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嫉妬

 体が重たい。でも、ふわふわで暖かい。何かに包まれているような感覚だ。なんか、おでこが痛い気がするけど……。

 気持ちがいい。このまま、目を閉じていたい。でも、周りは明るいのか、閉じているはずの瞼の裏が明るい。


「ん、あれ。ここって……」


 木製の天井だ。横を向くと、鼠姿の闇命君が体を丸くし眠ってる。逆側には、琴平が壁によりかかり、腕を組みながら目を閉じている。


 重たい体を起こすと、体にかけらていたであろう毛布がハラリと落ちた。


「ここって、宿屋では無い、よね……」


 周りを見回しても、見覚えのある部屋ではない。

 俺が寝ていた布団以外に物はなく、壁側に座布団がある程度。ここは一体どこだ?


 首を傾げていると外から俺を呼ぶ声、紅音か?


「あ、はい」

「目を覚ましたか、優夏」


 返事をすると、紅音が扉を開け中へと入ってくる。その手にはお盆、いい匂いがするな、何それ?


「それは?」

「村長と共に作った穀物のスープだ。栄養満点と言っていた。疲れた体には最適だろう」


 紅音が俺の横に座り、スープを手渡してくれる。

 器は木製の小皿ほどの大きさで、熱が伝わりにくい素材なのか、スープ自体からは煙が立ち上がっているが、熱くない。


「ありがとう、紅音」

「礼はいらん。やりたくてやった事だ」

「なら、俺も言いたいから言う。本当に助かるよ。ありがとう」

「…………ふん」


 あ、そっぽ向けられてしまった。まぁ、髪から見え隠れしている耳が少し赤いから、照れ隠しって分かるけど。

 紅音って、素直なところは素直なのになぁ。まぁ、そこがいいところでありってやつかな。


「いただきます」

「ゆっくり食え」

「うん」


 あれ、そういえば。俺の分ともう一つ。紅音が持ってきたお盆の上に小皿が置いてある。中身は俺のと同じ、穀物のスープ。


「もう一つは紅音の?」

「これは琴平のだ」

「あぁ、なるほど。琴平も眠っているのかな」

「おそらく起きている。琴平は、人がいるところでは深く眠れん」


 え、でも瞼をつむっているけど……。


「琴平、ご飯だ。食べないと駄目だ」

「紅音は食べたのか?」


 おぅふ、本当だ。普通に受け答えしている。


 紅音が話しかけると、閉じていた瞼をあげ、水色の瞳を俺達に向けた。


「ワタシは味見した。美味しかったぞ」

「味見という事は、しっかりと食べていないという事だな。なら、俺はいいから紅音が食え」

「琴平が食べる」

「いや、俺はいい」

「駄目だ」

「だがな……」

「駄目だ!!!」


 何この痴話喧嘩。俺は何を見せつけられてるの? もう、ナチュラルにいちゃつかないでくださいな。


 あ、スープ美味しい、暖かい。心は寒いけど、体が温まるなぁ。あれ、なんだろう。目から雫が……。体があったまったから、汗でも流れ出てきたかなぁ。あっはっはっ。


 …………彼女欲しいなぁ。


「…………はぁ、わかった。確かにお腹空いたな。有難くもらおうか」

「っ!! あぁ」


 めっちゃ嬉しそうだなぁ、琴平も満更じゃないし。さっさとくっつけやクソ、こっちが惨めになるわ。どうせ、将来君達はくっつくのだから、さっさと告白しやがれ琴平。


 スープを飲み干し、いちゃついている二人を見ていると、右手に違和感。なんだ? なんか、くすぐったっ──いたたたたたたた!!!!!! この感覚!! この感覚には覚えがあるぞ!! おい! 闇命君貴様!!!!


「そんなつぶらな瞳で見上げても無駄だよ闇命君。可愛いけど! 可愛いけど無駄だからね!!」


 鼠は可愛いけど、中身の闇命君は可愛くないからね?! いや、お父さんが大好きってところは可愛いか。そこは少年みがあって可愛いかな。


『黙れ』

「スイマセン」


 もうそろそろ読心術が当たり前になってきた。


『体のだるさはもう大丈夫なの?』

「え、あ。うん。眠ったらスッキリしたみたい。それより、ここってどこ?」

『ここは漆家の陰陽寮。君がいきなり、法力が突如として切れた式神のようにぶっ倒れたから。村長の家にいる訳にもいかず。琴平に運ばせて陰陽寮まで来たんだよ』

「あ、そうだったの?」

『結局ここには来ないといけないわけだし、別にいいかと思って。あと、そのおでこどうするつもり? おでこから床に倒れるとか恥さらし本当にやめて』

「…………通りで少しおでこが痛いはずだよ……」


 なんか、ジンジンするもん。


『ひとまず。これから陰陽允おんようのじょうに話をつけに行く。それで、一度僕達の陰陽寮に戻る。猫じじぃに今回の話をしないといけないからね』


 あぁ、すっかり忘れてたよ。今回の依頼、そもそも紫苑さんから言われていた事だった。他の依頼は終わったかなぁ。


 夏楓、負担をかけてしまい申し訳ございませんでした……。

ここまで読んでいただきありがとうございます

次回も読んで頂けると嬉しいです


出来れば評価などよろしくお願いいたします( *´꒳`* )

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