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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 文月朔夜
第一章 安倍家

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習性

 成功してよかったぁぁぁぁああああああ!!!!


 失敗していたら次の作戦を考えなければならないところだった。

 マジで何も考えられていなかったから、その意味でも助かった。


 猫刄は俺の依(・)代(・)の頭を踏み台にして地面へ降りた瞬間、本物の俺が結界を張り、そのまま捕らえた。


 なぜここまで誘導したのか。

 理由は単純。太陽の光を利用するためだ。


 猫又は、人の家で長く生きた猫が老いて化けると聞いたことがある。

 なら、目の作りも大きくは変わらないんじゃないかと思った。


 猫は夜行性。

 夜に強いなら、逆に強い光は苦手かもしれない。


 だからここまで誘導して動きを制限し、光から逃げる動きを利用して捕まえる。

 それが今回の作戦だった。


「それにしても、この依代すごいなぁ。思った通りに動いてくれるし、声まで出せるんだ」

『あの声はなんだったの。僕の体でふざけないでくれる?』

「いや、なんか……少しでも驚かせた方がいいかなって……」


 少しでも驚かせれば、咄嗟に逃げる。


 逃げた先に結界。

 地面へ着く直前で張れば、逃げ場はない。


 だから少しでも高く跳んでもらう必要があった。


 まだ結界の発動には慣れていないから、そのくらいの余裕が欲しかったのだ。


「それにしても──よく見ると可愛いなぁ」


 結界の中で毛繕いを続ける猫刄は、ほとんど普通の猫にしか見えない。

 違うのは尻尾が二本あることくらいだ。


「単純な作戦だったけど、動物相手ならこのくらいの方がいいのかな」

『みたいだね。まぁ、僕の体だから上手くいっただけだと思うけど』


 うっ。

 確かに今、一気に三つの術を使っていた。


 雷火、依代、結界。


 そのせいか体が少しだるい。

 ……やっぱり疲れてる。


「あ、依代はもういいのか。えっと、この依代ってどうやって消すの?」

『依代を作る時に使った紙人形あるでしょ。それに感謝の気持ちを込めながら、名前の文字を破る。それで解除できるよ』


 破るのか。

 でも感謝を込めて、か。


「今回は俺の作戦のために働いてくださり、ありがっ──」

『そういうのはいいから早く破り捨てなよ。どうせ驚かしただけなんだから』


 この糞餓鬼が。

 感謝の気持ちを込めろと言っただろうが。


「また、よろしくお願いします」


 そう言って“闇命”と書かれた部分を破る。

 紙は風に乗った瞬間、炎に包まれた。


「え、燃えた?」


 あっという間に灰になって消える。

 同時に、闇命として動いていた依代も半透明になり、そのまま姿を消した。


「これが陰陽術なんだね」

『まぁね。これはまだ序の口だけど』


 序の口かぁ。

 まだまだ覚えることは多そうだ。


 崖の方をぼんやり見ながら立っていると、背後から拍手が聞こえた。


「あ、紫苑さん……と、え。なんで琴平、そんなに疲れてるの?」


 振り返ると、紫苑さんが穏やかに微笑み、その隣で琴平が木にもたれながら肩で息をしていた。


 体まで震えている。

 なんでそんなに疲れてるの。


 紫苑さんは息ひとつ乱していないのに。


「ぶ、無事に終わったみたいですね……。良かったです……」

「いや、まずは自分の心配しよう琴平。大丈夫?」

「闇命様に心配されるなんて……勿体ないお言葉……です」


 あ、もう駄目だ。

 完全に疲れすぎて、俺を闇命君だと思ってる。


 とりあえず、これ以上話しかけないでおこう。


「えっと、とりあえず捕まえました。これで協力していただけますか?」


 条件は“猫刄を捕まえること”。

 なら、これは達成のはずだ。


「そうだね。正直、ここまで早くその体を使いこなせるとは思わなかったけれど、約束は約束だ。協力しようか」


 よっしゃぁぁぁあぁぁぁ!!!!

 強い味方ゲットぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!


 これで闇命君の体は陰陽寮から出られる。

 まずは一歩前進だ。


「そうと決まれば早速行こうか。もう時間がないからね」

「え、もうそんなに時間がないんですか?」


 確かに時間がないとは言ったけど、まだ夜まではあると思っていた。


 けれど紫苑さんは静かに首を振る。


「準備の時間もある。それに“夜”という言葉に惑わされてはいけないよ」

「え?」

「夜という言葉に、明確な時刻はない。今夜、今晩、今宵──言い方はあっても、はっきりした境目は曖昧だ。だからこそ、油断してはいけない」


 ……そうなのか。

 全然知らなかった。


 なんとなく十八時以降くらいだと思っていた。

 この人が言うならそうなんだろうけど、不安になるな……。


「さぁ、早く彼女を連れて行こう」

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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