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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 桜桃
第三章 水仙家

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呪いのはじき出し

 女性は、水歌村の人の住人。

 かけられた呪いは「徐々に屍人に近づいていく」もの。


 屍人に近づくということは、死に近づいているのと同じだ。


「本当に、呪いを浄化してくださるのですか?」

『浄化は準備が面倒だから却下』

「理由おかしくない? 闇命君」

『面倒なのは事実だよ。だから、呪いをはじき出す』


 はじき出す?


『体内の呪いを外に出して、別に移すってこと』

「え、それって他の人が犠牲になるんじゃ……」

『僕をあんたと同じにしないで。そこも考えてる』

「はいはい」


 相変わらず言い方がきつい。もう慣れたけど。

 ――いや、ちょっと待ってよ?


 他人事のような返事をしてしまったけど。


「……ねぇ、もしかして。というか、やっぱり……?」

『君がやるの。慣れなよ。琴平でもできるけど、別のことを任せたいしね。やり方は教えるから、成功させて』

「……ちなみに練習は――」

『なし』


 最後まで言わせてもくれないのか。


 ……やるしかない。


「では、俺は村を――」

「『駄目』」

「……………………はい」


 琴平を一人にするわけにはいかない。何が起きてもおかしくない状況だ。

 ……守られてばかりだけど。


 ※


 女性を連れて部屋に戻ると、紅音たちが魔魅ちゃんと遊んでいた。

 お手玉なんて、どこにあったんだ。


「お帰りなさい。その方は?」

「森で色々あってな。呪いを受けているから、はじき出す準備をする」

「呪い……?」


 事情を説明する。


 闇命君の身体が狙われたと聞いた瞬間、紅音が女性に殴りかかろうとして、全員で止めることになった。


「なるほど。それなら闇命様が行うのが一番確実ですね。命に関わることですし」

「今は闇命君であって、闇命君じゃないんだよ、楓夏……」

「あ、えっと……大丈夫です優夏さん! 慣れてきてますし、きっとできます!」

「ありがとう……」


 優しいな。

 ……でも、その分、重い。


 この人の命がかかってる。


 俺に、できるのか。


 いや、この体は闇命君のものだ。信じろ。


『呪いをはじき出すには、まず体を清めて、夜まで座禅を組んでもらう。今回は無理やり吐き出させる形になる。負担は大きい。かなり苦しい。人の命を狙ったんだから、それくらい耐えてよね』

「は、はい……」


 言い方が本当にひどい……。

 女性は顔を青くしつつも頷き、楓夏と共に部屋を出ていった。


『それじゃ、こっちは準備だ。一回で覚えてね』

「……………………はい」


 一回か。

 覚えられなかったら終わりだな。


 ――やるしかない。


 ※


 今、部屋では女性を囲むように俺と楓夏、魔魅ちゃんが座っている。

 闇命君は半透明の姿で胡坐をかいていた。


 襖の外には琴平と紅音。呪いをはじき出している最中に襲われる可能性を考えての配置だ。


『それじゃ、始めようか。苦しむ覚悟はできてる?』

「闇命君、言い方に気を付けて!!」

『ふん』

「こらっ!!」


 まったく……。もともと青ざめていた女性の顔が、さらに青くなる。

 闇命君は相当いら立っているみたいだ。俺が手間取ったせいで……。


 だって、難しかったんだもん。

 ……それでもやるしかない。


『式神の準備』

「あ、はい」


 言われた通り、一枚の札を取り出す。

 そこには「吸」の文字。あらかじめ俺――闇命君の法力を蓄えてある札だ。


「……よし。始めるね。苦しいと思うけど、俺たちを信じてほしい。必ず呪いをはじき出す」

「……はい」

「魔魅ちゃん、お願い」

「わかった」


 今回は魔魅ちゃんが体内の呪いを操作し、外へ引き出す。

 それを俺が札で吸い取り、封じる。それが今回の流れだ。


 ――絶対に成功させる。


 魔魅ちゃんと目を合わせ、集中する。


 最初に、魔魅ちゃんが祝詞を唱え始めた。静かで安定した声。


 すると、徐々に女性の様子が変わる。


「う、あ……あああああああああ!!!!!!」


 女性が胸を押さえ、苦しみだした。呪いが動き出したんだ。


 ――今だ。


「『呪いの根源、忌まわしき呪術よ。今ここで我が力の糧となれ。呪吸の儀、急急如律令』」


 教わった祝詞を唱え、指に挟んだ札へ法力を集中させる。


 ……あれ、出ない?


 光るだけで、式神が現れない。


『間違ってない。少し時間がかかるだけ。それにこれは、式神と呼べるほどのものじゃない。ほぼ実体はないからね。法力を送り続けて』


 ……わかった。

 集中を切らさず、法力を流し続ける。


「ア、アァァァァアアア!!!!!!」


 女性が苦しみにのたうつ。

 自分の肌を掻きむしり、皮膚が裂け、血が床に落ちる。


 ……止めたい。でも今は近づけない。


「あ、あれ!!」


 楓夏の声。


 見ると、女性の肌が黒く変色し始めていた。

 濁るように広がり、叫び声もさらに大きくなる。


 早く……!


 札は光るだけで、まだ何も現れない。


 本当に、大丈夫なのか――


『大丈夫』


 隣で闇命君が呟く。前を見据えたまま。

 頬を、一筋の雫が伝っていた。


 ……焦ってるのか。


『大丈夫だから、優夏。僕を――自分を信じて』

「……っ」


 橙色の瞳が、まっすぐに俺を射抜く。


 ……信じるしかない。


 闇命君を。俺自身を。


 信じなければ、力なんて出せるわけがない。


 法力を注ぎ続ける。


 女性は苦しみ続ける。


 焦るな。わかっていたことだ。これは必要な苦しみだ。


 本人も覚悟している。


 だから――


 ここにいる誰も、中途半端な覚悟で立っていない。


 絶対に、成功させる。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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