代償
(クソッ!不味い事態になった。一体倒したことまでは上出来。だけどあの様子だと、シンヤはもう戦えそうにない。一応意識を残しているのは救いか。メクルが転送を発動できれば、歩くのは無理だとしても、剣を軽く振ることくらいならできるかもしれない。
だが、完全に警戒されてる。メクルの転送条件は対象に触れ続けること。その時間は相手の魔力量に比例して長くなる。恐らくこのコード04を転送するには5秒近く触れなければならない。この状況でそんなことできるわけがない。今は奴の拳を避けることで精一杯。フウライの風操作でギリギリ直撃を回避しているが、いつ限界が来るか——)
ガタッ!
だがレオンの予想に反し、その場で初めて地に膝をついたもの。それはコード04だった。
膝をつくコード04を見たレオンの脳内に巡った思索。
(何だ?急に膝をついた。まさか魔力切れ?いや、「バグ」の影響か!カルネとマキナがコード05を倒してこいつが最後の一体になった。それによりバグを起こしてフリーズしたのか!だとしたらこのチャンスを逃すわけにはいかない!)
「フウライはマキナたちの様子を見に行ってくれ!確認が終わり次第、メクルはシンヤを転送して—」
「オエ」
コード04の作戦は死んだふり。油断し近づいてきた彼らに奇襲を仕掛ける作戦だった。しかし、実践経験が豊富なレオンは、そのケースも無意識のうちに可能性として考慮していた。故に不用意に近づかず、フウライに確認を急いだ。
唯一誤算だったのは、彼女が口から銃を吐き出したこと。
彼女は、風で弾道を逸らすフウライが、レオンの元から離れるその瞬間を狙っていた。
カチャ
しまっ———
パァン!
放たれた弾丸が彼の側頭部を捉える。
レオンは、着弾する直前に頭蓋を魔力で強化。頭蓋で弾丸を破壊することに成功。
しかし、弾丸を撃たれた際真に恐怖するべきは、弾が貫通することではなく、弾が体内に留まること。
魔力による頭蓋強化。それにより脳の貫通という最悪のケースは脱したものの、破壊された弾丸が無数の破片となってレオンの頭部に残留した。摘出前に動けば、破片が血を辿り脳を傷つけるかもしれない。
彼は動けずにいた。
着弾による頭部への衝撃。頭部に残る弾丸の破片。動けば死ぬという恐怖。
コード04の拳が振り下ろされるその時まで、体を動かせずにいた。
(やっちまった。これは無理だな。すまない。君との約束を守れなくて。本当に———)
カキンッ!!
鈍い音と共に、迫り来る拳が両断された。
その主は——
「シンヤ•••なのか?」
容姿も技も瓜二つ。だがその姿は、どこか不気味で生気のないもののように感じられた。
(いや、シンヤは吹っ飛ばされた場所でうずくまったまま。だとすればこれは何だ?人形?ゴーレム?
はたまたシンヤの隠し玉か?だが何にせよ、これで形成逆転——)
ボカーーン!!
その正体の考察も程々に、東の方角からとてつもない爆炎と破裂音が聞こえてきた。
マキナ班がコード05を倒した狼煙。
複製体最後の一体となったコード04。彼女の取った行動は、保管室への逃走であった。目の前の敵からの逃亡。だが、それだけには留まらず
シュウウウウ———
彼女の全身から、蒸気が吹き出し始める。
絶対的プログラムである逃走命令と、逃走指定場所の消失という矛盾した状況。それがバグを引き起こし、体内の魔力生成機関を破壊した。いつ爆破が起きてもおかしくない。リミットがくるするその時まで逃げ惑いつづける時限爆弾へと化した。
爆破場所によっては数万人規模での被害もありえる。
だが、メクルさえフリーになれば
「行くよ。シンヤ」
「ああ。飛ばしてくれ」
シンヤの本体に駆け寄ったメクルが、その体に触れ転送術を起動。転送先は、コード04の頭上1メートル。前方5メートルの地点。
歩くことは不可能でも、自重に身を任せ剣を振り下ろすことなら
「ようやく終わりだ」
こうしてエクス•マキナ討伐戦は幕を閉じた。
皆の献身と、久渡真也の捧げた代償によって。
結果
特別スキル~複製された男~を習得
•自分の複製を一体作り出すことが可能になる。
•基礎魔力2000up
代償
•生殖機能




