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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 桜桃
第三章 水仙家

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悪業罰示式神

「……──と、こんな感じだ。うまく説明できず、すまない。当時は余裕がなくてな」

「ううん。ありがとう」


 琴平は終始、淡々としていた。


 感情を押し殺しているのかもしれない。

 でも、これ以上は聞かない方がいい気がした。


「でも、闇命君……変わったんだね」

「ああ。変わってしまった」


 “しまった”。


 その一言が重かった。


 環境が悪すぎたんだろう。

 革命は失敗し、父の意思も継げなかった。


「でも、驚いたな。昔の闇命君たちも、俺と同じことを考えてたなんて」

「……力不足だった。だが今回は一人多い。可能性は低いが、やる価値はある」

「あくまで低いんだな」


 琴平は否定しなかった。


「昔、あちこちに喧嘩を売ったからな。今の方が動きづらい」


 なるほど。

 信用がないのか。


「それで優夏。これからどうする。陰陽助は邪魔をしてくるぞ」

「なら、もう一人の陰陽助に頼る。それでも駄目ならこじ開ける」


 それが、できる。


「今は闇命君たちもいるしね」


 それだけで、できる気がした。

 絶対に失敗できない。


 今度こそ。


 煌命様の願いを――


「……あっ」

「どうした?」


 そこで気づいた。


「俺、闇命君にすごく酷いこと言ってしまった」

「ひどいこと?」

「何もしないで諦めてる、みたいなこと」


 琴平が黙る。


「でも、実際は違った」


 革命を起こそうとしていた。

 途中で潰されただけだ。


「そうだな」


 琴平は頷く。


「闇命様は気にしていないと思うが、気になるなら謝ればいい」

「うん。謝る」

「いい子だ」


 ぽん。


 頭を撫でられた。


「子供扱いしないでよ……」

「子供だからな」


 反論できなかった。


「戻るぞ。闇命様もまだ起きている」

「うん」


 宿へ戻る。

 襖を開けると、闇命君を囲んで夏楓と紅音が話していた。


「あ、おかえりなさい」

「…………」


 夏楓は笑顔。

 紅音は無言。


 闇命君は、閉じていた目を開いた。


『なに?』


 完全に察している顔だった。


『何か言いたそうだけど』

「うん。もし可能なら、半透明になってくれない?」


 怪訝そうにしながらも、闇命君は姿を変える。

 すると琴平が空気を読んで立ち上がった。


「行くぞ」


 紅音と夏楓もついていく。

 襖が閉まった。


『それで?』


 闇命君の前に座る。

 そして頭を下げた。


「ごめんなさい!!」

『……は?』

「俺、何も知らないくせに偉そうなこと言った!」


 沈黙。


『ああ』


 闇命君が納得したように頷いたみたい。


『琴平に聞いたんだね』

「うん」

『別に謝らなくていいよ』

「え?」

『君は知らなかったんだから』


 顔を上げると、闇命君は肩をすくめていた。


『それに、僕も話してなかったし』

「でも……」

『怒る理由がない』


 本気で不思議そうだった。


「でも、俺は――」

『それに』


 闇命君が遮る。


『結局、結果を出せなかった』


 静かな声だった。


『途中で諦めたんだから、何もしていないのと同じだよ』

「そんなこと……」

『ある』


 即答だった。


『現に、君は勘違いした』

「うっ」


 痛い。

 反論できない。


『でも、今回は違う』


 闇命君が笑う。


『絶対に結果を出す』


 強い目だった。


『周りの大人を認めさせる』


 そして。


『革命を起こす』


 吹っ切れた顔だった。


「――うん!!」


 大きく頷く。


『なら、バカなことをバカみたいに長々と考えてないで、次の行動を少しでも考えなよバカ』

「なんで最後に馬鹿って言うの!?」


 本当にひどい。


 ※


 一晩明けた。

 俺と闇命君は再び、井戸の中にいる。


『いるね』

「もう復活したのか」


 暗闇の奥。

 人ではない気配。


 水音が響く。

 肌がざわつく。


『これ以上は危ない』

「どうするの?」


 倒しても転生する。


『倒す直前に式神にする』


 闇命君が言う。


『まずは動きを止める方法だけど――』


 考え込む。

 その間、俺は周囲を見回した。


「……ん?」


 天井に何かある。


 御札だ。


 一枚。


 二枚。


 十枚以上。


 これで封じていたのか。


『見つけた』


 闇命君が顔を上げる。


『方法がある』

「ほんと?」

『ただし一人じゃ無理』

「なんで?」

『件の予言は視界内が対象だから』


 なるほど。

 見られたら終わりか。


『よし。暗闇を使う』

「うん」

『雷火を出して』

「え」

『早く』

「あ、はい」


 説明がないのはいつものことだ。


「『雷火、光となれ、急急如律令』」


 雷火が現れる。

 だが次の瞬間。


『件の視界を潰せ』


 閃光。


「っ、眩し!?」


 目が焼ける。


 直後。


 件の叫び声が響いた。


 視界が戻る。

 件は目を押さえていた。


『今だ! 川天狗を!』

「っ! 分かった!」


 札を投げる。


「『川天狗、人の先を見るモノを溺れさせよ、急急如律令!!』」


 川天狗が現れた。

 件の頭を押さえつける。


『やめろ……』


 件が震える。


『やめろぉぉぉ!!』


 絶叫。


 怯えている。


 何を見せられてるんだ?


 やがて。

 件は動かなくなった。


「何したの?」

『後で』


 即答だった。


『今は式神化』

「あ、うん」


 気になるけど!


『真似して。力を札に流す』

「分かった」


 深呼吸。

 そして、唱える。


「『現世を放浪するモノ、名を件。我を主とし、下僕となれ。屈服せよ――急急如律令』」


 光が弾けた。

 件が札へ吸い込まれていく。


 力が流れ込む。


 綺麗だった。


 苦しくない。


 温かい。


 やがて光が消える。


「……成功?」

『多分』


 一拍。


「はぁぁぁぁぁああああああ!!」


 腰が抜けそうだった。

 怖かったぁぁぁああ!!

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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