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噂の二宮君
そのあとも、生徒たちが次々と教室に入ってきた。
少し遅れて、一人の女子が入ってきた。
――白石美奈だった。
教室の何人かが顔を上げた。
姿勢がよく、動きに迷いがない。
「あっ、白石さん!」
一人の女子が軽く手を挙げた。
美奈は笑って応え、黒板横の座席表を確認した。
二宮は、その様子を息を呑んで見ていた。
美奈は教室の中央へ歩き、二宮の隣で足を止めた。
「ここ、かな」
美奈は二宮の隣に座った。
「美奈、よろしく」
「白石さんと同じクラスになれるの、嬉しい」
女子たちの声が重なる。
美奈は軽く笑って返した
ふと、隣の二宮に目をやる。
「よろしく。えーと、二宮君、だよね。噂の」
二宮は、美奈をじっと見つめたままだった。
美奈は首を傾げる。
「あの。二宮君、だよね。何度か廊下で見かけた気がするけど」
二宮は、我に返ったように口を開いた。
「これは、失礼しました。いえ。噂の二宮君と言われては、僕の立場がありません。噂の白石さんの隣という奇跡から目を背けておりました。僕が噂の二宮です。僕は――」
美奈は、クスリと笑った。
「聞いてた通り、変わってる」




