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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 桜桃
第三章 水仙家

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決断

 え、闇命君? 今の口調は?


 闇命君は気づいているのかいないのか、そのまま話を続ける。


『もし安倍家で私が必要なら、全力は尽くそう。だが同時に、こちらはこちらで動かせてもらう。そもそも今までの安倍家は、私を浄化の時にしか使っていなかっただろう。今さらいなくなったところで問題はないはずだ。それとも、この程度の少年がいないと、まともに浄化もできないのか? だとすれば、地に落ちたものだね』


 目の前の少年が、本当に闇命君なのか。

 そう疑うほど、口調が大人びていた。


 元々落ち着いてはいたが――これは別人みたいだ。


「闇命様、口調が戻っておりますが……よろしいのですか?」

『……え、戻ってた? うそ。やば』

「え、戻っ……??」


 戻ってた?

 じゃあ、今のが本来の口調……?


「闇命様は父上が大好きだからな。感情が昂ると、口調も父上のように――」

『琴平、ちょっと黙って。別に父さんは関係ないし、好きでもない。口調は近くにいた人に影響されるだけでしょ。好き嫌いは関係ない』


 ……めちゃくちゃ早口。

 完全に図星だろこれ。


「えっと……その話は置いといて」

『ちょっと』

「雨燕さん。さっきの話ですが、協力できるところは協力し、互いの行動には口を出さない。まずはそれで進めたいんですが、どうでしょう」


 これが一番楽だ。

 干渉しすぎず、邪魔もしない。


「その意思は変わらんのだな」

「変わりません」

「この先、何が起きるか分からん。それでもか?」

「起きないように動きます。それに、仲間もいます。俺は折れません」


 怖くないわけじゃない。

 でも――進むしかない。


「……そうか。なら、後は陰陽頭様の判断に任せる」

「……はい」


 ――通った、のか?


「勘違いするな。認めたわけではない」

「あい……」


 読まれてるなぁ……。


『疲れた』

「それな……もう寝たい」


 気が抜けた瞬間、強烈な眠気。


 視界が落ちる。


 ※


 ――暗闇。


 床も壁もない。

 自分だけが、ぼんやり光っている。


「安倍晴明さん?」

『よく分かったね。こんにちは』

「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」


 近い!! 後ろにいるな!!!


『ふふ。今回は大変だったね』

「本当に……疲れました」

『まだ試練は続くよ。ここで倒れるわけにはいかないだろう?』

「大丈夫です。もう最初の頃の俺じゃないので」


 最初は何も分からなかった。

 流されるまま動いていた。


 でも今は違う。


『考えに浸るのもいいけど、次を考えよう』

「現実的すぎる……」

『目は逸らせないからね』

「……そうですね。ここは夢みたいな世界ですけど、闇命君にとっては現実です。問題を一つずつ解決して、靖弥を取り戻す。そして、自由を手に入れる」

『そうだね。君が折れたら終わる。だから――何があっても、諦めないでほしい』


 その顔。

 なぜ、そんなに悲しそうなんだ。


『これからも、私の子孫をよろしく頼むよ』

「はい。全力でやります。それしかできないので」


 俺はまだまだ未熟者。

 闇命君や琴平たちがいないと、行動にすら移せない臆病者。


 でも、もう動くと決めた今、全力で体を動かすしかできない。


『時間だ』


 視界が白く染まる。


『道を外さないで。自分を信じ続けるんだよ、牧野優夏』

「――はい」


 微笑みを残して、消えた。

 光に包まれ、意識が浮かぶ。


 ※


 体が重い。でも、ふわふわで暖かい。何かに包まれているような感覚だ。少しおでこが痛い気もするが……。


 気持ちがいい。このまま目を閉じていたい。でも、周りが明るいのか、閉じているはずの瞼の裏が白い。


「ん……あれ。ここって……」


 木製の天井。

 横を見ると、鼠姿の闇命君が丸くなって眠っている。反対側には、琴平が壁にもたれ、腕を組んだまま目を閉じていた。


 重い体を起こすと、かけられていた毛布がはらりと落ちる。


「ここ、宿屋じゃないよね……」


 見回しても見覚えはない。

 布団以外ほとんど何もなく、壁際に座布団があるくらいだ。


 首を傾げていると、外から声がする。紅音か。


「あ、はい」

「目を覚ましたか、優夏」


 扉が開き、紅音が入ってくる。手にはお盆。いい匂いだ。


「それは?」

「村長と作った穀物のスープだ。栄養満点らしい。疲れた体にいいだろう」


 紅音が隣に座り、器を渡してくる。

 木製の器は熱が伝わりにくいのか、湯気は立っているのに持っても熱くない。


「ありがとう、紅音」

「礼はいらん。やりたくてやっただけだ」

「それでも言うよ。本当に助かる。ありがとう」

「…………ふん」


 そっぽを向かれた。

 でも耳が少し赤い。分かりやすいな。


「いただきます」

「ゆっくり食え」

「うん」


 ……あれ。


 お盆にはもう一つ、同じスープがある。


「それ、紅音の?」

「琴平のだ」

「ああ、なるほど。まだ寝てるのか」

「いや、起きているだろう。あいつは人前で深く眠れん」


 いや、普通に目閉じてるけど……。


「琴平、ご飯だ」

「紅音は食べたのか?」


 ・・・・起きてた。


 紅音が声をかけると、琴平は目を開け、水色の瞳を向ける。


「ワタシは味見した」

「つまり食べていないな。なら紅音が食え」

「琴平が食べる」

「いや、俺はいい」

「駄目だ」

「だが――」

「駄目だ!!」


 ……何これ。


 目の前で繰り広げられる小競り合い。

 いや、これほぼイチャつきだろ。


 スープを口に運ぶ。

 ……うまい。温かい。


 体は温まるのに、心が寒い。


 あれ、目からなんか出てきた。

 汗かな。うん、きっとそう。


 …………彼女ほしい。


「……分かった。もらう」

「っ……ああ」


 めちゃくちゃ嬉しそうじゃん。


 もう付き合えよ。


 どうせ将来そうなるんだろ。早くしろ。


 スープを飲み干したところで、右手に違和感。


 ……くすぐった――


「いたたたたたたた!!」


 この感覚、覚えがある!


「闇命君!!」


 視線を向けると、鼠がこちらを見ている。


「その目で見ても無駄だからな! 可愛いけど無駄だから!」


 見た目は可愛い。

 でも中身は闇命君だ。


『黙れ』

「すみません」


 即謝罪。


『体のだるさは?』

「あ、うん。寝たら大丈夫。それよりここどこ?」

『漆家の陰陽寮。君がいきなり倒れたから運んだ』

「え、そうだったの?」

『どうせ来る予定だったしね。それより――その額どうするの? 顔から倒れるのやめてくれる?』

「……だから痛いのか……」


 地味にジンジンする。


『これから陰陽允に話をつける。その後、一度戻る。一応、報告だけはしないといけないからね、猫じじぃに』

「あー……」


 そうだ。


 今回の件、元は紫苑さんからの依頼だった。


 ……他の依頼、大丈夫かな。

 夏楓、すまん。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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