第2回
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鏡の前で黄色いメッシュの入った髪を整え、お気に入りのリップを塗る。
そこには自分の可愛い顔が映っていて、きらりとウィンク。
可愛らしいあたし、マジ最高。
お気に入りの猫耳パーカーに、可愛らしい羽のあしらわれたリュックを背負っていざ出発。
空はどこまでも青く澄み渡り、雲一つない晴天。
肌に気持ちのいい爽やかな風が頬を撫で、ちょっと大きめのヘッドホンを首から下げて小さな我が家をあとにした。
通いなれた大学への道も、清々しい春の陽気にこのまま別のどこかへ遊びに行きたい気持ちにさせる。
けど、それもそろそろできない現実。
なにせ本当にどこかに遊びに行くことの多いあたしにとって、最大の敵は講義への出席日数。
そろそろ限界ギリギリで、このままじゃ留年確定コースになりそうな状況だ。
だからしかたなく、あたしの足は大学へ向かう。
こんな陽気の中を真面目にお勉強なんて馬鹿らしくない?
そう思うのだけれども、やっぱり学生の本分は勉学なわけで。
とほほ……
別に無理して大学に進学する必要なんてなかったのだけれど、おばあちゃんが大学くらいは卒業しとけっていうからしかたなく通ってる。
両親のいないあたしを大事に育ててくれた恐ろしいおばあちゃんの言うことは絶対。
お金出してくれてるんだから、当たり前っちゃ当たり前か。
さて、そんなこんなであっという間に大学近辺の大きな公園まで辿り着く。
家から大学までが徒歩十分ってのは恵まれてるのと同時に、余裕過ぎて遅刻しそうなのが玉に瑕。
その分、お昼を食べに家に帰ったりもできるから、お昼代やお小遣いの節約になって良いんだよね。
まぁ、そんな話はおいといて。
「タカコー!」
後ろから友達の果歩が声をかけてきた。
「おはよー」
「おはよー。今日もかわいいねぇ」
「ありがと、お褒めの言葉と受け取っとくよ」
「え~。本心だって~」
「そう? どうせ内心は良い大人が子供みたいな格好して恥ずかしいって思ってんでしょ」
「また、そういうことをいう」
「じょーだんだよ。ありがとう、果歩もいつも通り綺麗だよ」
「え~? ほんと~? ありがと~!」
というのがいつもの朝のルーティン。
果歩はあたしと違っていつも大人っぽいお姉さんの恰好をして決めている。
とても同い歳には思えない落ち着きはらった感じがして、実際あたしと並ぶとまるで姉妹だ。
それはもちろん、身長差二十センチ以上ってのもあるのだけれども。
あたしの身長はどちらかというとかなり低い。
なんと驚異の一五〇センチ。これでも一センチ、サバを読んでいる。
どうかすると中学生の女の子と同じか、それ以下だ。
対する果歩はほぼ一七〇センチ。
男子と並んでも同じかそれ以上だったりすることもあって、羨ましい限りである。
せめて一六〇は身長が欲しかったのだけれど、どうにもあたしの身体はそれ以上の身長は必要ないと判断してしまったらしい。
まぁ、そのおかげで色々小回りが利くから重宝していることは重宝しているのだけれども。
「そういえば、こないだ急に講義室からいなくなったけど、どこに行ってたの?」
「こないだ?」
「先週の金曜日」
「あぁ――」
前回のマーダーゲーム・サバイバルのゲームがあった日だ。
あの日、講義中に突然ゲームが始まって、アッと思ったときにはアプリが起動して別の世界に飛ばされてしまったのだ。
はたから見たら突然姿を消したように見えるらしい。
いったい、どういう技術が使われているのかあたしにも解らない。
し、こういうとき、どう答えて良いかも毎回困る。
「長い長いお花摘みに行ってたんだよ」
ザ・定番のいいわけ。
「最近多くない? 大丈夫?」
「へーき、へーき」
「そう? なら、いいけどさ」
「なんかあったら、ちゃんと教えてよね。心配だから」
「だいじょーぶ。ありがと、心配してくれて」
そんな優しい友人に、あたしは心の底から感謝を述べた。




