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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 文月朔夜
第三章 水仙家

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全力

 闇命君の静かな言葉が響く。その声には、わずかに怒りが混じっているように感じた。


「闇命君……。君、もしかして自分が──」

『僕の事はどうでもいいよ。今は魔魅の話でしょ。今までは同じ大人として見てきたのに、力を失った途端に子供扱い? 大人って本当にずる賢いね。そうやって子供だ、大人だって振り回す。本当の子供はどっちなんだろうね。他人のことを考えてから発言した方がいいんじゃない?』

「待て待て待て! そこまで言う必要ある?!」


 おかしい!! そこまで言うのは本当におかしいよ! 相手を怒らせる気満々じゃねぇか!!


 見てみろよ、岱平さんの額に青筋が──立ってない? 

 え、今もさっきと変わらず無表情でこっちを見ている。


 眉は少し上がっているけど、怒りの矛先は闇命君じゃないのかもしれない。

 闇命君の生意気な言葉に怒らない大人って、初めてかも……。


「…………なるほどな。確かに我々大人は、子供を都合の良い道具として見ていたのかもしれぬ。反省だ」


 目を伏せ、岱平さんは両手を床につけ頭を下げた。


「魔魅様!! 大変申し訳ございませんでした!! 私は、貴方を都合よく利用していたのかもしれません!! どのような罰でもお受けします!!!」

「え、そこまで?! いやいや、心配していただけでしょ? 罰なんて」

「いえ!! これは無礼な言葉でした!! 誠に情けない!! どうか、この私に罰を!!!」


 頭を下げたまま叫ぶ岱平さん。

 いや、本人は叫んでいるつもりはないんだろうけど、とにかく声が大きい。耳が痛い……。


「…………岱平」

「はい!!!」

「罰は、私を自由にするお手伝いをすることだよ」

「……え、それは……?」


 今の声、小さっ。出せるじゃん。


「これから私は、お兄ちゃんと出る。だから、着替えとか武器の準備。私、よく分からないから」

「……本当に、行かれるのですね」

「うん。私、行きたい。外の世界を見たい。呪い以外の力が欲しい」


 その声には、はっきりとした覚悟があった。


 岱平さんがこちらを見る。まだ迷いがある顔だ。

 なら、もう一押し。


「もし、呪い以外の力を手に入れたら。魔魅ちゃんは、それをどう使いたい?」

「お兄ちゃんを守る!」

「…………ん?」

「お兄ちゃんを、守る!!!!」

「……………………え?」


 拳を握って堂々宣言。

 ……え、それ俺?


「俺って、そんなに頼りないのかな……」

『今更?』

「冷静に返さないで闇命君……」


 キラキラした目で見上げてくるし……。


「俺じゃなくて、他の人を守るとかは?」

「私、まだ強くない。たくさん守れるか分からない。目標が大きすぎると迷う」

「ド正論」


 なるほど。まずは目の前から、ってことか。


「なんで俺?」

「…………いいでしょ……」


 そこは教えてくれないのか。もじもじしてるの、普通に可愛いな。


「優夏、そろそろ」

「あ、琴平。そうだね。岱平さん、いいですか? 魔魅ちゃんを連れて行って」


 問いかけると、岱平さんは渋々ながらも頷いた。


「魔魅様」

「何、岱平」

「私は、いつでも貴方の味方です。何かあれば必ず戻ってきてください。貴方の居場所は、ここにもあります」


 岱平さんは立ち上がり、魔魅ちゃんの前に膝をつく。右手をそっと包み込み、静かな声で伝えた。


 この時だけは声が普通で、ちゃんと聞きやすい。


「では、衣服などの準備に取り掛かります。少しだけお時間ください!!!」

「少しだけだからね。早くして」

「分かりました!!」


 笑顔で部屋を出ていく岱平さん。少しだけ、不安そうにも見えた。

 でも、もう止めることはないだろう。


 魔魅ちゃんを送り出すと決めたんだから。


 俺がやることは、友人の奪還と、魔魅ちゃんを守ること。

 この少年の体で、できることを全力でやる。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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