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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 文月朔夜
第一章 安倍家

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無謀

 とりあえず二人目の陰陽助、妖香紫苑(ようかしおん)さんに今までの経緯を簡単に説明した。


 話を聞き終えると、紫苑さんは顎に手を当てて考え込む。

 やっぱり、そう簡単に頷ける内容ではないらしい。


 依頼として正式に受理された話ではない。

 上に立つ者として、ここは慎重に判断するべきなんだろう。


 もしこの人まで、あの堅物野郎やクソじーさんと同じ考えなら──もう俺に出来ることはない。


 闇命君の体だからこそ動ける部分もあるけど、こういう時は逆に厄介だ。


 もし転生じゃなく転移だったとしても……いや、無理か。

 そもそも元の俺なんて、平凡って文字が歩いてるような男子高校生だったし。


 取り柄なんて何一つない。


「そうかい。事情は分かったよ。それなら、私の力を貸そうかな」

「ほ、本当ですか?!」

「えぇ」


 っしゃ!!

 正直断られると思っていたから、この返事はかなり嬉しい。


 思わず気分が浮いたけど──


 なぜか闇命君と琴平の顔は渋い。


 ……なんで?


「あの二人、なんでそんな難しい顔してるの?」

『当たり前だろ。こいつのことだ。どうせタダで力を貸すわけがない。――そうだろ』

「おや、分かっていたのだね。それは残念。驚いた顔が見たかったのに」


 あぁ、そういうことか。

 こちらがお願いする立場なんだから、何か条件があるのは当然かもしれない。


 そう思って待っていると、紫苑さんの目が少しだけ細くなる。

 笑っているのに、嫌な予感しかしない。


「貴方たちに力を貸す条件として──外にいる黒猫を捕まえてくれるかい?」

「く、黒猫……ですか?」

「はい」


 なぜ今、この場面で猫。

 しかも黒猫。


「あの、時間がないのでそれは日を改めて──」

「なら、この話は無しということで。出口は後ろだよ」


 うわぁ。

 こういうタイプか。


 こっちが強く出られないのを分かった上で言ってる。

 そりゃ闇命君も苦手なわけだ。


「黒猫なら何でもいいんですか?」

「いいえ。私の式神である猫又を探してほしい」

「え、猫又?」


 猫又って式神で見たことあったっけ。

 ……いや、そもそも陰陽師自体見たことないけど。


『悪業罰示式神《あくぎょうばっししきがみ》』

「んん?? あ、あくぎょうばっししきがみ?」


 闇命君が真顔で教えてくれる。

 でも分からない。


 全然分からない。


「悪業罰示式神は、俺たち陰陽師が打ち負かした悪霊を、自身の使役神として式神にすることだ」


 琴平がすぐ補足してくれた。


 助かる。


 つまり、倒した悪霊を仲間にして使うってことか。


「でも、それを捕まえるのが条件ってどういうことですか? 式神なら呼べば戻るんじゃ……」

「私の式神、猫刄(みょうじん)は外が大好きでね。声をかけただけでは戻ってこないのだよ」

「…………本当に式神ですか?」

「勿論」


 そう言って微笑まれてしまうと、もう何も言えない。


 納得はいかない。

 でもここで止まっている時間もない。


 さっさと見つけるしかない。

 幸いこっちは三人──


「ちなみに探すのは君一人だ。彼には別のことを頼む」

「は?」


 え。

 この人、正気?


 時間ないって言ってるよね?


 一人で?


 この、下手したら俺の通ってた高校より広い陰陽寮で?

 一匹の黒猫を?


 絶対無理だろ。


「頑張ってくださいねぇ〜」

「うるせっ────行ってきます!!!!」


 思わず暴言が口から出そうになり、慌てて飲み込む。

 そのまま襖を勢いよく開けて廊下へ飛び出した。


 危ない。

 あのまま言ってたら絶対首飛んでた。


 誰もいない薄暗い廊下。

 静かすぎて足音だけが響く。


 こうして俺は一人、

 寂しく黒猫探しの旅へ出ることになった。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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