死体
何度も石に躓きながら、開けた道を進む。肩に乗っている闇命君は鼻をひくひくしているんだけど、何かを感じ取っているのかな。俺は特に気にならないんだけど。
「何かあるの? 闇命君」
『…………別に。ただ、違和感があるなぁって思っただけ』
「違和感?」
違和感とはなんだ? 周りは何もないただの森の中。木が立ち並び、ただ一本道を進んでいるだけ。違和感など、感じる訳がないと思うんだけど。
『この村は、森に守られて生存していたはずだよね。弱者にしては良く知恵を振り絞ったいい結果だと思うよ、悪くない』
「言い方…………」
『何からこの森で村を守っていたんだどうね』
「え?」
なにからって、妖からじゃないのか? なんでわざわざそんな事を言っているんだろう。
ん? 妖?
『気づいたみたいだね。そう、主に妖から村を守っているのなら、この森には違和感がある。それが何かはわかる?』
「妖から守っているのなら、木に何も貼られていないのはおかしいんじゃないの? 何か結界がある目印とか、何かの痕跡がないとおかしい」
『そういう事。つまり、遅かった可能性がある』
「そんな…………」
遅かったという事は、水仙家は、終わってしまったという事か? いや、答えを求めるのは早すぎか。
「琴平、さっきの会話は聞いていた?」
「あぁ、たしかにおかしいな。先を急ごう」
琴平の言葉に、紅音と夏楓は頷く。よし、早く行こう。
転ばないように四人で走る。
さっきまで聞こえなかったはずの水の音。風が木を揺らし、村に近づけば近づく程嫌な予感が胸を覆いつくす。胸の辺りがムカムカし始め、気持ち悪い。
「あ、これって――……」
微かな、血の匂い。なんだ。この気配。
森から抜け視界が開けた。村はどうなってっ――……
「これって…………」
「やはり、遅かったか」
視界が開かれたのは、森から出たからだけではなかった。村の中にあったであろう建物は崩れ落ち、畑も踏み荒らされ酷い有様。
耳をすませば聞こえてくる水の音、それと同時に血の匂いが風に乗って俺達の元に。でも、まだ人の気配はある。早く行って助けないと、でも。
「気配がちりばめられすぎてわからんな」
「気配の強い所を探ろうとしても、わかりにくいですね…………」
琴平と夏楓もわからないのか。紅音も周りを見るだけで何もわからないみたい、眉を顰めている。
『ここで式神を使いなよ』
「え、式神? あ、百目か」
人探しには百目だったな。良し、頼んだぞ。
「『百目、姿を消した村人達の影を追え。急急如津令』」
札から百目が現れた。黒い瞳を真っすぐ俺に向けてくる。
『主の仰せのままに』
腰を折って振り返る。隠れていた左目を露わに、赤い瞳で村全体を見通し始めた。
『全ては、我の視界の中にある』
徐々に百目の身体に現れる無数の目。さすがにイケメンだろうが、何回見てもこれは少し気持ち悪い。やっぱり、百目も妖なんだと実感するな。
『――――見えました。一人の青年と、少女が対峙しているみたいです』
「え、少女? 見間違いではなく?」
『間違いはありません。羽織を身にまとっている少女です。その後ろに、無数の人』
仲間を沢山引き連れ、この村を襲ったって事か? 何の為に…………。
「優夏、今は考えるより行動を起こした方がいいだろう。これ以上の犠牲を出さないために」
「確かにそうだね。先を急ごう」
みんなを振り返り同意を確認。頷いたから百目に指示、走り出した。
走りながら周りを見るけど、無残に壊されている建物と、えぐられている地面。でも、村人の死体とかはない。先に避難出来たのかわからないが、出来たと思い込もう。
「気配が強くなってきた」
『みたいだね、戦闘に巻き込まれないようにここからは歩こうか』
闇命君の言葉でみんな足を止め、足音などに気を付けながら強い気配の元に。近づけば近づく程体に重くのしかかる圧、水の音。それと同時に血の匂いがここまで流れてきている。酷い異臭だ、色んな物がぐちゃぐちゃに混ざり合ったような匂い。鼻が曲がりそうになる。
百目を先頭に、目の前に広がっている状況を確認。
「え、これって?」
青年が一人、膝を付き恨みの顔を浮かべている。その前にいるのは、百目が言っていた羽織を肩にかけている少女。でも、ただの少女ではないは確実だ。
背中に、無数の人の死体。ゾンビのように動き、膝を付いている青年に向かって行く。
「これで、終わりじゃ」
楽し気な笑い声。ゾンビは、低くおドロドロしい声を上げ青年に向かって走り出した。
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