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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 文月朔夜
第一章 安倍家

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本物の上司の貫禄

 琴平が襖を開けると、上位者の部屋とは思えない光景が視界いっぱいに広がった。


 部屋は和室。

 だが畳の上には紙が散乱し、筆は墨がついたまま転がっている。


 せっかくの畳も黒く染まり、窓が閉まっているせいで墨の匂いが充満していた。


 奥には布団一式。

 それすら水玉模様のように墨が飛び散っている。


 紙や筆だけではない。

 竹筒、印鑑らしきもの、服まで無造作に落ちていて、足の踏み場がない。


 ──これが本物の汚部屋か。


 俺の部屋も漫画やゲームで綺麗とは言えなかったけど、それ以上だ。


 困惑していると、琴平が頭を抱えた。


 深いため息。

 完全に呆れている。


「はぁ……陰陽助。なぜこのようなことになっているのですか。一昨日片付けたばかりのはずですよ……」


 え。

 これで片付けたの?

 しかも一昨日?


 二日でこれはもう故意だろ。


『そうだったかい? まぁ、気にする必要はないよ』

「え、どこから声が聞こえてるの」


 琴平より少し低い声。


 柔らかく甘い、どこか執事みたいな声だった。


 でも姿がない。


 どこだ。


 ……まさか。


 奥の布団。


 膨らんでる気がする。


 墨を踏まないよう慎重に進み、布団へ近づく。


 掛け布団を掴み、勢いよくめくった。


 そこにいたのは──


「……………………騙されたぁぁぁぁあああああ!!」


 等身大の人形。

 しかも顔はへのへのもへじ。


 適当すぎる。


 いやそこじゃない。

 なんでここで身代わりの術!?

 意味が分からない!!


 落胆して畳に手をついた瞬間、肩に手が置かれた。


 琴平だ。


 目が「ドンマイ」と語っている。


 虚しい。


「これはなんですか、琴平さん」

「よくこうして人を騙して楽しんでいるんだ。深く考えるな、無駄だ」


 そういう人なのか。

 というか、そんな性格で陰陽助務まるのか。


 一体どんな人なんだぁぁああああ!!


 もう探すのは琴平に任せよう。


 壁際で体育座り。

 無駄に動けば服が汚れる。


 ……にしても、本当に個性豊かだな、この陰陽寮。


 一番上のじーさんは本当にうざいし。


 あのじーさん、人の血ちゃんと流れてるのか?

 子供に化け物ぶつけるとか普通じゃない。


 堅物助も人の血が通ってる気がしない。

 類は友を呼ぶを体現したような場所だ。


 せめてもう一人の陰陽助くらいはまともで──


「君が考え事なんて珍しいね。熱でもあるのかい?」

「っ?! うわぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!」


 目の前に男の顔。


 しかも逆さま。


 え。


 コウモリ?


 いや違う。


 ……天井に立ってる?


 何この人。


 重力どうなってるの。


「あ、紫苑さん。もしかしてまた天井に張り付いていたのですか?」

「まさか。人が来る気配を感じてね、天井裏に隠れさせてもらっただけだよ。面白そうな話を持ってきてくれた気がしたから、最初に驚かせてあげようと思って」


 逆さのまま、甘い声でふざけたことを言う。


 ……えぇ。


 この人が陰陽助?


 終わったな、この陰陽寮。


「はぁ……」

「おやおや。君がため息を吐くなんて。本当に面白いことがあったみたいだね。教えてもらおうかな」


 そう言って、紫苑は舞うように袖を揺らしながら畳へ降りた。


 墨も紙も踏まずに。


 高身長の優男。


 白銀の髪は腰まで伸び、カーキ色の着物には控えめな紅葉模様。


 白い肌。

 両目は青柳色。


 前髪の隙間から覗く瞳に、思わず背筋が冷える。


 柔和な笑みを浮かべているのに、圧だけが異様だった。


 ……この人は確かに上に立つ人間かもしれない。


 見られただけで体が硬直する。


 まるでメデューサ。


 会ったことないけど。


「……君は闇命君ではないね。誰なんだい?」


 え。

 目を合わせただけで分かったのか。


 気づけば片膝をつかれ、顎を固定されていた。


 青柳色の瞳が真正面から俺を捉える。


 逃げられない。


 喉が詰まる。


 声が出ない。


 思考まで止まる。


 ……なんだこれ。


 気持ち悪い。


『ちょっと。分かってるならそんなことしないでくれる? 猫ジジィ』

「おやおや。そこにいたんだね、闇命君。良かったよ」


 闇命君が姿を現し、紫苑を睨みつける。

 その瞬間、青柳色の視線が外れた。


 息が戻る。


 時間が止まっていたみたいだった。


『まったく。つーか、君もなんでこんな奴にそこまで怖がるわけ。何度も言うけど、僕の体で情けない姿晒さないでくれる?』

「はい、すいません」


 晒したくて晒したわけじゃないんだけどね。


 ……はぁ。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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