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プライドだけ無駄に高い拗らせエリートは2度目の人生もうまく生きれないみたいです  作者: 蟹悠一
序章

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要検証

-転生2日目の朝 宿屋-


鏡の前で身支度を整える。

代償として奪われた左目の視力。だが外見的には特に変化はない。あくまで視力を奪われただけであって、眼球の彩度などに変化はない。



鏡を見ていると、ドアの向こうからノックの音が聞こえてくる。


ドンドンッ


「失礼します。お食事を持って参りました」



朝食として運ばれてきた食パン。

当然っちゃ当然のことなんだが、食文化の発展も元の世界とは大分違うらしい。食パンの起源は産業革命期だと世界史の資料集コラムで見たが、この異世界に蒸気機関が存在するとは思えない。



異世界で初めて口にするものが食パンというのも味気ないが仕方ない。昨日の夜に振舞われたワイバーンの中は、臭みが強すぎて食べる気になれなかった。

取り敢えず一口齧ってみるが、調味料がないと流石に物足りない。いつもなら市販のチョコソースかキュー○ーのツナマヨチューブで食べるんだが•••



「習得可能スキルが2つあります」



スキル①


~香料精製~

魔力を元とした調味料の精製が可能になる


代償 ???


スキル②


~調味料精製(使い切り)~

魔力を元とした調味料の精製が一度だけ可能になる


代償 ???


習得しますか?



冷徹な機械音と共に、再び悪魔の誘惑が聞こえてきた。

身体と寿命を代償とするこのスキル。正直使いたくないが、これからこの世界で生き抜くことを考えると、この能力のルールは把握しておきたい。

調味料の精製。限度がわからないが、自分が調味料と認識しているものならなんでも作れるのか?

塩はかつて金と交換される程貴重だったと聞く。そう考えると、流石に①はリスキー過ぎる。下手すれば昨日習得した~無敵の剣豪~以上のレアスキルかもしれない。②の使い切りなら大きな問題にはならないはず。一度だけしか使えない上に、魔力を元手とする誓約。そこまで負担はないと思いたいが•••


「•••習得する」


習得完了。スキル~調味料精製(使い切り)~を習得しました。



調味料の精製といってもまずは何を作るべきか。

正直今の気分的にはチョコソースだが、取り敢えず能力の上限を推し量るため、この世界に存在するはずがないものを作ってみる。


「ツナマヨを精製」


ガチャガチャッ


卓上に一瞬にして魔法陣が描かれる。

そこから出てきた物は、昔スーパーで買っていた商品と寸分違わない。パッケージの文字も日本語のままだ。唯一違う点は開封済みで、一食分しか容量が残っていないことだけだ。どんな代償が待っているか、気が気じゃない状態で食べ終える。



「目標達成ミッションコンプリート。結果を表示します」


結果《リザルト》

スキル~調味料精製(使い切り)~を習得

•魔力を元とした調味料の精製が一度だけ可能になる


代償

•寿命3日



取り敢えず胸を撫で下ろす。

このスキルについて現時点での仮説は2つ。


1つ  何か「目標」ができた時、それを達成するための「スキル」の習得が可能になる。


2つ 「代償」を支払うタイミングは「目標」を達成した時。

昨日であればワイバーンを殺した時。

今回でいえば食パンを食べ終わった時。

スキルを習得してすぐに代償を払うわけではない。

目標を達成するまでのラグがあるため、例え100年の寿命を代償とするスキルを習得したとしてもすぐには死なない。



確かに破格の能力。だが想像以上に悪魔的。「代償」が習得するまで不明なのは勿論だが、「欲しい」と思った瞬間に解決策が湧いてくる。現代でいう闇金に近い感覚。過程を必要とせず100%の成果を保証する。まさに自分の求めていた能力。それ故に、使い続ければあっという間に飲み込まれてしまう。


昨日は本当に夢見心地の気分だった。四方八方から絶え間なく飛んでくる賞賛の嵐。10年前にテストで1位を取った時に二度か三度経験したが、高校に入ってからは一度もなかった。転生せずあのまま生きていたら、もう2度と経験することは出来なかっただろう。

あの賞賛を寿命で買えるなら安いものだと。心のどこかで、そう思ってしまう自分がいる。


神(?)から与えられたこのスキル。

破滅を促す呪いと考えるか。

生き方を変えるために授けられた好機(祝福)と考えるか。

この能力とどう向き合うべきかを思案しながら、テリアたちの待つ階下へと駆け下りた。

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