表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 桜桃
心からの怒りと安らぎ
72/246

兄貴

 俺が紅音と出会ったのは、確か五歳の時のはずだ。


 紅音の親が病で死んでしまい、引き取り手がなかったところを、俺の親が快く引き取ったのが始まりだ。


『今日から貴方は、私の子よ。よろしくね』

『おじさんとも優しくしてくれると嬉しいよ。ほら、この子が俺達の息子、琴平だ。仲良くしてやってくれ』


 そう言うと、父さんに腕を引かれた俺は、紅音の前に。


 その時の俺は、まだ髪を伸ばしていないし、片目も()()()()()


『初めまして。僕はことひ。よろしく』

『…………』


 緊張しているのか、紅音は俺が差し出した手を取ることはせず、ジィっと見ているだけだった。


 赤いはずの瞳は、黒く濁り、体にはなぜか包帯が巻かれている。

 不思議に思ったが聞くことはせず、横に垂らしている右手を無理やり掴み、握手をしたんだ。


 拒まなかった。

 その手をじっと見ているだけの紅音を俺は、守ってあげないとと、自然と思ったんだよ。


 それから、俺達は一緒に行動することが増えた。


 子供の頃なんて性別など関係ない。

 一緒にご飯、お風呂、就寝が当たり前になっていった。


 それでも、紅音は俺を呼んでくれず、声すら聞けない。

 その行動に、少し不安になっていたから、紅音に聞いてみた。


『あかねは、僕のこときらい?』

『…………』


 その質問に、紅音は小さく首を横に振った。

 それでも、俺は信じられず、何度も同じことを聞いては、紅音の反応を見て不貞腐れていた。


 なんで俺が不貞腐れたのか分からなかったんだろうな。

 紅音は首を傾げ、顔色を伺ってくる。

 その行動が、少し嬉しく思った記憶があるな。


 そんな日々を過ごしていた。

 普通の家族だったんだ。

 普通の幸せ家族──だったはずなんだ。


 俺が十、紅音が八の時。厄介な奴が家へと戻ってきた。それは、俺の兄だ。


『ん〜? あれ、なんか見知らぬ女性が増えてるねぇ。なぁに、お袋と親父、頑張っちゃった系?』

琴葉(ことは)……。おかえりなさい。どこへ行っていたの?』

『お袋には関係ないだろ。ちょっと近くに来ただけだから、寄っただけ。すぐに出て行くよ』


 兄貴の名前は月花琴葉。

 自由奔放で、酒と女が大好きな、最低男だ。


 言葉の通りすぐに出ていこうとした兄貴は、紅音を再度見た時、口元に気持ち悪い笑みを浮かべたんだ。そして、何を思ったのか近づき始める。


 俺は必死になって守ろうとしたんだが、兄貴の力には勝てず、簡単に横へと倒されてしまった。


『お嬢ちゃん、綺麗な顔立ちをしているね。僕のお嫁さんにならないかい?』

『…………』

『つれないねぇ』


 紅音はいつものように無言を貫き、首を横に振る。

 その態度に対し兄貴は追求せず、その場から立ち去った。


 その際、手にはしっかりと現金が握られていて、今回戻ってきたのは、お金目的なんだとわかったんだ。


 そんな兄貴がいることを再認識させられ、俺は気持ち悪くして仕方が無くなった。


 空気が悪く、重たい。

 倒された体勢から動けず、情けない体勢だっただろう。


 そんな時、紅音が初めて俺に自ら近づき、頭を撫でてくれたんだよ。

 何が起きたのかわからず、見ているしか出来なかった。


『あかっ──』

『琴平、あの人。すっごく、悪い人じゃない』


 その時初めて、紅音の声を聞けた。

 高音の女性らしい声。優しく、柔らかい声。耳に自然と入ってくる、温かみのある声。


 初めて紅音が話しかけてきてくれたことに喜び、思わず抱きしめてしまった。


 両親も紅音が話したことに驚き、それと同時に母は目に涙を浮かべ、父は俺達二人の頭を大きく頼もしい手で撫でてくれた。


 兄貴が来たことは予想外だったが、その時は現金だけを取っていたため、気にしないことにしたんだよ。


 紅音も『すっごく、悪い人、では無い』と言い続けていたしな。


 それからまた平和な日々を過ごした。

 家族全員でご飯を食べ、野菜を作り、沢山話した。


 紅音も、兄貴が来た日を境に話すようになってな。

 最初はたどたどしかったが、慣れていくと普通に話せるようになったんだ。


 でも、どうしてだろうな。

 なんで、平和な日々は長くは続かないんだろう。


 本当にあの日は、そう思ったよ。


ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ