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クリスタル・ウェポンズ~心臓が結晶化した私は助かるために現代ダンジョンに潜る~  作者: 彩名氏シエル
第2章「シーリー・コート」編

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第4話:シーリー・コート

白雪さんから事情を聞き、胃を痛めた日の週末。

私たち3人は、電車を乗り継いで都内にあるとある高層ビルへ来ていた。

三人そろってボケっとした表情で、呆然とビルを見上げている。

「ここであってるよな?」

火野さんがそう言うと、白雪さんが自信なさげにうなずく。

「そのはずだけど……思ってたより大きいわね。45階建てって。」

私たちは呆然としながらもビルへと入っていく。

そこは別世界といった様子だった。一切の汚れもほこりもない大きなフロア、行き来する人たちの身なりは上等で、冒険者っぽい人たちでも質のいい服を着ているのが分かる。

火野さんがとても肩身が狭そうにしている。彼の服装が学生服なのが気まずいらしい。

逆に白雪さんは意外と平然としていて、展示されているおしゃれな洋服とかを目を輝かせながら見ていた。

私はと言えば、かなり緊張している。ただし、私の場合、それが表に出ていないだけで。正直言うと、シーリー・コート(夜の妖精)というクランはとても大きい組織だ。それこそ冒険者クランという括りを取り外したとしても大きな影響力を持つ。

その理由が、この企業が日本の冒険者用防具メーカーの最先端だからである。クランとして確保した、ユーンのドロップアイテムを用いて防具の研究・開発・販売を一手に担う。そして、それを傘下の企業に下すことで莫大な利益を出している。

しかもアパレルメーカーとしても十分なブランドがある。さっきからすれ違う人たち、特に女性の衣服はどれもおしゃれでいて機動性を重視したデザインをしている。白雪さんが目を輝かせているのも、これが理由なのだろう。

まぁ、要するに、冒険者という今や欠かせなくなった大きな市場において、アパレルの大きな割合を占めているのがシーリー・コートという企業なのだ。

だから、この前とは違う理由で胃が痛い。最低限身だしなみを整えて化粧もしてきたとはいえ、場違い感がすごい。

私たちはびくびくしながら受付まで進み、事前に郵送で届いていた紹介状を提示した。

「確認しますのでしばらくお待ちください。」

美人な受付さんが奥へ消えていき、10分もしないうちに戻ってくる。

ただ、その顔はわずかに戸惑いの表情を浮かべていた。

「あ、あの、何か不備がありましたか?」

私が不安を感じて受付の人に聞くと、彼女ははっとした表情を浮かべて首を横に振った。

「も、申し訳ございません。ただ、すこし……。案内するのでついてきてください。」

そういうと、こちらの様子をうかがいながらエレベーターホールへ向かって歩き出す。私たちは少し顔を見合わせると、無言でそれについて行った。

ちょうど降りてきたエレベーターに乗り込み、受付の人が押した階になめらかに上がっていく。

私がチラリと押された階を見やると、そこには45階と刻印されていた。

……嫌な予感がするのは私だけだろうか。

というか、ちょっと、本当にちょっと待ってほしい。たしかさっき、澪がこのビルが45階建てとか言っていなかっただろうか。

こんな大規模なビルを丸々保有し、社会的にも知名度のある企業が入っているビルの最上階。

それって、まさか。

45階にエレベーターが到着し、扉が開く。

そこは一本道の廊下になっていて、一目見るだけで高価だとわかる調度品が嫌味にならないように計算された配置で置かれていた。

そして、正面の扉のプレートにはこう書かれていた。

『社長室』

私はすぐにでも逃げたくなった。しかし、扉の向こうから感じる謎の圧力に、逃げることもできずにおずおずと進むしかなかった。

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