出会い
『紅音!!!!』
『え、うわっ!!!』
『紅音ちゃん!!』
気付いた時には遅く、長い舌が紅音の足を巻き取り、引っ張られてしまった。
手を掴もうと伸ばすが、届かない。
徐々に紅音の動きを封じるように体に巻き付いてしまう。
離させようとするも、俺は化け物からしたら赤子当然な大きさ。無理なのは分かっていた。
それでも、ほっとくことなんて出来ず、化け物の足にしがみつき、離させようとする。
『はなせ!! 紅音をはなせ!! この、化け物!!!』
意味が無いのは分かる。それでも、叫ぶしか出来なかったんだ。
そんな時、後ろから甲高い叫び声が聞こえ、振り向いた。
そこには、木の棒を構え、氷の一技之長を纏わせた母が立っていたんだ。
『か、あさん?』
『私の娘を離しなさい!!!』
叫びながら、母は化け物に向かって木の棒を振りかぶる。だが、戦闘に慣れていない人物の攻撃など、巨大な化け物にとっては無意味。
鬱陶しかったんだろう。
化け物は気持ちの悪い目を母に向ける。
そのことに母は息を飲み、それでも逃げずに『離しなさい!』と、叫び続けた。
俺も負けず、母と同じ氷の一技之長を使おうと周りに何か落ちてないか探した。
その時、何かが破壊されたような音が聞こえたんだ。
『──えっ』
後ろにいたはずの母はいなくなっており、地面には血痕が残されている。
恐る恐る音のした方に目を向けるとそこには、体が歪な形に曲がり息絶えている、母親の姿が映し出された。
そのことに対し、俺は何を思っていたのか分からない。
怒り、悲しみ、恐怖。
もしかしたら、それ以外の感情が俺の胸を覆い尽くしていたのかもしれない。
体は動かず、震えるのみ。
いつもとは違う姿で目を閉じている母親を、ただただ見ているしか出来なかった。
次に化け物が狙いを定めたのは、俺だ。
上から視線を感じ、見上げると化け物の瞳と目が合った。
紅音は今も尚、もがき抜け出そうとしている。
『あ、あぁ……』
動けず、それでも紅音を見捨てることも出来ない。
母親が使っていた木の棒が地面に落ちているのを見つけた。
動かなかった足を無理やり動かし、木の棒まで走り構える。
しっかりと氷を纏わせ、震えながらも構えたんだ。
もしかしたら俺もぶっ飛ばされ、一瞬で終わるかもしれない。
それでも、紅音さえ無事なら、それでいいと思った。
化け物が俺に向かって、ヌルヌルとしているカエルの足を動かし、蹴りあげようと動き出す。
目の前まで迫ってきた足。
避けることも、受け止めることも出来ず、ただそれを見ているしか出来ない。
当たる直前、なぜか俺は紅音を見上げていた。
その時の紅音は、涙を流していて、悲しげに顔を歪めている。
死ぬわけにはいかない。
瞬間的に思ったが時すでに遅く、化け物の足は目の前。避けられない。
『ごめっ──』
諦めた時、どこからか凛々しい男性の声が聞こえたんだ。
『もう、これ以上はやめなさい、大蝦蟇』
その言葉と同時に、何かが焼ける匂いが鼻を掠めた。
どこからか分からず見回していると、化け物の足元からパチパチという音が聞こえ、見ていると急に燃え広がる。
『あ、紅音!!』
紅音まで巻き込まれると思ったんだけど、先程の声の主であろう人が、俺の頭を手を置き『大丈夫だよ。安心して』と優しく伝えてくれた。
それと同時に、黒髪の青年、百目が刀で下を切り、紅音を救出してくれた。
『紅音、大丈夫か?!』
『こ、とひ……』
百目は黙って紅音を俺に渡し、俺は紅音の震える体を支え、後ろにいる男性を見上げた。
『貴方は?』
『それは名前を聞いているでいいのかな。それだったら、私の名前は、安倍煌命。安倍家の陰陽頭を務めさせてもらっているよ』
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