今後
ま、まぁ、そうか。
今ここで、魔魅ちゃんの今後について考えても仕方がない。
けど……。気になる。
なんで、呪いが使えなくなったんだ?
『元々、魔魅には呪いの耐性があったんだよ。だから使えたんだ。でも、今ので完璧になくなり、呪いは使えなくなった。いや、使えないわけじゃない。使えば、今までにない呪いの代償を払うことになる』
呪いの、代償……?
『おそらく、一、二回が限度だろうね。蠱毒とかなら別だけど、漆家独自の呪いはもう使えない。つまり、呪いを特化させている漆家では、生きていけない』
呪いを使えないのは、いいこと。
だって、使った所で、それが良い方に動くなんてないはず。
でも、立場を考えると複雑だな。
『…………なに。なんか、少し嬉しそうじゃない?』
「えっ」
嘘、嬉しそうにしてた? まじ?
頬を触るけど、よくわかんない。
「少し顔がにやけていたぞ」
「紅音にも分かるくらい、俺の表情は分かりやすかったのか」
「どういう意味だ、貴様」
「な、なんでもございません……」
でも、まじかぁ。
嫌味ったらしい奴みたいじゃん。やめてよ本当に……。
別に、呪いが消えて漆家がどーのこーのとか考えてないよ、俺。
優位に立てたとか、まったく考えてないよ。
『あんたのことだから、どうせ魔魅みたいな子供がもう、呪いを使わなくて済むとか考えたんでしょ? 立場とか考えないでさ』
「うっ。ご最もでございます」
だって、俺は反対だからね。
立場とかそういうのは、正直子供には関係ない。大人がやるべきことだ。
子供にそれを背負わせるのは、絶対におかしい。
「まぁ、それだけで済む話じゃないのは分かるから、大いに喜べないけどね」
「喜ばれたら困ります。これから僕達はどうすればいいんですか。この村は、漆家が管理しているのですよ。陰陽頭がこのようになってしまったのなら、これからどうすればいいんですか!!」
え、村長が急に荒れ始めた?!
そ、そんなこと俺に言われても困るよ?! 困るんだけど!?
座敷童子も今の声に驚いてしまい、俺の後ろに隠れてしまった。
「お、落ち着いて村長さん! そこは多分だいじょっ──」
「何が大丈夫だと言うのですか!! 言葉だけのでまかせは要らないですよ!! もっと明確な、人が納得できる理由を述べてください!!」
ぅぅううううん!!!! ご最も!!!!
興奮してしまった村長に、俺が今何を言っても聞く耳持たなそうだな。
どうするか、考えても俺の頭じゃ説得出来る言葉なんて出てこないよぉ……。
「貴様!! 闇命様になんて口を聞くのだ! 今すぐに訂正するのだ!!!」
紅音まで怒り出してしまった!?
待ってよ、これ以上混乱を招かないで!!
「そうだ。無礼にも程があるぞ。また、痛い目にあいたいようだな」
琴平まで?!!
いや、言われているのは俺だし、正しいことしか言われてないんだけど?!
『ひとまず、落ち着いてください』
まずお前が落ち着け百目!!!
刀を鞘に納めるんだ!!! 刃を村長に突きつけるな!!!!
やばいやばいやばい!
みんな、闇命君依存性だから酷いことを言われて怒ってる! 収集つかない!
「ちょ、みんな、おちつ──」
あれ、なんか、闇命君、怒ってない……?
『――――うるさい』
ひっっっっっく!!!
今まで聞いたことがないくらい低い、闇命君の声で部屋に静寂が広がった。
「申し訳ありません闇命様」
「…………すいませんでした」
『取り乱しました』
た、助かった…………。
闇命君の一言で、怒りMAXの三人はひとまず落ち着いてくれた。
『村はとりあえず今まで通りで問題ないと思うよ。結局、内側を管理していたのは村長なわけだし、外側はとりあえず安倍家で考えるとする。ここの近くに漆家以外の陰陽寮が無いから、それも視野に入れておく。件は僕達も考えているから問題は無い。とりあえず、今は村の人達にはこの事態を伝えず、やり過ごすのが最適だよ』
腕を組みながら、闇命君がツラツラと村長に伝えた。
さすが闇命君。この短時間でここまで考えるのはすごいなぁ。
俺なんて取り乱すだけで、何も考えられなかったよ。
「しかし……」
『今取り乱したところで意味は無いでしょ。大体、今ここで喚き散らしたからと言って、今までの生活が戻ってくると思う? 陰陽頭の力は戻ってくるの? 件は? そんなことも考えられないで、よく村長が務まるね。尊敬するよ』
毒舌闇命君襲来。
見てよ、村長の顔。怒りで顔を赤くしてるよ。
俺は知らないからな!!!!!
「とりあえず、今は陰陽頭が目を覚ますのを待つしかない。頭を冷やす必要もある。これからは自由に行動した方がいいだろう」
今まで黙っていた雨燕さんが口を開き、とりあえず重い空気を何とか出来た。助かったよ。
「ワシは少し出る」
「…………僕も」
雨燕さんと村長は同時に部屋を出て行く。
その足取りは、少し荒々しく、引き止めることなんて、出来なかった。
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