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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 桜桃
第一章 安倍家

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夜空

 暗雲が月を隠し、闇を深くしていた。

 冷たい風が、周囲に立ち並ぶ木々の葉を揺らす森の中。


 霧雨が降り、視界は悪い。

 霧も漂い、普通に歩くだけでも難しいその場所に、一人の青年が頬を濡らしながら立っていた。


 青年はフード付きの羽織りで顔を隠している。

 雨を気にする様子もなく、ただ空を見上げていた。


 フードの隙間から覗く瞳は虚ろで、何を映しているのか分からないほど濁っている。


 その青年へ、人影が近づいていく。


 足音はなく、気配すらない。

 降り続く霧雨が、その存在を隠しているようだった。


「何をしている?」

「…………いえ」


 しわがれた声が、雨音に混じって青年の耳に届く。


 突然の声にも驚くことなく、短く返した彼は、空を見上げていた視線を人影へ移し、そのまま歩き出した。


「何か気になるものでもあったんじゃないのかい?」

「いえ。ただ、考えていただけです」

「そうか。これから行おうとしていることは、今までのようにはいかない。そういう時間も必要だろう」


 青年の背に声をかけながら、二人は森の中を並んで歩き始める。


 やがて雨は弱まり、視界も少しずつ晴れていった。


 森を抜けた瞬間、遮るものがなくなったせいか、突風が吹き抜ける。

 その風に煽られ、青年のフードが後ろへ流れ、隠れていた顔が露わになった。


「大丈夫か、()()()

「問題ありません、道満(どうまん)様」


 セイヤと呼ばれた青年は、外れたフードをかぶり直す。

 その時、何かを感じたのか、ふと夜空を見上げた。


 流れていた雲が風に押され、夜空いっぱいの星が姿を現す。


 濁った茶色の瞳に、無数の光が映り込んだ。


 大きな満月が、二人の立つ森を静かに照らしている。


 肩まで伸びた茶髪を風に揺らしながら、セイヤは満月を見つめ続けた。


「必ず、安倍闇命を──……」


 その先の言葉は、最後まで続かなかった。

 セイヤは再びフードを深くかぶる。


 そして、“道満様”と呼んだ人物の隣へ並ぶと、何も言わず、二人は闇へ溶け込むように姿を消した。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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