5時間目 修学旅行準備
5月、早くもこのクラスで暮らして1ヶ月が過ぎていた。
これといったイベントも無いまま5月1日を迎えていた。今日も今日とで遅刻ギリギリを攻めて俺、白崎乃蒼は登校している。
いつもは家のすぐそこに住んでる3組のやつと登校しているが、最近はそいつが更に遅く出てダッシュで来るからそんなに会わなくなった。
あいつが遅くなったのもあるが、俺の家を出る時間が特に理由もないが少し早くなったのも会わなくなった原因の一つだろう。
だが今日はいつもよりあいつが早く出たのかダッシュで追いついてきた。
「おはよ優志、今日は何時に出たん?」
「おはよ、今日は8時ピッタシ」
佐倉優志小学校の時からの中で家も近いからよく遊ぶ仲だ。顔も良いし運動神経もいいがインドアで外に出たがらない。
そのまま某MMORPGの話をしながら学校に遅刻ギリギリで到着し、クラスでわかれた。今日は珍しく俺が最後だったらしい、みんないた。
数分してから朝の会が始まった。いつものように進むだろうと思っていたが、担任からとある大イベントの話をされた。
「今日の5、6時間目に学級委員中心で修学旅行の班決めとかするから、考えておくようにお願いします!」
修学旅行、正直あんまりいい思い出がない。
小学校の時の修学旅行は見学先で熱中症みたいになったり、自由時間を昼食の食べすぎでほとんどトイレで過ごし、挙句の果てには最終日の遊園地のメインであるジェットコースターが修理で乗れなかったりと散々な思いをしたからだ。
当時は某ウイルスのせいで県内で済ませることにもなったしでとことんツイてなかった。
「何事もなく終わってくれよぉ」
俺は1人机に頭を埋めて呟いた。
「どした?」
するとなんにも知らない誠空が話しかけに来た。
「ちょっと過去に浸ってたんだよ」
「ふーん、どうでもよ。それより班一緒になろ!大雅と慎也も誘ってさ!」
俺はよく話を聞いていなかったから詳しく知らないが、男3人の班が4班、4人の班が1班の振り分けらしくその中の男が一番多いところを取ったということらしい。
「うん!別にいいよ、あいつに誘われる前に誘って貰えてよかった〜」
その後も普通にいつもどうりの何気ない話をして、1時間目2時間目…と過ごして班決めの時間がやってきた。
授業の始まる直前に誠空と一緒に大雅と慎也のところに行き同じ班にならないかという話をすると2人はすんなりOKを出してくれて、少し気が楽になり落ち着けた。
ちなみに2人はすげぇ仲が良い。
授業が始まって先生からの簡単な説明の後に男女に別れて班決めを行った。宗心と石垣と中洲の3人も同じ班になる話をしていたようで、その班と俺の班はすぐに決まった。
残りは涼介も含めて9人、さとはると柴田はサッカー部で仲が良い、そこに大滝が入る形で3人はなんかすごい早く決まった。
残りは6人、ここまで決まらないのは涼介の押し付け合いのせいだ。俺を含めて不登校で学校に来ていないやつと同じ班になりたくないという考えのやつがうちのクラスには多くいる。そういった考えを持ってなくてもそもそも涼介との関わりがないやつも残念ながら多い。
誰しも持っている「感情」だと俺は思っている。なんせ自分たちがやっていることをやらないやつだ、俺たちはそういう奴を押し付け合うのだ。それは1ヶ月このクラスで過ごしてわかったことの1つだ。
一様尾田と透和が同じ班で、佑真と爽斗が同じ班になる所までは話し合いで決まり、あとは涼介と琉久の2人だ。琉久と爽斗はかなり有名なほど仲が悪く、同じ班にするのはかなりリスクが高い。
「爽斗は涼介と仲良いし同じ班じゃダメかな…これ以上長引くと正直面倒だし」
「うん、まぁいいよ面倒だしね流石にあいつも来るだろうし」
俺自身も爽斗のことが嫌いだから面倒なことを押し付けることができて良かったと内心思ってる。
透和と尾田も「琉久なら全然いいよ〜」と受け入れてくれてこと無き終えたと思っていたが、俺は聞き逃さなかった、いやでも耳に嫌でも入ってきたんだ。
爽斗が確かに言ったんだ。
「琉久《《なら》》って…クソウザイわ」
そう、聞いたんだ。
やっぱりあいつの事は嫌いだ、いちいちそんなことを言って、それを本人に聞かれたら、それをたまたま聞いてしまったやつにチクられたら、そういう考えを持たないのか、と他の人がどう思うかは分からないが俺はつくづく思う。
そんな時誠空がいつものテンションで話しかけてきた。
「どした?そんな気持ちわりぃ顔して」
かなり酷い顔をしていたのだろう、自分で気づかなくても相手は一発でわかる当たり前のことだが意識しないとどうしようもないことだ。
「うーん、なんでもないよそれより男子の班はできたからあとは女子…って女子も終わったんだ」
男子が決まるのに思った以上に時間が掛かっていたらしく女子はもう暇そうに待機していた。
正直誰でもいい、話したことないやつは誘いにすら来ないだろうしと考えてると誠空達が2人の女子を連れてきた。
「乃蒼君同じ班になるの2人だけど良いよね?」
俺は伏せていた顔を上げて誠空の声のする先を見るとそこには梨空と菜愛が立っていた。
前原菜愛、梨空の親友で俺も趣味がそこそこ合うし話も何故か合うから結構喋る。
「そっか、俺ら4人だから必然的に女子2人の班と一緒になんのか」
朝に聞いたことをすっかり忘れていた、4人のとこと2人のとこは選ぶ権利なく班が強制的に決まるのだ。
「うん、全然いいよって嫌っても言えないわけだしね」
なんならこのかなり運ゲーの中ではかなり当たりを引いたな、と心の中でテンションが上がっていたなんて誰にも言えない。
続けてホテルの部屋割りを決めることになったが、これはさっきの班を決めるのよりスムーズに進んだ。なんならスムーズってよりも気づいたら決まってたの方が正しい気もする。
俺と同じ部屋になったのは誠空と大滝だ。誠空とずっと同じな気もするがまぁいいだろう。
残りの時間は修学旅行で回る予定の場所などを聞いた。この時の俺がどんな表情をしてたかは分からないが、きっといつもよりも楽しそうな顔をしていたと思う。
なんだかんだ言ってきたが、修学旅行は楽しみになっていた。




