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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 桜桃
第三章 水仙家

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死への予言

 魔魅ちゃんの準備も整い、俺達は馬車に乗る。


 それにしても、魔魅ちゃん、可愛い姿になったなぁ。


 袴を基調とした服に、淡いピンクの髪飾りで黒い髪をおさげに。桜色の羽織を肩から掛け、草履を履いている。


「かわいいね、魔魅ちゃん」

「っ!! …………」


 あれ、顔を逸らされてしまった。何か嫌だったかな。


『そういう事、あまり言わないで』

「え、思ったから言っただけなんだけど……」

『それでもやめて』

「わ、わかったよ……」


 なんか、闇命君が複雑そうな顔をしてる。

 なんでだろう。まぁいいか、気をつけよう。


「それじゃ、行ってくる」

「お気をつけてください!!! 何かあれば、必ず戻ってきてください!! ここは貴方の居場所ですのでぇぇえ!!」


 岱平さんが魔魅ちゃんの荷物を持ち、服を直して笑顔で見送っている。

 なんだか、お父さん……いや、お兄ちゃんみたいだな。俺は一人っ子だし、少し羨ましい。


「それでは岱平さん。魔魅ちゃんをお預かりします」

「怪我をさせたら許さぬからな!!!」

「き、肝に銘じます……」


 最後に挨拶をして馬車に乗り込む。魔魅ちゃんの荷物は夏楓が持ってくれている。


 岱平さんの他にも数人、見届けてくれているが、どこか義務的だ。これが陰陽寮なんだろうな。


 まだ漆家は岱平さんのような人が上にいる分、ましかもしれない。他は安倍家のように腐っている可能性もある。


 俺は、そんな陰陽寮を変えられるのだろうか。


 いや、変えるんだ。俺達で。


 外を眺めていると、魔魅ちゃんが俺の服を引っ張ってきた。不安なのかな。


「魔魅ちゃん、大丈夫だよ」

「…………不安、ないよ」

「え、不安じゃないの?」

「うん。だって、お兄ちゃんがいるから!!」


 勢いのまま、魔魅ちゃんが抱きついてきた──ん?!


「え、どうしたの魔魅ちゃん!?」

「お兄ちゃん、ありがとう」


 え、あ、ん????


「え、えっと。どういたしまして?」


 胸に顔を埋めていた魔魅ちゃんが顔を上げる。

 その表情は幼く、優しく、楽しそうに笑っている。


 …………この笑顔が見れただけで、十分かも。


「これからよろしくね、魔魅ちゃん」

「うん!!!」


 ※


「『件、我々の道を指す道標となれ。急急如律令』」


 馬車の中で、次の行き先を決めるため、件の予知を聞くことにした。


 肩の上には鼠姿の闇命君。左隣には魔魅ちゃん。向かいには夏楓と紅音。琴平は御者席から小窓越しに様子を見ている。


 そして、目の前に現れた件。

 ……俺の知っている件じゃなかった。


「え、どなた様?」

『件ですよ、主』

「…………俺の知ってる件じゃない」


 いやいやいや!!! 絶対違うだろ!!!

 なんで人型になってるの?! しかも美形の少年なんだけど?!

 牛の体どこ行った?!


「俺、間違えて出した?」

『式神になると、術者の理想が少し影響されるんだよ。美形になってほしいとか思ってたんじゃない?』

「思ってない思ってない。それに河童はそのままだったじゃん」

『逆に、あれ以外の河童って想像できる?』

「…………できないな」


 金髪に、金色の瞳。

 貴族の子供のような姿。


 よく見ると、少しだけ牛要素も残っている。ズボンにアップリケみたいな牛の顔。


「……理想が反映されるなら、百目が整ってるのって闇命君の理想?」

『元々悪くなかったらしいよ。姫の護衛もしてたくらいだし』

「へぇ。……“らしい”?」

『父さんの式神だからね。詳しくは知らない』

「あぁ、なるほど」


 そんな話をしていると、紅音からの無言の圧。はい、すいません。


「えっと、件。俺達の未来を見てほしい」

『主の仰せのままに』


 件は正座し、金色の瞳を向けてくる。

 ……ちょっと怖い。吸い込まれそうだ。


 目を逸らさないようにしていると、瞳が一瞬光った気がした。


『…………っ!!』


 次の瞬間、件の表情が変わる。


「な、何が見えたの……?」

『……そ、それが……』


 言いにくそうに視線を逸らす。先は御者席。


「琴平?」


 件は気まずそうに琴平を見ている。


「どうしたんだ、件」

『…………次、村。一人の男の胸に──……』


 その予言は、全員を動揺させるには十分だった。


「…………胸に刀が刺さり──死ぬ?」

ここまで読んでいただきありがとうございます

次回も読んでいただけると嬉しいです


出来れば評価などよろしくお願いいたします(*´∇`*)

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