第十五節 太陽
春の優しい温かさを感じる、日曜日の午後――。
主人公と尾坦子は、公園デートをしていた。2人は、何をするでもなくただベンチに寄り添い、同じ時を共有していた。
(回想)
土曜日の夜――、
「!」
主人公は携帯電話が騒がしく着信音を鳴らしているのに気付いた。
「尾坦子……さん? 出てみよう。もしもし」
「もしもし、ツトム君? 明日、病院勤務急遽休みになったんだー、だから急遽、デートしよう!!」
「えっ……? あっ、はい」
「じゃあ、13時、噴水の見える公園に集合ね!」
ピッという電子音で、通話は途切れた。
(病院って、急遽休みが取れるのだろうか……?)
一つの素朴な疑問が浮かび上がり、はて? と、携帯片手に首を傾げる主人公であった。
(回想終了)
心地よい快晴の下、二人は未だに寄り添っていた。
ふと、尾坦子から口を開き、会話が始まった。
「覚えてる……よね? ここで私がツトム君に告白したコト――」
「うん……覚えてる」
(回想)
「次、どこ行こうか?」
「どこ行こうかなー?」
「よし、決めた!」
「え?」
キョトンとする主人公。
「噴水が見える公園!」
公園にて――。
「ここって、昔お母さんとよく来てたんだ」
「へぇー。そうなんだ」
「ハトが遊びに来るんだよ……ほら、来た。よしよーし」
「ホントだ」
「よし!」
急に立ち上がる尾坦子。
「?」
続いて笑顔で言う。
「好きです、付き合って下さい」
(回想終了)
「晴れて、良かったね」
「うん……」
「日差しがあったかいね……」
「うん……」
「太陽って優しいね……」
「……」
2人は、顔を合わせることこそなかったが、キラキラと日の光が反射する噴水を眺め身を寄せ合っていた。
「う……うっ……うぇ……」
「ツトム君!?」
主人公は、つい泣き出してしまった。
何故――? その理由を、尾坦子は察することができずにアタフタしていた。滲み出る生温かい水分を、急いで拭った主人公は、その理由を吐露し始める。
「あっ……いや、つい……。僕がこんなに幸せで、平和で良いのかなって……。ゾムビーや、スマシさんのコト思い出しちゃった……」
「?」
「うん……僕のこの手で、ゾムビー達を滅ぼしてしまったし、スマシさんも、助けられなかった……。そんな犠牲の上で生きているって、ふと頭を過ったから、なんだか申し訳なくなってきて……」
それを耳にした尾坦子は、しょうがないなと、溜め息を吐いてから、両手を組み、んーと、リラックスした状態で言葉を選んだ。正に、主人公を安心させるかの様に――。
「もー! そんなコト言ったって、ツトム君の人生なんだから、自分で歩いていくしかないんだからね。暗いの暗いの、飛んでいけー!」
「何だソレ?」
ははっと主人公は少し心に余裕ができた様子だった。ここで、ピンっと人差し指を立てた尾坦子が、それを主人公に向けニタリと笑いながら続ける。
「しっかりと歩いて行かないとね。ワタシも居るんだから――」
「――!!」
主人公は思いがけない言葉に、顔が熱を帯びた。
「一緒に歩いて行こうね!」
「うん!!」
もう、先程までの弱気な主人公は居なくなっていた。
誰かを犠牲にして生きているコト――。
一生、心に背負って生きて行くと決めたコト――。
でも、それは一人で背負うワケじゃない――、
この人と、一緒に――。
太陽みたいにあったかい、笑顔が素敵なこの人と――。
「ああ、そうそう!」
「?」
「急遽、病院勤務休みになったってのは、ウソ」
「えぇぇっ!?」
「特別感出したかったから、えへへ」
開いた口が塞がらない様子の主人公だったが、次第にモヤモヤが込み上げてきたので不貞腐れてみた。
「もー、勘弁してよぉー」
「ちょっかいとか、からかってみたくなる程、愛が募ってきているってコト!」
にっこりと頬を緩ませた尾坦子は、満足げにしていた。ふと何かを思い付く。
「そうだ! 今度、プレゼントちょうだい! 付き合って2年の記念のプレゼントと、クリスマスプレゼントと、誕生日……」
「あー!! この、欲しがりさん!」
――、




