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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 桜桃
第二章 死絡村

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心からの安らぎⅤ

『ち、力が欲しいか? 君は……?』

『私の名前は安倍闇命(あべのあんめい)。安倍家の者だよ。多分、父さんに会ったことあるんじゃないかな』

『と、うさん? も、もしかして、煌命さん?』

『そう、私の父さん。……君、まだ現実を受け止めきれていないみたいだけど、このまま同じ生活を続けたい?』


 その言葉は、心を覗かれているようだった。

 闇命様の目も、すべてを見透かしているように光って見える。


 すぐには頷けない。

 思わず後ろの紅音を見ると、同じように顔を青くしていた。


『……現実を受け止められていないっていうのは分からない。でも、最初の言葉はどういう意味だ? 力が欲しいって』

『私達のもとで陰陽師にならない? 君達のような存在が欲しい』


 強い言葉だった。

 目も、まっすぐで――嘘には見えない。


 紅音も気になったのか、隣に来て闇命様を見下ろしている。


『簡単に言えば、安倍家に来ないかってこと。無理強いはしないよ。でも……今の君達は、見ていられない。来てくれたら嬉しい』


 まっすぐすぎる言葉だった。


 断る理由が、出てこない。

 気づけば、頷いていた。


『ほんと? やった!』


 闇命様は満面の笑みを浮かべ、子供みたいに喜ぶ。


 その様子に少し戸惑う。

 けど――


 そろそろ、変わらなきゃいけないとも思った。


 それから俺達は安倍家に入り、闇命様と煌命様のもとで陰陽術を学び、力を得た。


 紅音は巫女の力を手に入れ、さらに体も鍛え始めた。

 少しでも力になろうと、努力し続けてくれた。


 それが、どれだけ支えになっていたか――


 何度も逃げたくなった。

 この、胸糞の悪い場所から。


 それでも、闇命様と煌命様のため。

 そう決めたから、やりきった。


 ――だが。


『私の命は、もう長くない。次の陰陽頭は闇命にするつもりだ』

『で、ですが……闇命様はまだ……』

『ああ。早いのは分かっている。周りも認めないだろう』


 煌命様は、静かに続けた。


『だから、闇命が成長するまで、別の者に任せる。この家では立場なんて名前だけだ。正直、誰がなっても構わない』


 そこで、一度言葉を切る。


『……だから、変えてほしい。この陰陽寮を。私にできなかったことを』


 その言葉を最後に、煌命様は目を閉じた。


 それから――変えようとした。

 闇命様と、一緒に。


 途中で夏楓も加わり、事情を話して協力を求めた。

 それでも――何も変わらなかった。


 すべてがもみ消される。

 行動も制限される。

 すべて監視される。


 もう、結局、諦めるしかなかった。


 そして今。


 闇命様は遠巻きにされ、自由を奪われている。

 理由をつけられ、行動範囲も狭められた。


 世界が、どんどん小さくなっていく。


 ――俺達は、何もできなかった。


 煌命様の想いを、受け継ぐことを。

 途中で、諦めてしまったんだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます

次回も読んで頂けると嬉しいです


出来れば評価などよろしくお願いいたします( *´꒳`* )

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