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クリスタル・ウェポンズ~心臓が結晶化した私は助かるために現代ダンジョンに潜る~  作者: 彩名氏シエル


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第5話:見出した光

その日の夜、私は一人自室でパソコンに向き合っていた。

結局、あの後私たちは何も言えずに家に帰った。誰も食欲は無かったが、何かを食べないと行けないと思って、半額になっていたスーパーの弁当だけ流し込むように食べて、各々の部屋に引きこもっている。

そして、私はネットで調べ物をしていた。くよくよしていても仕方がない。

……動いていないと落ち着かない、というのもある。

そして、結局調べても有力な情報はなかった。確かにアビリティで身体が変化することはあるようだが、内臓…しかも心臓に関するアビリティは極端に少なく、大した情報は得られなかった。

そこで、アビリティのデメリットの対処法について調べても、サンプルが少なすぎて各々頑張るしかないということだった。

そうして、対した情報も見つからず、調べるのをやめることもできず、様々なサイトを開いては消し、とあるオークションサイトが目についた。

それは、ダンジョンから持ち帰られた魔法的な効果のあるアイテムを取り扱うサイトだった。冒険者ギルドも公認している、信頼性の確かなサイトにこんな商品が売られていた。

『賢者の石板』。

50層以上あるダンジョンの奥地で見つかったこのアイテムは、触れた対象の状態を詳細に調べ、文章として出してくれる。そんな効果らしい。

そこのレビューでは、これを使って感覚的にしか分かっていなかったアビリティの詳細を理解できて、それまで以上にうまく使えるようになった。と書かれていた。

これだ。と思った。これさえあれば今の私の現状がわかる。

感覚的には理解できている。今の私の心臓『水晶製魔機構の心臓』……長いので水晶心とでも言おうか。

これの効果は、名前とともに頭に入ってきた。

通常の人間よりも多くの魔力を生成し、それと同時に、ガラスや水晶といった透明度の高い鉱物を操作できる。

しかし、なんとなくこれが分かっても、どうやって魔力を生み出しているのか、そこにデメリットはないか、そんなものは一切わからない。

しかし、『賢者の石板』、これさえあれば、どんなデメリットがあるかリスクがあるか、それらが分かるはずだ。

私は反射的に購入予約を入れようとして、ふと購入制限に目が留まった。

『冒険者ランクB以上限定』

それに目をむく暇もなく、その下の値段を見て、完全に思考は停止した。

『\30,000,000,000』

300億円……。

私は無言でそのページをブックマークして、ブラウザを消しもせずに、直接電源ボタンを押した。

私が病院に運ばれた日から数日たち、土曜日になった。

私は公共交通機関を乗り継ぎ、この地域の中心街に来ていた。そして、「冒険者ギルド前」というバス停で降りると、正面にある頑丈そうな高層ビルを見上げた。

周囲では同じようにビルを見上げている同年代の少年や、友達たちとわいわい騒いでいる少女たち、足早に入っていく大人など、様々な人たちがいる。

ここまで言えばわかるだろうが、私は今、冒険者となるべくこの場所を訪れていた。

理由は一つ。『賢者の石板』を購入する条件と資金のためである。

親にはさんざん反対された。もっと時間を置けばあの石板が手に入るかもしれない、そうでなくてももっと安全にアビリティを解析できるものがあるかもしれないからと。

しかし、最終的には納得してくれた。まあ「何かしてないと鬱になりそう」と言ったのが効いたのかもしれないけれど、まぎれもない本音である。

実際今だって、市販の整腸剤を持ち込んでいる。

この数日間は何かしていないと悪い事ばかりが頭に浮かんで、とうとう内臓系にダメージを与え始めたのである。

ほら、今も呆然と見上げていると周囲から「何こいつ」という視線を向けられている気がして、落ち着かずに胃が痛くなって…。

落ち着け。とりあえず受付を済ませてしまおう。今日は講習の一回目なのだ。

軽く頭を振って余計な思考を追い払うと、前を向いて入口へ歩き始めた。

そして、冒険者ギルドの内装だが、思っていたよりも普通だ。

酒場があるとか、きれいな受付嬢がいるとか、新人に絡む不良冒険者がいるとかそういうこともない。

白く清潔なエントランスに、奥にある黒くシックな印象を与える受付、右側面はローテーブルとソファが置かれ、その反対側には軽食を売っている売店もあった。

特段物々しい様子はなく、普通のオフィスビルといった印象だ。

私はそこの受付で事前にメールで送られてきた認証コードを見せ、受付番号の値札を貰うと、言われた通りに3階の第1会議室に入る。

そこにはすでに多くの冒険者見習いたちが、落ち着かなげに座席に座っており、

一番奥には、赤いジャージを着込んだ筋肉隆々のおじさんが、腕を組んで全体ににらみを効かせていた。


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