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プライドだけ無駄に高い拗らせエリートは2度目の人生もうまく生きれないみたいです  作者: 蟹悠一
エクス・マキナ編

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5/14

ローグライク

「その、本当にごめんね。私が受けた任務だったのに、結局全部任せることになっちゃって•••」


「気にせず休んでて。仇は俺たちで取ってくるから」


任務に向かうのは、俺、メクル、カルネ、フウライ、レオン。

テリアの元婚約者の仇を討つための任務に、テリアを除いた5人で向かうというよく分からない事態になっていた。



剣士の枠として俺が入ったから役割の被るテリアは留守をすることに。本人は相当渋っていたがレオンが必死に説き伏して、最終的に諦めることとなった。

異世界エアプの俺は「全員で行けばいいのでは?」と提言してみたが、法的にアウトらしい。

国公認の討伐以外、ギルドでの受注になると、任務の難易度に応じて上限定員が設けられることになっている。今回の任務でいえば5人が上限。

理由はなんとなく分かる。一つのパーティーに力が集中すること、ひいては反乱を起こされることを防ぐためだろう。

元いた世界とは異なり、この世界では武器の力、数の力が通用しにくい。例えば元いた世界。対戦相手がヘビー級ボクサーの世界チャンピオンだとしても、一般人10人が一斉に襲い掛かれば造作もなく倒せる。それほどまでに数の力は偉大。

だがこの世界では違う。昨日のワイバーンが出た時の焦り方から、この世界の住民全員が魔法を使える

わけではないと推測できる。つまり、個人ごとの戦力差がとてつもなくでかい。今の俺なら、魔法を使えない一般人が何千人集まろうと剣を一振りするだけで蹴散らせる。

一人で千人以上を相手どるなど容易い。文字通り、一騎当千どころか一騎当万の人間がいてもなんらおかしくない。数による弾圧が難しい上に、武器での戦力補強も難しい。

そんな状況での統治は、権力者たちにとって悪夢そのものだろう。俗に言う「無敵の人」が外れ値的な力を持っていただけで簡単に国が滅びる。(実際この王国も王様殺されたみたいだし)。

少しでも反乱の目を摘むための、支配階級の涙ぐましい努力。それがこの上限制度。




かくして俺たち5人は、「エクス・マキナが作られたと噂されている研究所」があるキシナ森林へと歩を進めた。その場所にターゲットがいるという確証はなく、正直言って分の悪い賭け。しかし今はこの細い糸に縋る他ない。何にせよ、エクス・マキナの情報は極端に少なく、その容姿すら不明。

エクス・マキナ最後の活動報告は2年前、テリアの元婚約者が殺された日が最後。彼が殺されたのは人の寄りつかない路地の裏。死体の破傷具合を過去の検死データと比較した結果、「エクス・マキナ」と呼称されるゴーレムの仕業と断定した。過去数例の被害者も同様に人気のない場所で殺されている。

容姿すら分からないエクス・マキナがゴーレムだと断定される理由が、その殺害手口。遺体は全て、魔法ではなく素手による殴打で殺されていた。






研究所跡までは徒歩70時間かけての移動。魔物が潜んでいるため馬は使えない。初めての任務。色々と不安はあったが、目的地に向かうまで最初の方は結構楽しかった。


任務前、俺が一番恐れていたことはパーティー内で孤立すること。メクルとカルネ。フウライとレオンの女2男2で分かれた場合が、想定しうる中で最悪のケース。

会ったばかりの女子2人グループに入るのはちょっと怖い。かといってフウライとレオンの2人は、既に完成されているグループ。俺は元々複数人グループでの会話が苦手なタイプだし、そんな仲良しグループに割って会話するなんて絶対に無理。そうなった時、目的地に着くまでの70時間、ずっと一人微妙な立ち位置のまま気まずい時間を過ごすはめになるんじゃないかと気が気でなかった。


だけど実際には、「任務中は気を引き締めていたい」という理由でレオンが一人後方で黙々と歩き、メクルとカルネ。俺とフウライの2組に分かれ会話をすることが多かった。レオンのそれが真意だったか俺を気遣ったのかは分からない。

フウライとの会話は楽しかった。彼は話の回し方がすごく上手い。友達も多くて女子にもモテてそうな生粋のコミュ強って感じがする。フウライのおかげで時間が経つのも早く感じ、楽しい旅になると予感していた。最初だけは…



異変を感じたのは出発から20時間経って足が上がりにくくなってきたあたり。俺の予想では、一日10~14時間歩いたとして、到着まで5日間~1週間くらいだと見積もっていた。だが、20時間経っても24時間経っても、「休もう」という空気が全くない。食糧も歩行しながら食べる携行食のみで、歩みを進める時間が全くない。

俺を除いた誰の顔からも、疲労感を全く感じられない。恐らくはこの世界特有の「魔力」が関係してる。魔力を使い体力の消耗を抑える裏ワザがあるんだと思う。だけど今更そんなこと聞けるか?「強いから」という理由だけで、テリアを置いて同行しに来たのに今更そんな質問を。もし仮にその方法を聞いたとしよう。それを習得出来なかったら?実力不足でパーティーの歩調を乱す奴なんて置いていかれ•••いや、この20数時間同行して分かった。みんな凄い優しい。俺を置いていくって結論にはならないだろう。俺の体力に合わせて、ゆっくりしたペースで進むことになると思う。だけどそんな。そんな惨めな話あるか?みんなの足を引っ張る罪悪感を感じながら1週間も一緒だなんて。そんな恥を晒すくらいなら我慢した方がマシ。そう。俺が我慢すればいいだけの話——



しかし現実というのは非常で、いくら固い決意をしたとしても身体機能は向上しない。



歩き始めて30時間。疲れを隠すのも限界が近づいてくる。フウライとの会話も、段々と盛り下がっていく。長時間話し続けて話題が無くなったというのも1つの要因だが、それ以上に俺の受け答えが雑になってきてる。耳に言葉が入ってこない。脳が会話をしようとしない。遂に足にも力が入ってこなくなる。倒れたい。倒れ込んでしまいたい。そう強く切望しているとようやく•••


「よし。そろそろ休憩にするか」


長らく渇望していたその言葉が、レオンの口からようやく放たれる。








それと同時に、さらなる絶望へと突き落とす言葉も。





「寝る前に食事をしないか。といっても携行食だげじゃ味気ないし、各々狩りをして食材を集め合おう。調理は俺がするからさ」


「ならゲームもしようぜ。一番少なかった奴が罰ゲームだ」


「それはいいですねぇ。といっても私、あまり自信はないですけどぉ」


「へえ、面白いじゃない。あんたもそう思うでしょ?」


「あっ。ああ。そうだな」



嘘だろ。冗談じゃない。

俺はもう歩くのさえやっとなんだ。

こんな状態で魔物の狩りだなんて•••




「タイムリミットは30分。それまでに集めた食料が一番少なかったやつが罰ゲームだ」


「オッケー」


メクルとカルネが走り出す。


「俺は先行ってるわ。お前も頑張れよ」


次いで、フウライが走り出す。


「じゃあそろそろ俺も•••」

ガシッ


行こうとしたレオンの腕を掴み止める。

これ以上は、流石にもう無理だ。隠し通せない。

今ならレオン一人。恥も最小限で抑えられる。

聞くなら今しかない。


「その••こんな夜通し歩いてたのに、どうしてまだ走れるんだ?何か•••特別な方法があったり。••ハア••俺はもう•••歩くだけで精一杯なんだが•••」


「どうしてって言われても。魔力をエネルギーに変換するだけだけど。もしかして•••出来ないのか?」


「ああ•••初めて聞いた•••俺•••俺にもやり方を教えて•••」


「やり方って言われても、これは日常的に続けて慣れるしかないからなあ。最短でも5年くらいはかかるし今からは流石に•••いや、出来ないものは仕方ない。狩りは俺たちでやっておくからその辺で休んでてくれ。あっ。罰ゲームのことも大丈夫だからな。無理せず休んでてくれ」



遂にレオンまでもが走っていき、遂に自分一人になった。





ハハ。本当に。俺は何をしてるんだろうな。ワイバーンを倒してみんなに褒められた時、ようやく俺は変われたんだって。死ぬのは勿体無いからって理由だけで、惰性で生きてきた前世。そこから脱却して、ようやく一人の人間として誇らしい生き方ができるって思ってたのに。

結局前と何も変わってない。死んで、転生して、ようやく第二の人生をエンジョイできると思ったのに、その結果がこれか?恥を晒して、憐れみを向けられて、逃げることも乗り越えることもせず、只々停滞を続ける。

ふざけんな。これじゃ前世と何も変わらない。

またこのチャンスを逃すのか?無理だ。あんな生き方を再び繰り返すくらいなら、もう一度死んだ方が遥かにマシ——




習得可能スキルがあります


スキル~魔力機関《マジカルパンク》~

魔力をエネルギーに変換することが可能になる


代償 ???


習得しま——







「ああ。習得する」






習得完了


スキル~魔力機関《マジカルパンク》~を習得しました。







「ハアッ。ハアッ。ふう。よしっ」

随分と楽になった。

確かに凄い。眠気が一瞬で吹き飛んだ。これならずっと歩いていられそう。何はともあれ良かった。とりあえず今は狩りをして———



「初めまして」



その時聞こえてきた音は、狩りから帰ってきた4人の声でも、ましてやスキルの機械音でもない。生まれて始めて聞いた声。




その声の主は、俺の目の前に立っていた。

声を掛けられるまで全く気付けなかった。


その声の主は女性で、「人形のように綺麗な女性」という表現しか思いつかないほどに美しい。

透き通った白い肌。銀色の髪。

顔も、瞳も、スタイルも。全てが人の手で造られたかのような、至高の美しさを放っていた。

警戒することすら忘れ、つい声をかけてしまう。



「君は一体••••」



女は貼り付けたようでありながら、妖艶で、美しい笑顔で答えた。



「初めまして。私はエクス•マキナ。マキナって呼んでください」








結果

スキル~魔力機関《マジカルパンク》~を習得

•魔力をエネルギーに変換することが可能に



代償

•寿命5年

•痛覚50%up








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