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演技

『っ、待って、変なことをしようとしないで』

「変なことじゃないから、別にいいよね」

『駄目に決まってるでしょ。というか、無理だよ。この世界に革命を起こすなんて。不可能だ!!』

「──へぇ、やっぱり感づいていたんだ。当たり前か、闇命君は俺の思考なんてなんでもわかるもんね」


 闇命君の困ったような、焦ったような顔。

 多分だけど、闇命君は最初から分かっていた。


 俺が、初めて安倍晴明と話した時。俺の思考は駄々洩れだったと思うし、話さなかったから闇命君も話さなかっただけ。


 真っすぐと困惑している闇命君を見る。

 何を言ってきても、俺の決意は変わらない。


 この世界に革命を。

 陰陽寮に自由を。

 人々に笑顔を。


 俺は、すべてを叶えるんだ。


 ※


「アホなのか?」

「馬鹿すぎる……」

「冷静になった方がいい」


 今は日が沈み、夜になった。


 頭を冷やした雨燕さん達が戻ってきて、今は村長の家に集まっていた。


 その時に、闇命君と話した内容を伝えたら、紅音は首を傾げながら、琴平は頭を抱え、雨燕さんは呆れ気味に返してきた。


 まぁ、予想は出来ていたよ。

 否定されない方がおかしいと思っていたし。


「闇命は了承したのか」

『するわけが無いでしょ。何を言っても意味がなかったんだよ。どんな言葉も聞く耳持ってくれないし、意見を変える気は無いみたい。だから、琴平達に止めてもらおうと思った』


 闇命君の言葉は、どれも納得が出来るものだったし、やめた方がいいとも思った。

 それでも、変えたいと思う気持ちは抑えられなかった。


 だから、どんな言葉をかけられても、俺は意見を変える気は無い。

 例え、琴平達が俺に呆れ一人にしようとしても、俺はやり続ける。


「なら、こちらも反対し続ける。無茶なことをしようとするのはやめろ優夏。闇命様が偉大な方だとしても、難しいことぐらいある」

「闇命君の体じゃなくても、俺はやるよ。だって、この世界は絶対におかしい」


 言い切ると琴平は固唾を飲んだ。

 ここまで強く琴平の言葉を否定したことなんて無かったから、驚かせてしまったのだろうか。


 ごめん。でも、今回ばかりは本当に諦められないんだ。それだけはわかって欲しい。


「やると口にするのは簡単だ。だが、それを行動に移すのは簡単ではない。貴様でも、それはわかるのではないか?」

「分かりますよ。口にするだけなら簡単ですよね。でも、行動に移すのは難しい。本当にそう思います。だから、協力して欲しいなどは言いません。俺一人でも何とかしてみようと思います」

「ちょっと待て。貴様の体は、闇命様の体だぞ! そんな危険なことを、闇命様の体でさせるわけがないだろう!!」


 雨燕さんは諭すように俺に言い、紅音は怒りを拳に込めている。


「闇命君が言うに、口寄せした魂を別の依代に移すことは可能みたいなんだ。だから、俺の魂を他の依代に移す。そうすれば、闇命君の体は返せるよ、紅音」

「そんなこと、聞いたことありませんが……」

『口寄せは魂を自身の体に誘導し、憑依させる。その誘導を他の人にするだけだよ。僕なら簡単に出来る。優夏が何を言っても聞かないのなら、それを実行するよ』


 呆れ気味に闇命君は三人に伝えた。


 最初は困惑している三人だったが、今までの闇命君を知っているため、嘘を言っているとは思えないのだろう。


 信じ難いという顔を浮かべているけど、信じてくれないと困る。


「次の依代もしっかりと考えているのか」

「考えていますよ」

「嘘ではないだろうな」

「嘘だと思っていいですよ、信じてくれるなんて思っていませんので。ですが、どう思おうと邪魔だけはしないでください。それが、俺からのお願いです」


 真っ直ぐと雨燕さんを見る。


 絶対に、俺の邪魔はさせない。

 今まで、散々邪魔してきたんだから、今回だけは道を譲ってもらうよ。


 …………闇命君のせいでぶち破ってきたけど。



 ・・・・・・・・・・・。



 無言が続く。おそらく、みんなで俺を諦めさせようと頭の中で考えているのだろう。


 早く、諦めて欲しい。頷いてよ。


「…………はぁ。なら、俺達がやることも決まっているんだな、優夏」

「え、俺達?」


 琴平がいきなり分からないことを言い出す。

 なに。俺達って?


「決まっているだろ。俺達は、革命を起こすにあたって何をすればいい」

「そうだ。ワタシ達は何をする。役割や段取りなど。しっかりと決めねばならぬだろ」


 …………え。まさか、俺達って……?


『もしかして、琴平達は優夏の無謀とも言える革命に力を貸そうとしているの?』

「おそらく、これ以上何を言っても意味は無いかと。なら、闇命様の体に傷をつけぬよう、我々がお守り致します」

『体の問題はいらないよ。だって、口寄せで他の依代に──』

「それ、嘘ですよね?」


 あ、バレた。


 琴平は薄く笑みを浮かべて、唇を尖らせている闇命君を見下ろす。


 まさか、バレたなんて……。


「それだけではなく、闇命様は優夏の意見に賛成しているように見えます。いや、賛成せざるを得なかった。と、言った方がよろしいでしょうか?」

『…………いつから気づいていたの』

「確信したのは先ほどですよ」


 そこまで気づいていたなんて……。

 琴平、凄い。俺達の《《演技》》は、そんなに下手だっただろうか。


 気づかれないと思ったんだけどなぁ。

 闇命君も俺も、結構演技力あったと思うんだけど……。


「詳しく話を聞かせなさい」


 この場で唯一、琴平の言葉を理解出来ていない雨燕さんが、少し慌てた様子で俺達に問いかけてきた。


 確かに、バレてしまったのなら仕方がない。教えるしかないか。


 俺が初めて、闇命君に口で勝てた出来事を、めっちゃ詳しく──ふふっ。


『笑うな、気持ち悪い』

「スイマセンデシタ」

ここまで読んで下さりありがとうございます!

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