反逆行為
「何を言っている。闇命よ、お主も地に落ちたか」
『敵を守るなんて馬鹿らしい。そんな事を意味もなくする訳が無いでしょ』
「なら、なぜそやつを庇う真似をする。それは立派な反逆行為。主が安倍家を継ぐ、時期陰陽頭だとしても、これは罰しに値する」
別に、陰陽頭とかどうでもいいんだけど。あのじーさんは、殺しても死なないでしょ。何度でも蘇りそう。
『気分だよ、庇っている訳じゃない。それに、捕虜にして情報を抜き出した方が色々、今後の為になると思っただけ』
「だが、そやつはもう死ぬ。安倍家に逆らった事を後悔しながらな」
『…………確かにそうだね』
今だ出血が酷い。意識も飛びそうになっているんだろうな。
腕に力が入らないらしく、立ち上がろうとしてもすぐに地面へと倒れ込んでいる。
早く止血しないと、情報を抜き取る事すら出来ないな。
「これ以上、邪魔をするな闇命」
『…………悪いけど、ここで引いた方がもっと面倒臭い事が待っているって分かるんだ。僕、天才だからね。琴平、紅音』
後ろに待機していた琴平と紅音。出るタイミングを伺っていたな、名前を呼んだらすぐに僕の隣に来た。
琴平は氷柱女房を出したままか。横にいる女性が雨燕をじっと見てる。紅音は紅音で殺気を放ちながら指を鳴らし、何かをブツブツと唱えてるな、何を唱えているんだ……。
「よくも闇命様に向けて鬼熊を。ふざけておるのかそれだけではなくなぜ闇命様の体はあのような危険な立ち位置におるのだもし何かあったらどうするどうしてくれよう殺るか殺ったら全て解決か殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロス──……」
…………聞かなかった事にするか。
「今までどこにいた」
「少し、手間取ってしまった事がありまして。解決したのでご心配なく」
「今はもう一つ、手間取りそうな事に直面しているけどな」
「それは言うな紅音。仕方がない」
解決したという事は、村長と看守はどうにか出来たのか。でも、二人も無傷ではないみたいだね。
琴平は所々に切り傷があるし、右の肩口はぱっくりと斬れてる。止血はしているみたいだけど、血がまだ止まっていない様子。無理させるわけにはいかない。
紅音は頬が少し腫れているし、よく見ると左足を庇っている。
「殺ろう」
「殺る相手を間違えないようにな」
それでも殺る気なのは、素直にすごいと思うよ。二人とも、自分の事より僕を優先する。いつ、いかなる時でも……。自分を優先と言っても、これだけは絶対に従わないんだよなぁ、昔から。別に、いいけどさ。
『紅音、まずこいつの止血を頼みたい。傷を塞ぐだけでいい。結構深くやられてる』
「了解しました」
紅音は素直に聞いてくれて、セイヤの傷口に手を添える。それを雨燕は、鬼熊を使い止めようとしてきた。
琴平が瞬時に氷柱女房で雨燕の足元を凍らせ、動きを制す。
「何をしている、琴平よ」
『申し訳ありません。ですが、俺の主は闇命様ですから』
これも反逆行為になるんだろうな。琴平と紅音も。こんな事をすれば、もしかしたら陰陽寮から追放されるかもしれない。それは理解しているはずなんだけどね。まぁ、だから信用出来るんだけど。
紅音の手が淡く光り始めると、セイヤが手首を掴み睨みあげる。殺気の含まれた視線だが、紅音は変なところで鈍感だ。
普通に、自分のやる事を邪魔されたと思うだろうね。青筋立てて顔を引きつらせてるし……。
「貴様、これは闇命様の命で行っている事。邪魔するな」
「余計な事、するな。俺を、助けるな!」
掠れ声で、セイヤはそれだけを言い、血走らせた目を紅音に向けている。その圧に、流石の紅音も息を飲み、僕に指示を仰いできた──いや、その目は指示を仰いでいないな。その目から感じれるのは「今すぐこいつを殺しても良いですか」というものか。相当怒っているね、殺させないけど。
首を振り、再度紅音に治すよう指示。渋々と言った感じに治し始める。
セイヤは拒否する姿勢を見せるが、紅音が「黙れ」と圧をかけ。負けた彼は、素直に従った。
優夏が言っていた事、あながち間違えていないかもしれないな。この中で一番の化け物は紅音かもしれない。
よしっ、琴平も鬼熊を止めてくれているし、早くこんなの終わらせたい。二人の傷も治さないと。
「貴様ら、安倍家を裏切るというのかっ──」
『っ、な、なんだ?!』
雨燕が叫ぼうとした時、雷が落ちたような大きな音が鳴り、地響きが起きる。
大きく揺れる地面に手をつき、琴平や紅音も自身の傷を庇いながら、地面に手をついてしまう。
咄嗟に琴平がセイヤを守っているのには安心だけど、何が起きた。
『おいおいおいおい!!』
晴明と道満の戦闘がさっきより激しい事になってる。地響きの原因はあの二人か!!
白虎が咆哮、陰摩羅鬼と牛鬼が飛び回り攻撃を仕掛けている。
牛鬼の三本槍が白虎の体を貫こうとするも、硬く刺さらない。陰摩羅鬼が突進しても少し体が揺らいでいるだけで、無傷だ。
見た感じ、白虎が有利に見えるがそうでは無い。
なぜか白虎は避けたり、牽制するだけで攻撃を仕掛けようとしない。それは晴明の指示なのか?
晴明は道満を殺そうとはしていないという事か? でも、その理由が分からない。自分を殺したんじゃないのか。なんでそんな余裕そうに笑っているんだ。
『時間のようですね。これにて終了致しましょうか』
呟いた晴明は、妖しい笑みを道満に向け、白虎に指示を出す。
『白虎──我を打ち負かそうとする者を消し去りなさい』
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