の喜びに一日中浸った。
修学旅行は目前に迫っていた。




