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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 文月朔夜
第一章 安倍家

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落ち着かない

 紅音と四季さんが待つ陰陽寮へ戻った。

 けれど、外で待っていたはずの二人の姿がない。


 あれからだいぶ時間が経ったもんなぁ。


 待ちきれず、どこかへ移動したのかもしれない。


 正面玄関の前で辺りを見回していると、後ろから紫苑さんが肩に手を置き、優しい笑みを向けてきた。


 ……え、なんですか。


 なんか企んでるように見えて怖いんですが。


「女性二人を外で待たせておくのはどうかと思うよ。もう少し、女性の扱い方を勉強した方がいい」

「あ、はい。スイマセンデシタ」


 待て。

 もしかしてこの人、タラシか?!


「いや、確かに見た目は普通にかっこいいというか優男だし、立場は上から二番目。俺のいた世界で言えば副店長クラス。お金もあるだろうし、声も柔らかい。目はちょっと怖いけど、それを差し引いても美形男性。ふむふむ」


 そんな男性を――


「女性が放っておく訳が無い!!!!!!」

「何を言っているんだ貴様。変な勘違いをするな」


 ドスの効いた声が正面玄関から飛んできた。


 この声は確実に紅音。

 しかも怒りMAXだ。


 ゆっくり振り向く。

 そこには腕を組み、氷のような目でこちらを見下ろす紅音。


 その後ろで苦笑いしている四季さん。


 ……うん。


 見なければよかったかもしれない。


 今の紅音の目は、温かい心を持つ人でも一瞬で凍る。


「琴平、今のは違うぞ。闇命様ではない者が勝手なことを言っているだけだ。断じてワタシは猫ジジィなど何とも思っていない」

「あ、あぁ。分かっている。何故、それを俺に?」

「…………違うと言いたかっただけだ。気にするな」


 琴平は困惑。

 紅音は、少しだけ頬を染め、顔を逸らした。


 ────ハハ〜ン。


 なるほど、紅音が琴平をねぇ。

 可愛いところあるじゃないか。


 二人をニヤニヤ見ていると、紫苑さんがまったく空気を読まずに口を開いた。


 おい、もう少し楽しませてくれよ。

 優男は見た目だけか。


 というか紅音、普通に猫ジジィって言ってたな。


「ここまでお出迎えありがとう。私の部屋は居心地悪かったかい?」


 どうやら二人はさっきまで紫苑さんの部屋にいたらしい。

 聞かれた二人は顔を見合わせ、気まずそうに視線を逸らした。


 ……あぁ。


 そういえば、あの部屋は汚部屋だった。


 もしかして、あそこに女性二人を……。


「…………紫苑さんには言われたくないです」

「何の話だい?」

「なんでもありません」


 これ以上考えるのはやめよう。

 意味がない気がする。


 それより早く村へ向かわないと。


 紫苑さんの言葉も引っかかるし、時間も迫っている。


「とりあえず、紫苑様の部屋は片付けさせて頂きました」

「えっ」


 あ、紫苑さんの顔が一気に青くなった。

 嫌だったのか……。


「あそこには私の大切な宝物が……」

「あの、紫苑さん。部屋の確認は後にして、まず村へ向かいませんか? 時間もないですし」

「……わかったよ」


 今にも泣きそうな顔で肩を落とす紫苑さん。

 ちょっと申し訳ない。


 そのまま後ろについて行き、用意されていた馬車へ乗り込む。


 目的地へ向けて、馬車はゆっくり動き出した。


 馬車に乗るの初めてだなぁ。


 しかも白馬。

 かっこいい。


 白馬の王子様って言葉があるくらいだし、女性の憧れでもあるんだろうか。


 ……あれ。


 紫苑さんが座ってる場所って、車で言う運転席だよな。

 名前なんて言うんだろう。


『御者席(ぎょしゃせき)』

「心読むのやめてくれない? でも、ありがとう闇命君」


 そんなやり取りをしながら村へ急ぐ。

 四季さんは落ち着かないらしく、何度も外を見ては腕を組み直していた。


「大丈夫?」

「へっ。い、いや……ちょっと落ち着かなくて」

「そうだよね。でも出来る限り頑張るから。それに今回は、陰陽寮でも上位の紫苑さんがいる。少しは安心してほしい」


 落ち着かないのは当然だ。


 家族が危険かもしれない。

 自分も何かに巻き込まれるかもしれない。


 何の力も持たない彼女が、それを全部抱えている。


 もし森で出会わなければ。

 何も知らないまま村ごと焼け野原になっていた可能性もある。


 そんな彼女に、何を言えばいいのか分からない。


 どんな言葉も気休めにしかならない。


 きっと、今の言葉だってそうだ。


 四季さんは無理に笑って、


「ありがとうございます」


 とだけ返した。


 その表情が胸に刺さる。


 早く。


 早く村へ着いてくれ。


 早く彼女を、この不安から解放してあげてくれ。


 焦っても意味はない。


 それでも、彼女の不安が移ったように胸がざわつく。


 馬車の窓から外を見つめながら、村が見えるのを待つしかなかった。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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