水神様
「件は”村”と言っていた。つまり………つまり……………どこの村?」
『まずは考えてから口にする事を覚えなよ』
「うん。今のはマジで反省した」
これから向かう場所。結局、逆算も何も出来なかったな。
ん? あ。めっちゃ不安にさせてしまったなぁ。俺の服を掴んで何も発さない。ごめんね、魔魅ちゃん。
「大丈夫だよ。ごめんね不安にさせてしまって」
『ほんとだよ。しっかりしてよ、そんなんでこれからやって行けるのか本当に心配』
「我慢だ、俺。我慢…………」
魔魅ちゃんの頭を撫でながら落ち着かせていると、俺の手を両手で握って顔近くまで魔魅ちゃんが持っていく。何だろう?
「…………いたいのいたいの飛んでいけ」
「魔魅ちゃん…………。ありがとう」
かわいいなぁ、魔魅ちゃんって。素直でいい子。どこかの天才陰陽師とは大違いだ。
『噛まれたいみたいだね。鼠の姿に戻ってもいいんだよ?』
「紅音と夏楓の為。俺の耳の為、戻らないでください」
二人の間に座っている闇命君。さっきまで件が俺の隣にいた座れなかったもんね。でも、わざわざそこ? 二人は口をムズムズさせて喜んでいるから結果オーライ何だろうけどさ。
「闇命様。ここからだと、水神が住んでいると言われている村。水歌村がございます。確か、そこには水仙家があったはずです」
『なるほどね。なら、水仙家を目指して七人ミサキについての情報共有。あと、小さい陰陽寮だから気を許してもらうため話をしようか。僕達の旅の話とかね。まぁ、それはこいつにやってもらうけど』
うわぁ。俺の事見てるなぁ。ここまで来たら、もういきあたりばったりだよ。やるしかねぇ。
『変な事言ったら噛むから』
「ウィッス」
こ、こえぇぇえええ!!!!!!
☆
「ここから先は歩いて行く事となるが、大丈夫か?」
「あ、そうなんだね。なら、降りようか」
琴平が止めた場所は、今まで見た事すらないほど大きな木が沢山立ち並んでいる森の目の前。
安倍家の周りにも木々が沢山あったけど、それより何倍もデカい。巨大樹的な感じだな。
今は夕暮れ、オレンジ色に輝いている。これがまさに、神秘的な光景という感じかなぁ。絵画?? とかでしか見た事ないぞぉ。心が洗われる。
「おおきい……」
「そうだね。魔魅ちゃんはこんなに大きな木、見た事ない?」
「うん」
「そっか、俺も初めてなんだぁ。なんか、上手く言葉では表せないけど、凄いね!」
「うん!! すごくおおきい!!」
んー!! 無邪気!! 可愛い!! 闇命君もこんなに可愛げあったらいいのに。無理なのはわかってるけどさぁ。
魔魅ちゃんの頭を撫でながら、再度前を見るけど。なんとなく、何かを隠しているようにも見えるなぁ。隠された村という感じだ。
いや、実際隠されているのだろう。小さな村って言ってたし、襲われないように先手を打ったのかもしれない。
「優夏、足元に気を付けろよ」
「あ、うん。気をつけるよ、ありがとう」
多分、闇命君の体だからだろうけど、心配してくれるのはありがたい。紅音と夏楓も足元を気をつけながら後ろを付いてくる。
赤い閃光のように陽光が地面を照らしている。今はまだ明るいけど、ゆっくりしていられない。森の中で真夜中になるのは避けたい。
「闇命君、大丈夫?」
『何が』
「今のこの状況と、精神的なもの」
『まったくもって問題なし。あんたに心配されるなんてね、僕も落ちたみたいだ。いや、単純に君が無駄にお人好しなだけか』
「…………もういいです」
心配して損したよ。口調もいつも通りだし、震えてもいない。本当に心配なんてしてないのかな。俺は今もまだ怖いし、今後どうなるのか恐怖でしかないんだけど。
「優夏、何を考えているのかわからんが、特に今は心配しなくてもいい。俺も今は気にしていない」
「琴平…………」
琴平は前だけを見て、歩きながら俺に声をかけてくれた。今一番不安なのは琴平なのに。
んー、すぐに切り替えるのはやっぱり俺には難しい。でも、切り替える努力はしよう。
「あ、そういえば。水仙家って、一体どんな陰陽寮なの?」
「水仙家についての情報は少ないが、確か水を扱う陰陽寮だった気がする」
「水?」
さっき、水神とか何とかって言っていたな。だから水を扱うのか?
「私が水神様について知っているのは、”穢れた心を持つ者には天罰を、清らかな心を持っている者には幸を。水を大事にしている者が、最後に笑うのです”という、伝えられた言葉のみですね」
「へぇ、なるほどね。つまり、水を大事にすれば水神様の怒りには触れないという事か。幸も欲しいけど、高望みはしてはいけないよね」
『高望みするくらいの技量、君自身にはあるの? ほとんど僕の力で助けられているくせに』
「はいはい、スイマセンデシタ」
少し口に出しただけでぼろくそに言われた。さすがに悲しいぞ、涙が出そう。
「道が開けてきたぞ」
「という事は、村が近いのかな」
「あぁ。だが、それより優夏。こっちに来て周りを見てみろ」
「え、周り?」
琴平が楽し気に俺を呼ぶ。手招きされるまま近づくと――――
「っ、わぁ、すごい」
木々の隙間から見える、透き通るようなきれいな湖が視界いっぱいに広がっている。静かで、波すら立っていない。陽光を反射してキラキラと輝いてる。
「闇命君闇命君!! 見えてる!? めっちゃ綺麗だよ!!」
『あんたの肩に乗っているんだから見えているに決まっているでしょ、子供じゃないんだから、そんなに興奮しないでよ』
こいつ…………。はぁ、まったく、素直じゃないんだから。
そんなに目をキラキラと輝かせているのに、何が興奮しないでだよ。
「では、もうそろそろ」
「あ、そうだね」
紅音が肩を叩き急かしてきた。確かに、いつまでも同じ場所にいる訳にはいかないか。早く行って、水仙家の陰陽師達とお話ししないと。
今回の旅の話とか、七人ミサキ。それと、靖弥についても。
必ず、件が予知した未来になんてしてなるものか。
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