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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 文月朔夜
第二章 死絡村

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閑話 心からの安らぎⅠ

 俺が紅音と出会ったのは、確か五歳の時だ。


 紅音の親が病で亡くなり、引き取り手がいなかったところを、俺の親が引き取ったのが始まりだ。


『今日から貴方は、私の子よ。よろしくね』

『おじさんとも仲良くしてくれると嬉しいよ。ほら、この子が俺達の息子、琴平だ。仲良くしてやってくれ』


 そう言うと、父さんに腕を引かれた俺は、紅音の前に立った。


 その時の俺は、まだ髪を伸ばしていないし、片目も見(・)え(・)て(・)い(・)た(・)。


『初めまして。僕はことひ。よろしく』

『…………』


 緊張しているのか、紅音は俺が差し出した手を取らず、じっと見ているだけだった。


 赤いはずの瞳は黒く濁り、体にはなぜか包帯が巻かれている。

 不思議に思ったが聞くことはせず、横に垂らしていた右手を掴み、無理やり握手をした。


 拒まれなかった。

 その手をじっと見ているだけの紅音を見て、俺は自然と「守らなければ」と思ったんだ。


 それから、俺達は一緒に行動することが増えた。


 子供の頃なんて性別は関係ない。

 一緒にご飯を食べ、風呂に入り、眠る。それが当たり前になっていった。


 それでも紅音は俺を呼ばず、声すら聞けなかった。

 そのことが少し不安で、紅音に聞いてみた。


『あかねは、僕のこときらい?』

『…………』


 紅音は小さく首を横に振った。

 それでも俺は信じきれず、何度も同じことを聞いては、その反応を見て不貞腐れていた。


 なんで不貞腐れていたのか、自分でも分からなかった。

 紅音は首を傾げて俺の顔色を伺う。

 その様子が、少し嬉しかった記憶がある。


 そんな日々を過ごしていた。

 普通の家族だった。

 普通の、幸せな家族──だったはずなんだ。


 俺が十、紅音が八の時。厄介な奴が家に戻ってきた。俺の兄だ。


『ん〜? あれ、なんか見知らぬ女の子が増えてるねぇ。なぁに、お袋と親父、頑張っちゃった系?』

『琴葉(ことは)……。おかえりなさい。どこへ行っていたの?』

『お袋には関係ないだろ。ちょっと近くに来ただけだよ。すぐに出て行く』


 兄貴の名前は、月花琴葉。

 自由奔放で、酒と女が大好きな、最低な男だ。


 言葉通りすぐに出て行こうとした兄貴は、紅音を見た瞬間、気味の悪い笑みを浮かべた。

 そして、何を思ったのか近づいてくる。


 俺は必死に守ろうとしたが、兄貴の力には敵わず、簡単に倒された。


『お嬢ちゃん、綺麗な顔立ちをしているね。僕のお嫁さんにならないかい?』

『…………』

『つれないねぇ』


 紅音は無言のまま首を横に振る。

 兄貴はそれ以上追及せず、その場を去った。


 その手にはしっかりと現金が握られていた。

 今回戻ってきたのは、金目当てだとすぐに分かった。


 そんな兄貴の存在を改めて突きつけられ、気分が悪くなった。

 空気は重く、動けないまま倒れていた俺は、情けなかったと思う。


 そんな時、紅音が初めて自分から近づいてきて、俺の頭を撫でてくれた。

 何が起きたのか分からず、ただ見ているしかなかった。


『あかっ──』

『琴平、あの人。すっごく悪い人じゃない』


 その時、初めて紅音の声を聞いた。

 優しく、柔らかく、自然と耳に入ってくる温かい声だった。


 初めて話しかけてくれたことが嬉しくて、思わず抱きしめてしまった。


 両親も驚き、母は涙を浮かべ、父は俺達の頭を大きな手で撫でてくれた。


 兄貴が来たのは予想外だったが、その時は金だけを取って去ったため、深くは気にしなかった。


 紅音も「すっごく悪い人ではない」と言い続けていたしな。


 それからまた、平和な日々が続いた。

 家族でご飯を食べ、野菜を育て、たくさん話した。


 紅音も、あの日を境に話すようになった。

 最初はたどたどしかったが、次第に普通に話せるようになった。


 でも、どうしてだろうな。

 平和な日々は、どうして長く続かないんだろう。


 本当に、あの日はそう思ったよ。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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